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デッドクロスは何年目に来るのか|融資期間35年でも自己資金50%でも発生年が動かない条件と、税引後CFを守る必要利回りを逆算

デッドクロスは何年目に来るのか|融資期間35年でも自己資金50%でも発生年が動かない条件と、税引後CFを守る必要利回りを逆算

収益物件の解説で必ず出てくる「デッドクロス」は、年間の元金返済額が年間の減価償却費を上回る状態を指します。帳簿上の利益は増えているのに手元の現金は増えない、あるいは減っていく——そう説明されることがほとんどです。

ただ、実務で知りたいのは定義ではありません。それは自分の物件で何年目に来るのか、そして来ないようにできるのかです。

この記事では、構造・築年数の異なる6つのケースについて、デッドクロスの発生年を融資期間・自己資金比率・金利を振りながら実際に計算しました。結果として分かったのは、次の3点です。

  • デッドクロスの発生年は物件価格に依存しない。決めているのは「借入額 ÷ 年間減価償却費」「金利」「融資期間」の3つだけ
  • 償却期間が融資期間より短い中古物件では、融資期間を35年に延ばしても、自己資金を50%入れても、発生年は1年も動かなかった
  • RCマンションは1年目からデッドクロス状態にある。それでも危険とは限らない。デッドクロスの早さと危険度は一致しない

そのうえで、本当に見るべき指標として「税引後キャッシュフローが0円になる表面利回り」を年次で逆算しています。

本記事の数値は、公開されている税制ルール(国税庁)にもとづく条件付きシミュレーションです。実際の物件統計でも、RE-AIの診断実データでもありません。情報確認日は2026年9月11日です。

デッドクロスは「差額」ではなく「交差点」

まず計算の対象を明確にします。デッドクロスは次の不等式が成立した最初の年です。

年間元金返済額 > 年間減価償却費

元利均等返済では、返済が進むほど利息が減り元金の割合が増えていきます。一方、建物の減価償却費(定額法)は償却期間中は一定で、期間が終われば0円になります。片方は右肩上がり、もう片方は横ばいから崖。だから必ずどこかで交差します。

問題は、その交差点が「経費にならない支出」の始まりを意味することです。元金返済は現金が出ていくのに経費になりません。減価償却は現金が出ていかないのに経費になります。この2つの大小関係が逆転した瞬間から、税金の計算上の利益が実際の手残りより大きくなり、税負担が現金を圧迫し始めます。この構造そのものは収益物件の収支計算完全ガイドでも整理しています。

分析の前提条件(何を固定し、何を変えたか)

固定した条件

  • 返済方式:元利均等・毎月返済(月利=年利÷12)
  • 減価償却:建物のみ・定額法。建物附属設備は分離せず建物に含める
  • 中古物件の耐用年数:国税庁の簡便法(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%、1年未満切捨て。法定耐用年数を全部経過している場合は法定耐用年数×20%
  • 限界税率:33%(所得税+住民税。課税所得695万円〜900万円の個人を想定)
  • 表面利回りへの換算:NOI率75%、LTV90%
  • 家賃下落・空室変動・大規模修繕・売却は織り込まない(交差点の位置だけを見るため)

変更した条件

  • 構造と築年数(6ケース)
  • 融資期間:20年 / 25年 / 30年 / 35年
  • 自己資金比率(LTV):100% / 90% / 80% / 70% / 60% / 50%
  • 金利:1.0% / 2.0% / 3.0% / 4.0%
  • 限界税率:20% / 23% / 30% / 33% / 43%

検証した6ケース

建物比率(物件価格に占める建物価格の割合)は、築年数が進むほど土地の比重が上がる実務上の傾向を踏まえて設定しています。これは市場統計ではなく、比較のために置いた前提値です。

ケース

法定耐用年数

経過年数

償却年数

建物比率

K=借入額÷年間償却費

新築木造アパート

22年

0年

22年

70%

28.3

築15年木造アパート

22年

15年

10年

45%

20.0

築25年木造アパート

22年

25年

4年

25%

14.4

築15年重量鉄骨

34年

15年

22年

50%

39.6

築20年RCマンション

47年

20年

31年

55%

50.7

新築RCマンション

47年

0年

47年

75%

56.4

構造ごとの償却費の差そのものは木造とRCで年間減価償却費がいくら違うかで詳しく計算しています。

発見1:デッドクロスの発生年は、物件価格では決まらない

計算を進めるうちに分かったのは、この分析には物件価格を入れる必要がないということです。

年間元金返済額は借入額に比例します。年間減価償却費は建物価格に比例します。両方とも物件価格に比例するため、比較しているのは「借入額 ÷ 年間減価償却費」という1つの比率にすぎません。この記事ではこれをKと呼びます。

