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木造アパートの固定資産税が下限に着くのは築15年か築35年か|評点区分で35年累計は792万円違い、新築減額の終了で4年目のCFは最大14.9%落ちた

木造アパートの固定資産税が下限に着くのは築15年か築35年か|評点区分で35年累計は792万円違い、新築減額の終了で4年目のCFは最大14.9%落ちた

収支シミュレーションで、固定資産税・都市計画税(以下、固都税)をどう置いているでしょうか。「家賃の1.5%」「毎年一定」「築年数とともに少しずつ下がる」——このいずれかが多いはずです。

しかし固都税の建物部分は、固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)の経年減点補正率に従って動きます。この補正率は、木造家屋の場合「延べ床面積1.0㎡当たり再建築費評点数」の区分によって、下限0.20に到達するまでの年数が15年・20年・25年・35年の4通りに分かれます。同じ木造アパートでも、建築グレードが違えば税額の下がり方が2倍以上違うということです。

さらに、新築住宅の減額特例が切れる4年目には税額が跳ね上がり、建築物価の上昇局面では「評価替えの据置制度」によって、築年が進んでも建物評価額が下がらないことがあります。

この記事では、延べ床240㎡の木造一棟アパートを条件付きシミュレーションで設定し、経年減点補正率の4区分それぞれについて35年分の固都税・NOI・DSCR・実質利回りを実際に計算しました。あわせて、自分の物件がどの区分に該当するかを納税通知書から逆算する方法も示します。

本記事の数値は、公表されている評価基準と税率から筆者が計算した条件付きシミュレーションであり、実際の物件統計ではありません。情報確認日は2026年9月10日です。表面利回り・NOI・DSCR・IRRの基本的な計算方法は収益物件の収支計算完全ガイドにまとめています。

固都税は「4つの掛け算」で決まる

先に構造を押さえます。収支表がズレる原因は、この掛け算のうち2つが年ごとに動くことにあります。

土地部分

住宅用地には課税標準の特例があります。住宅1戸につき200㎡までの部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準が評価額の6分の1、都市計画税は3分の1になります。200㎡を超える部分(一般住宅用地)はそれぞれ3分の1・3分の2です。

共同住宅の場合、この200㎡は戸数分使えます。6戸なら1,200㎡まで小規模住宅用地です。したがって一棟アパートでは、よほど土地が広くない限り敷地全体が6分の1になります。逆に、戸数が少なく土地が広い物件(戸建て賃貸、テラスハウス、外部貸し駐車場を併設した敷地など)では枠を超え、超過部分の税負担が一気に重くなります。

そして土地の評価額は、経年で下がりません。土地部分の固都税は、保有期間を通じてほぼ一定と考えて構いません。

建物部分

建物は「再建築価格方式」で評価されます。

建物評価額 = 再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 評点1点当たりの価額

  • 再建築費評点数:屋根・外壁・建具・建築設備などを部分別に積み上げた点数。1点=1円ベースの工事原価相当額で、東京都特別区の物価水準が基準です。
  • 経年減点補正率:築1年で0.80、2年で0.75、3年で0.70。4年目以降は下限0.20に達するまで定額法で逓減します。この「下限到達年」が区分によって変わるのが本記事の主題です。
  • 評点1点当たりの価額:1円 × 物価水準による補正率(木造は1.00/0.95/0.90の3段階)× 設計管理費等による補正率(木造1.05)。

つまり建物の固都税は、①築年数(経年減点補正率)と②評価替え時の建築物価変動、という2つの要因で毎年変わります。「毎年一定」で置いた収支表が合わないのは当然です。

木造家屋の経年減点補正率は、評点区分で4通りに分かれる

固定資産評価基準 別表第9「木造家屋経年減点補正率基準表」の1(専用住宅、共同住宅、寄宿舎及び併用住宅用建物)は、延べ床面積1.0㎡当たり再建築費評点数によって4区分に分かれています。

評点数区分(延床1㎡当たり)

下限0.20への到達年

築10年の補正率

築20年の補正率

55,120点未満

15年

0.41

0.20

55,120点以上 86,320点未満

20年

0.49

0.20

86,320点以上 133,120点未満

25年

0.54

0.31

133,120点以上

35年

0.59

0.43

簡素な仕様のアパートほど早く下限に着き、仕様のよいアパートほど長く課税され続けます。建築費が高い建物は、取得後の保有コストも長く高いということです。

なお本記事の補正率は、告示表に示された値(3年度0.70、以降は下限到達年まで定額法、小数第2位四捨五入)から再現計算し、総務省資料に抜粋掲載された各年の値(4年・13年〜21年・24年〜26年・34年・35年)とすべて一致することを確認しています。