Kは「年間の減価償却費で、借入額の何年分をカバーできるか」を表します。Kが小さいほど償却が厚く、デッドクロスは遠くなります。

K = LTV ÷ 建物比率 × 償却年数

つまり3,000万円の区分でも3億円の一棟RCでも、K・金利・融資期間が同じならデッドクロスは同じ年に来ます。「◯◯万円の物件で試算」という形式に意味がない、数少ないテーマです。

発見2:融資期間を延ばしても、発生年が1年も動かない物件がある

デッドクロス対策として最もよく挙げられるのが「融資期間を長くとる」です。融資期間が長いほど元金返済のペースが緩やかになるため、理屈としては正しく見えます。実際に振ってみました。

ケース

融資20年

25年

30年

35年

償却終了年

新築木造アパート

1年目

8年目

20年目

23年目

22年目

築15年木造アパート

11年目

11年目

11年目

11年目

10年目

築25年木造アパート

5年目

5年目

5年目

5年目

4年目

築15年重量鉄骨

1年目

1年目

3年目

13年目

22年目

築20年RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

31年目

新築RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

47年目

※金利2.0%・LTV90%。「1年目」は初年度からすでに元金返済額が減価償却費を上回っている状態を指します。

新築木造では融資期間の効果がはっきり出ます。20年なら初年度、35年なら23年目。15年以上ずれます。

一方、築15年木造は20年でも35年でも11年目、築25年木造は5年目で固定されたまま動きません。理由は表の右端にあります。償却がそれぞれ10年目と4年目で終わるため、その翌年には減価償却費が0円になり、元金返済額がいくら小さくても必ず上回るからです。

ここから、条件を分けて言えることがあります。

  • 償却年数 < 融資期間の物件では、デッドクロスは「償却終了の翌年」で固定される。融資期間を延ばしても遅らせられない
  • 償却年数 ≧ 融資期間に近い物件(新築系)では、融資期間の延長が実際に効く

中古物件は融資期間そのものが残存耐用年数に縛られて伸びにくく、償却も短い。「期間を延ばして対策する」という一般的な助言が、最も効かない組み合わせです。融資期間そのものの損得は融資期間25年・30年・35年で何が変わるかで別途検証しています。

発見3:自己資金を厚くしても、動かないものは動かない

もう1つの定番の対策が「頭金を多く入れて借入を減らす」です。借入が減れば元金返済額も減るため、これも理屈は通ります。融資25年・金利2.0%で、LTVだけを振りました。

ケース

LTV100%

90%

80%

70%

60%

50%

新築木造アパート

3年目

8年目

14年目

20年目

23年目

23年目

築15年木造アパート

11年目

11年目

11年目

11年目

11年目

11年目

築25年木造アパート

5年目

5年目

5年目

5年目

5年目

5年目

築15年重量鉄骨

1年目

1年目

1年目

4年目

11年目

20年目

築20年RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

1年目

8年目

新築RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

1年目

3年目

新築木造では、フルローンの3年目から自己資金30%の20年目まで17年ずれました。自己資金は効きます。

しかし築15年木造と築25年木造は、物件価格の半分を現金で入れても発生年が1年も動きません。償却終了が先に来る構造は、借入額をいくら減らしても変えられないためです。

ここは実務的に重要です。「デッドクロスが怖いから頭金を厚くする」という判断は、償却が先に終わる中古物件ではデッドクロスの回避としては機能しません。自己資金には返済額を軽くしてDSCRを上げる効果や、手残りを増やす効果は当然ありますが、それは別の効果です。自己資金比率の損得は頭金を薄くして大きく買うと手残りは増えるのかで検証しています。

発見4:金利が上がると、デッドクロスはむしろ「遅れる」

直感に反する結果が出たのがここです。融資25年・LTV90%で金利だけを振りました。

ケース

金利1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

新築木造アパート

1年目

8年目

10年目

11年目

築15年木造アパート

11年目

11年目

11年目

11年目

築25年木造アパート

5年目

5年目

5年目

5年目

築15年重量鉄骨

1年目

1年目

1年目

3年目

築20年RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

新築RCマンション

1年目

1年目

1年目

1年目

新築木造では、金利1.0%なら初年度に来るデッドクロスが、金利4.0%では11年目まで遅れました。金利が高いほど返済額に占める利息の割合が大きく、初期の元金返済が遅くなるためです。

もちろん、これは金利上昇が良いことだという意味ではありません。同じ条件で税引後キャッシュフローを見ると、金利が上がるほど確実に悪化します(後述)。

この結果が示しているのは、デッドクロスの発生年を安全性の指標として使ってはいけないということです。条件が悪化しているのに指標だけが改善して見えるなら、その指標は判断材料になりません。金利上昇そのものの影響は金利上昇×空室率の同時悪化金利1%上昇でIRRはどこまで落ちるかで扱っています。

では何を見るべきか:税引後CFが0円になる表面利回り

デッドクロスが問題になるのは、それ自体ではなく税引後キャッシュフローがマイナスに転じるときです。そこで、各年で税引後CFがちょうど0円になるNOIを逆算しました。

税引後CF = NOI − 支払利息 − 元金返済 − 税額。税額 =(NOI − 支払利息 − 減価償却費)× 税率。これを0について解くと、必要NOIが求まります。ここでは読みやすさのため、NOI率75%・LTV90%を使って表面利回りに換算しています。

ケース

1年目

5年目

10年目

15年目

20年目

新築木造アパート

5.85%

6.01%

6.22%

6.45%

6.71%

築15年木造アパート

4.99%

5.14%

5.35%

8.54%

8.79%

築25年木造アパート

3.84%

8.10%

8.31%

8.54%

8.79%

築15年重量鉄骨

6.45%

6.61%

6.81%

7.05%

7.30%

築20年RCマンション

6.78%

6.93%

7.14%

7.37%

7.63%

新築RCマンション

6.90%

7.05%

7.26%

7.49%

7.75%

※融資25年・金利2.0%・限界税率33%・LTV90%・NOI率75%。給与所得等と損益通算ができる個人を想定しています。損益通算ができない場合(不動産所得のみ、または法人単体)は、赤字の年は税額が0で止まるため、必要表面利回りは年間元利返済額を賄う水準(この条件では6.10%)が下限になります。

この表の読み方は「その年に必要な表面利回り」です。実際の物件は購入時の表面利回りが一つに固定されているため、買った時点の利回りが、右へ行くほど上がっていくこの数字を上回り続けられるかを見ます。

並べると、性格の違いがはっきりします。

  • 築25年木造:初年度は3.84%で足りるのに、5年目には8.10%。4年間で4.26ポイント跳ね上がる
  • 築20年RC:初年度から6.78%必要だが、20年目でも7.63%。20年かけて0.85ポイントしか上がらない

築古木造は「入口が軽く、途中で急に重くなる」構造。RCは「最初から重いが、ほぼ平ら」な構造です。デッドクロスの発生年だけを見れば築古木造は5年目、RCは1年目で、RCのほうが早い。しかし途中で条件が変わるリスクが大きいのは築古木造のほうです。

償却が終わった翌年、必要利回りは何ポイント跳ねるか

転換点をより正確に押さえるため、償却終了の前年と翌年だけを取り出しました(損益通算なしの水準で比較)。

ケース

償却終了

その年の必要表面利回り

翌年

新築木造アパート

22年目

6.81%

8.96%

+2.15pt

築15年木造アパート

10年目

6.10%

8.35%

+2.25pt

築25年木造アパート

4年目

6.10%

8.10%

+1.99pt

築15年重量鉄骨

22年目

7.41%

8.96%

+1.55pt

いずれも1年で1.5〜2.3ポイント動きます。表面利回り8%で買った築15年木造なら、10年目までは余裕があり、11年目に必要水準8.35%が購入時の利回りを超えます。家賃が1円も下がらなくても、税制のカレンダーだけでこの逆転は起きます。償却終了年に手残りがいくら減るかは減価償却が終わった年、税引後CFは93万円減ったで金額ベースに落として検証しています。

RCマンション(築20年・新築)は融資期間25年の中で償却が終わらないため、この崖が保有期間内に来ません。RCの本当の利点は「デッドクロスが遅い」ことではなく、崖がなだらかで、途中で条件が急変しないことにあります。