分析の前提条件

ここからの試算は架空ケース(条件付きシミュレーション)です。物件価格を先に決めるのではなく、「建物の再建築費評点数」を主変数に置き、それ以外を固定しました。

固定した条件

項目

設定

設定理由

物件種別

木造2階建て一棟アパート

経年減点補正率の区分差が最も大きい構造のため

延べ床面積

240㎡

1戸48㎡×5戸。新築減額の床面積要件(40㎡以上280㎡以下)を満たす規模

土地面積・評価額

300㎡/28,000円/㎡(評価額840万円)

5戸なら小規模住宅用地枠1,000㎡以内。地方中核都市の住宅地水準を想定

満室想定年家賃

540万円

月9.0万円×5戸

空室率

5%

試算を単純化するための固定値

運営費(固都税を除く)

満室想定家賃の15%=81万円

管理料・修繕・原状回復・保険等

物件価格

7,200万円

表面利回り7.5%から逆算(540万円÷0.075)

融資条件

借入6,480万円(LTV90%)、金利2.0%、30年、元利均等

年間返済額 287.4万円

税率

固定資産税1.4%/都市計画税0.3%

標準税率・上限税率

評点1点当たりの価額

1.05円(1円×物価水準1.00×設計管理費等1.05)

指定市水準。積雪寒冷補正は考慮せず

土地の固都税は、840万円×1/6×1.4%+840万円×1/3×0.3%=年28,000円で全ケース共通です。負担水準は100%に到達済みとし、負担調整措置は考慮していません。

変更した条件

延べ床1㎡当たり再建築費評点数を4水準に振り、それぞれの新築時(築1年)建物評価額を算出しました。

グレード

評点数(1㎡当たり)

下限到達年

新築時の建物評価額

A

45,000点

15年

907万円

B

70,000点

20年

1,411万円

C

110,000点

25年

2,218万円

D

150,000点

35年

3,024万円

なお、家屋の評価額は本来3年に1度の評価替えでのみ改定され、第二年度・第三年度は据え置かれます。検証1〜3では変化を見やすくするため経年減点補正率を毎年適用した理論値を示し、実際の3年サイクルと据置制度の影響は検証4で扱います。

検証1|35年分の固都税は、区分間で792万円違った

各グレードの年間固都税(土地込・新築減額適用後)は次のとおりです。

築年

A(15年)

B(20年)

C(25年)

D(35年)

1年

118,720円

169,120円

249,760円

330,400円

3年

107,380円

151,480円

222,040円

292,600円

4年

155,235円

228,920円

348,443円

464,968円

10年

107,040円

174,941円

282,470円

407,134円

15年

66,556円

132,958円

230,633円

355,726円

20年

66,556円

87,976円

174,084円

304,318円

25年

66,556円

87,976円

122,248円

259,336円

35年

66,556円

87,976円

122,248円

156,520円

築15年時点の年間固都税は、AとDで5.3倍の開きがあります。Aはこの時点ですでに下限に着き、以後19年間まったく変わりません。Dは35年目にようやく下限に到達します。

グレード

35年累計固都税

年平均

満室想定家賃比

実質利回りへの平均影響

A

299.7万円

85,633円

1.59%

▲0.119pt

B

449.6万円

128,447円

2.38%

▲0.178pt

C

709.4万円

202,676円

3.75%

▲0.281pt

D

1,091.7万円

311,910円

5.78%

▲0.433pt

AとDの35年累計差は792万円です。土地条件・家賃・融資条件がまったく同じでも、建物の評点区分が違うだけでこれだけの差が出ます。

ここで注目すべきは「家賃の何%か」の幅です。よく使われる「固都税は家賃の1.5%前後」という目安は、グレードAならほぼ合いますが、グレードDでは5.78%——約4倍のズレになります。

運営費の目安を率で置くと実額から離れるという構造は、修繕費でも同じです。修繕費「家賃の5%」で足りるのかでは長期修繕計画の実例から逆算し、不動産投資の諸費用は本当に7%なのかでは取得時費用を税率から積み上げています。運営費を一律の率で置いた収支表は、複数の項目で同じ方向にズレる可能性があります。