課税所得が高い人ほど、崖は深くなる

同じ物件でも、買う人の限界税率によって崖の深さが変わります。築15年木造の10年目→11年目で比較しました。

限界税率

10年目

11年目

20%(課税所得195〜330万円の個人)

6.10%

7.24%

+1.14pt

23%(法人・所得800万円以下の目安)

6.10%

7.47%

+1.36pt

30%(課税所得330〜695万円の個人)

6.10%

8.06%

+1.96pt

33%(課税所得695〜900万円の個人)

6.10%

8.35%

+2.25pt

43%(課税所得900〜1,800万円の個人)

6.10%

9.55%

+3.44pt

税率20%の人の崖は1.14ポイント、43%の人は3.44ポイント。3倍の差があります。

「高所得者ほど減価償却の節税効果が大きい」はよく言われますが、裏返すと償却が切れたときの落差も高所得者ほど大きいということです。しかも償却で減らした税金の一部は売却時に取り戻される構造があり、これは減価償却で減らした税金は、売却時にいくら返すことになるのかで別途逆算しています。税制全体の見取り図は不動産投資の税金 完全ガイドにまとめています。

逆算:保有10年でデッドクロスを踏まないための融資期間

10年で売却する前提なら、保有期間中にデッドクロスを踏まずに済むでしょうか。金利2.0%・LTV90%で、必要な融資期間を逆算しました。

ケース

必要な融資期間

新築木造アパート

27年以上

築15年木造アパート

20年以上(それでも11年目に必ず来る)

築25年木造アパート

回避不可(5年目で固定)

築15年重量鉄骨

34年以上

築20年RCマンション

回避不可(1年目から)

新築RCマンション

回避不可(1年目から)

新築木造の27年、重量鉄骨の34年という数字は、それ自体が実務上の制約を突きつけます。融資期間は建物の残存耐用年数に縛られることが多く、この長さを引き出せる金融機関・条件は限られるためです。

そして「回避不可」の3ケースについては、発想を変える必要があります。デッドクロスを避けることを目標にせず、踏んだあとも税引後CFが黒字を保てる利回りで買えているかを条件にするということです。前掲の必要表面利回りの表は、そのための水準表として使えます。

なお、元金均等返済を選べば元金返済額は初年度が最大で以後一定になるため、交差点の位置はまったく別の動きをします。元利均等との比較は元金均等返済は本当に得かで検証しています。

自分の物件で交差点を確かめる

この記事の数値は、あくまで設定した6ケースの結果です。実際の建物比率、償却年数、借入額、金利、融資期間は物件ごとに違います。ご自身の条件で確認する手順は3つだけです。

  1. 売買契約書または固定資産税評価額の按分から建物価格を確認し、簡便法で求めた償却年数で割って年間減価償却費を出す
  2. 借入条件から年間の元金返済額を年ごとに出す
  3. 2が1を上回る最初の年が、その物件のデッドクロス

2については、RE-AIの不動産投資ローンシミュレーターで累計元金返済額の推移を確認すると、5年後・10年後・15年後といった時点の累計元金返済額が出ます。隣り合う時点の差を年数で割れば、その期間の年平均の元金返済額が分かるため、1で求めた年間減価償却費と直接比べられます。

ただし、このツールも本記事の計算も、税引後の手残りそのものは出していません。実際の税額は、建物と附属設備を分けているか、青色申告特別控除の適用、他の所得との通算、法人か個人かで変わります。デッドクロスの位置が分かることと、その年に赤字になるかどうかが分かることは別です。この記事で使ったのは前者の計算だけです。

投資判断への使い方

今回の結果は、次のように使えます。

  • デッドクロスの発生年を「安全性の指標」に使わない。金利が上がると発生年は遅れます。条件が悪化しても指標が改善して見える以上、単独では判断材料になりません
  • 償却年数と融資期間の大小を先に確認する。償却年数が融資期間より短ければ、発生年は「償却終了の翌年」で固定され、融資期間や自己資金では動きません。この場合、対策の検討先は融資条件ではなく購入時の利回り水準です
  • 購入時の表面利回りを、保有予定年数における必要水準と比べる。「今が黒字か」ではなく「償却が切れた翌年も黒字か」を条件にします
  • 入口の軽さと途中の重さはトレードオフだと理解する。築古木造の初年度3.84%という軽さは、5年目の8.10%と一体です。初年度のキャッシュフローだけで比較すると、この構造は見えません
  • 自分の限界税率を確認する。同じ物件でも、税率43%の人の崖は税率20%の人の3倍です。他人の試算結果はそのまま使えません