検証2|新築減額が終わる4年目、固都税は44.6〜58.9%増える

新築住宅には、建物の固定資産税額を3年間(3階建て以上の中高層耐火建築物は5年間)2分の1にする減額措置があります。1戸120㎡までの部分が対象で、都市計画税は減額されません。

この措置は4年目に終わります。3年目と4年目を比較しました。

グレード

3年目→4年目の固都税

増加額

増加率

税引前CFの変化

DSCR

実質利回り

A

107,380円→155,235円

+47,855円

+44.6%

▲3.6%

1.466→1.449

▲0.066pt

B

151,480円→228,920円

+77,440円

+51.1%

▲6.0%

1.450→1.423

▲0.108pt

C

222,040円→348,443円

+126,403円

+56.9%

▲10.3%

1.426→1.382

▲0.176pt

D

292,600円→464,968円

+172,368円

+58.9%

▲14.9%

1.401→1.341

▲0.239pt

増加率が44.6%から58.9%まで開くのは、都市計画税が減額対象外だからです。建物評価額が大きいほど固定資産税(減額対象)の比重が高く、終了時の跳ね返りも大きくなります。

グレードDでは税引前CFが14.9%、DSCRが0.060下がります。新築時にDSCR1.40で組んだ融資が、4年目には1.34になる計算です。新築アパートの提案書が「初年度収支」で作られている場合、4年目の姿は示されていない可能性があります。

保有中に段差が生じる項目は、これだけではありません。減価償却が終わる年に税引後CFがどう動くかは減価償却が終わった年、税引後CFは93万円減ったで、構造別の償却期間そのものは木造とRCで年間減価償却費は321万円違うで検証しています。固都税の4年目の段差と償却終了の段差は発生年が違うため、収支表では別々に置く必要があります。

検証3|1戸40㎡未満のアパートは、そもそも減額の対象外

見落とされやすいのが床面積要件です。新築住宅の減額措置は、居住部分の床面積が50㎡(一戸建て以外の貸家住宅は40㎡)以上280㎡以下であることが条件です。

つまり、専有面積が40㎡に満たない単身者向けアパートは、減額の対象になりません。同じ延べ床240㎡でも、5戸×48㎡なら3年間半額、8戸×30㎡なら1年目から満額課税です。

グレード

1年目(48㎡型)

1年目(30㎡型)

3年間の累計差

A

118,720円

182,224円

178,605円

B

169,120円

267,904円

277,830円

C

249,760円

404,992円

436,590円

D

330,400円

542,080円

595,350円

グレードDでは3年間で約60万円の差です。ワンルーム型は戸数が多く賃料単価が高い一方、この減額は使えません。新築時の収支比較で、間取りタイプの違いがここに効いてくることは、あまり指摘されません。

なお令和8年度税制改正により、この減額措置は令和13年3月31日まで5年間延長され、床面積要件の下限が原則40㎡(現行50㎡)に緩和されるとされています。貸家住宅はもともと40㎡のため、この緩和による賃貸物件への直接の影響は限定的です(2026年9月10日時点)。

検証4|建築物価が上がると、築年が進んでも評価額は下がらない

ここまでは経年減点補正率どおりに評価額が下がる前提でした。しかし実際は、3年に1度の評価替えで再建築費評点補正率(3年間の建築物価変動)が掛けられます。

そして重要なルールがあります。評価替えの結果が前年度の評価額を上回る場合、評価額は前年度に据え置かれます(引き上げられることはありません)。裏を返せば、建築物価の上昇が経年減価を上回っている間、建物の評価額は下がりません

据置になる境界を逆算しました。評価替え直前の築年ごとに、「建築物価が3年間で何%上がると評価額が下がらなくなるか」を示します。

評価替え直前の築年

A(15年)

B(20年)

C(25年)

D(35年)

4年

+24.5%

+15.5%

+11.5%

+6.2%

7年

+29.3%

+18.4%

+13.0%

+8.5%

10年

+46.4%

+19.5%

+14.9%

+9.3%

13年

+40.0%

+28.1%

+17.5%

+8.0%

16年以降

下限到達済(上昇すれば常に据置)

+39.1%

+17.6%

+11.1%

令和6基準年度の再建築費評点補正率は木造1.11(+11%)でした(令和3基準年度は1.04)。この水準が続くと仮定すると、グレードDでは築4年から築28年まで、11回の評価替えのうち8回が据置になります。

さらに見落とされやすいのは、下限0.20に到達した後です。補正率がそれ以上下がらないため、建築物価がわずかでも上がれば評価額は必ず据置になります。グレードAは築16年以降、評価額が二度と下がりません。

建築物価の上昇率別に、築34年時点の年間固都税(土地込)を試算しました。

建築物価シナリオ

A

B

C

D

横ばい(補正率1.00)

66,556円

87,976円

122,248円

169,372円

3年ごと+7%

82,077円

124,308円

189,936円

325,567円

3年ごと+11%(令和6年度と同水準)

92,969円

152,520円

245,198円

473,570円

グレードDでは、横ばいシナリオと+11%シナリオで築34年時点の固都税が2.8倍違います。これは「築古になれば税は軽くなる」という前提が、物価上昇局面では成立しないことを意味します。

ただし、+11%が11回続くという想定は令和6基準年度の実績値を機械的に延長したものであり、予測ではありません。次の評価替えは令和9年度(2027年度)です。

逆算|自分の物件がどの区分かを納税通知書から判定する

ここまでの4区分は、自分の物件についても判定できます。必要なのは、納税通知書(課税明細書)の家屋の価格(評価額)延べ床面積築年数の3つです。

延床1㎡当たり再建築費評点数 = 建物評価額 ÷(延べ床面積 × 経年減点補正率 × 1.05 × 物価水準補正率)

経年減点補正率が区分によって違うため厳密には反復計算になりますが、実務上は「新築時評価額の目安」で判定するほうが簡単です。延べ床面積1㎡当たりの新築時(築1年)建物評価額に換算すると、境界は次のようになります(物価水準補正率1.00の場合)。

新築時の建物評価額(延床1㎡当たり)

延床240㎡なら

下限到達年

46,300円未満

1,111万円未満

15年

46,300円以上 72,500円未満

1,111万〜1,740万円

20年

72,500円以上 111,800円未満

1,740万〜2,684万円

25年

111,800円以上

2,684万円以上

35年

中古で購入する場合は、現在の評価額と築年数から割り戻します。4区分それぞれの補正率を当てはめ、算出された評点数がその区分の範囲に収まるものが答えです。

たとえば延床240㎡・築8年・建物評価額1,500万円の場合、15年区分と仮定すると121,477点/㎡(=133,120点未満なので不整合)、20年区分なら108,225点/㎡(=86,320点以上なので不整合)、35年区分なら96,006点/㎡(=133,120点未満なので不整合)。整合するのは25年区分(約100,900点/㎡)だけです。つまりこの物件は、あと17年間、建物への課税が下限まで下がりません

物価水準補正率が0.95や0.90の市町村では、同じ建物でも評価額が5〜10%低く出ます。境界額もその分下がるため、判定の際は自治体の物価水準補正率を確認してください。

結果から分かること

  1. 固都税を「家賃の一定%」で置くのは、区分によって最大4倍ズレる。 35年平均で家賃比1.59%(A)〜5.78%(D)。「1.5%」という目安が当てはまるのは、簡素な仕様の木造アパートだけです。
  2. 4年目に必ず段差がある。 新築減額の終了で固都税は44.6〜58.9%増え、税引前CFは3.6〜14.9%落ちます。新築物件の収支は、初年度ではなく4年目で見るべきです。
  3. 1戸40㎡未満の貸家は減額そのものがない。 間取りタイプの違いが、3年間で最大約60万円の差になります。
  4. 「築古なら税は軽い」は物価上昇局面では成立しない。 据置制度により、グレードDでは11回の評価替えのうち8回が据置になる計算です。下限到達後は、物価が上がる限り評価額は下がりません。
  5. 建築グレードは取得コストだけでなく保有コストにも効く。 仕様のよい建物は評価額が高く、下限到達も遅い。35年累計で792万円の差は、修繕費の想定差に匹敵する規模です。

投資判断への使い方

この分析は「どのグレードが有利か」を決めるものではありません。仕様のよい建物は賃料も出口価格も高くなり得ますし、修繕費は逆に少なく済む可能性があります。固都税だけを取り出して優劣を判断することはできません。

使い方としては、次の3つが現実的です。

1. 新築・築浅を検討するときは、4年目のDSCRを確認する。 提案書の初年度DSCRから、検証2の低下幅(0.017〜0.060)を差し引いた値が実力値に近くなります。融資審査上のDSCR基準にぎりぎりで乗せている場合、4年目に基準を割る可能性があります。