一方で、デッドクロスを踏むこと自体を「買ってはいけない条件」として扱うのは行き過ぎです。今回の計算では築20年RCも新築RCも1年目からデッドクロス状態でしたが、必要表面利回りの上昇は20年で1ポイント未満でした。交差しているかどうかより、必要水準の上がり方が緩やかかどうかのほうが、投資判断としては意味を持ちます。

この分析で分からないこと

  1. 建物と附属設備を分けていません。実務では給排水・電気・空調などの建物附属設備を分離して短い耐用年数で償却できる場合があります。分離すると初期の償却費が増え、その分デッドクロスは早まります。今回の結果は「分離しない場合」の位置です
  2. 建物比率は前提値です。実際の建物価格は売買契約書の記載や固定資産税評価額の按分で決まり、同じ築年でも大きく変わります。建物比率が変わればKも変わり、発生年も動きます。土地建物比率の設定が税引後IRRに与える影響は建物比率を上げると税引後IRRは上がるのかで別途検証しています
  3. 家賃下落・空室・大規模修繕を織り込んでいません。交差点の位置を見る目的のため意図的に外しています。実際には償却終了とこれらが重なる可能性があり、その場合の悪化幅は本記事の数値より大きくなります
  4. 売却を含めていません。償却を多く取れば取得費が減り、売却時の譲渡所得は増えます。保有中の節税と売却時の税負担は連動しており、保有期間だけを切り出した評価には限界があります
  5. 税額計算を単純化しています。限界税率一定、青色申告特別控除なし、他の所得の変動なし、復興特別所得税・法人の均等割なしという前提です。実際の税額は個別事情で変わります
  6. 2026年9月11日時点の税制にもとづきます。耐用年数、償却方法、税率が改正されれば結果は変わります
  7. 相関ではなく計算です。本記事の数値は市場の観測結果ではなく、設定した条件から導いた計算結果です。「この構造の物件は実際にこうなった」という主張ではありません

まとめ

  • デッドクロスの発生年は物件価格に依存せず、「借入額÷年間減価償却費」「金利」「融資期間」の3つで決まる
  • 償却年数が融資期間より短い中古物件では、発生年は償却終了の翌年で固定される。融資期間を35年に延ばしても、自己資金を50%入れても動かなかった
  • 金利が上がるとデッドクロスは遅れる。発生年を安全性の指標に使うと判断を誤る
  • 見るべきは税引後CFが0円になる必要表面利回り。築25年木造は初年度3.84%から5年目8.10%へ4.26ポイント上昇、築20年RCは初年度6.78%から20年目7.63%までの0.85ポイント上昇にとどまった
  • 償却終了の翌年、必要表面利回りは1.55〜2.25ポイント跳ねる。限界税率43%では3.44ポイント、20%では1.14ポイント

今回のように、償却年数・融資期間・金利・自己資金比率・限界税率を同時に動かすと、確認すべき組み合わせは急速に増えます。RE-AIでは、こうした条件をまとめて計算し、35年分のキャッシュフローと出口までを一度に確認できるよう設計しています。ただしRE-AIも税務判断を代替するものではなく、建物附属設備の分離や個別の税務処理については税理士への確認が必要です。

デッドクロスを含む売却タイミングの全体像は収益物件の出口戦略完全ガイドを、指標の計算方法は収益物件の収支計算完全ガイドをご覧ください。

参考資料・出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」(簡便法の算式・端数処理)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404_qa.htm
  • 国税庁 法令解釈通達「耐用年数の適用等に関する取扱通達 第5節 中古資産の耐用年数」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_05.htm
  • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(木造22年・重量鉄骨34年・鉄筋コンクリート47年、住宅用)
  • 所得税法(超過累進税率)および地方税法(個人住民税所得割10%)にもとづく限界税率の設定
  • 元利均等返済額・年次元金返済額・年次支払利息:本記事にて算出(月利=年利÷12、返済回数=年数×12)
  • RE-AI 不動産投資ローンシミュレーター(返済推移の確認方法)https://www.re-aipro.jp/tools/loan-calculator

情報確認日:2026年9月11日。本記事の数値はすべて上記の前提にもとづく条件付きシミュレーションであり、実際の物件統計・市場実績・RE-AIの診断実データではありません。投資助言ではなく、税務の取り扱いは税理士に、融資条件は金融機関にご確認ください。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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