2. 中古を検討するときは、納税通知書の建物評価額と延べ床面積を必ずもらう。 前所有者の課税明細書は、売主または仲介会社が保管しています。ここから区分を判定すれば、あと何年建物課税が続くかが分かります。「もう築25年だから税は安いはず」という感覚は、133,120点以上の区分では外れます。なお、この建物評価額は積算価格の算出でも使う数字なので、価格査定と保有コストの両方で活きます。築年数そのものが収益に与える影響は築5年・15年・25年・35年の木造アパート、どれが有利かで検証しています。

3. 長期保有前提の収支表では、固都税を逓減させすぎない。 据置制度がある以上、経年減点どおりに下がる前提は楽観側に振れます。保守的に見るなら、下限到達後は横ばい、それ以前も物価上昇分を織り込んで緩やかに減らすのが実態に近くなります。

今回の試算では、空室率5%・運営費15%・金利2.0%・融資期間30年を固定しています。実際には家賃水準、運営費率、融資条件によってCFとDSCRの感応度は変わります。自分の物件条件で確認したい場合は、RE-AIのキャッシュフローシミュレーターで年間CF・NOI・DSCRを試算することができます。運営費の欄に、本記事で求めた年別の固都税を入れ替えて比較すると、4年目の段差がどの程度効くかを自分の数字で確認できます。

この分析で分からないこと

  • 実際の再建築費評点数:本記事のグレードA〜Dは筆者が設定した仮定値です。実際の評点数は市町村の実地調査によって部分別に積み上げられ、同じ建築費でも自治体・仕様によって変わります。
  • 市町村ごとの差:物価水準補正率(1.00/0.95/0.90)、積雪寒冷補正(5〜25%の減価)、都市計画税の税率や課税の有無、需給事情による減点補正率は考慮していません。
  • 土地の負担調整措置:負担水準100%到達を前提としており、取得直後や評価替え直後の経過措置は反映していません。
  • 償却資産:エアコン、給湯器、太陽光設備などの償却資産に対する固定資産税は含めていません。
  • 将来の制度:税率、特例の延長、評価基準の改正、将来の再建築費評点補正率はいずれも確定していません。検証4のシナリオは予測ではありません。
  • 税額そのものの決定権:固定資産税額を決定するのは市町村です。本記事は公表されている評価基準からの再現計算であり、個別物件の税額を保証するものではありません。実額は課税明細書と自治体窓口で確認してください。

また、建築グレードと家賃・空室率・修繕費・出口価格の関係は本記事では扱っていません。固都税だけを見て建物仕様の優劣を判断することはできません。

まとめ

木造アパートの建物固定資産税は、経年減点補正率が下限0.20に達するまで下がり続けます。その到達年は延べ床1㎡当たり再建築費評点数の区分によって15年・20年・25年・35年に分かれ、延べ床240㎡・土地300㎡の条件では35年累計固都税に792万円の差が出ました。

加えて、新築減額が終わる4年目に固都税は44.6〜58.9%増え、税引前CFは最大14.9%落ちます。1戸40㎡未満の貸家住宅はこの減額の対象外です。そして評価替えの据置制度により、建築物価が3年で6〜9%上昇するだけで、築4〜13年のグレードDは評価額が下がらなくなります。

固都税は、金利や空室率と違って交渉も対策もできない固定費です。だからこそ、購入前に「あと何年、いくら払い続けるのか」を確認できる数少ない項目でもあります。納税通知書の建物評価額と延べ床面積があれば、その年数は逆算できます。

金利、空室率、家賃下落、修繕費、そして固都税のように年ごとに動く項目を同時に置いて計算すると、表計算だけでは確認項目が増えていきます。RE-AIでは、こうした複数条件をまとめて確認できるよう設計しています。ただし本記事のような自治体固有の条件は、最終的に課税明細書での確認が必要です。

参考資料・出典

  • 総務省 自治税務局資産評価室「固定資産評価のしくみについて(家屋評価)」(経年減点補正率基準表、再建築価格方式、評点1点当たりの価額、評価替えの据置制度、令和6基準年度の改正)
  • 固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号)別表第9「木造家屋経年減点補正率基準表」
  • 国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)——新築住宅に係る税額の減額措置の5年間延長および床面積要件の緩和
  • 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」(小規模住宅用地・一般住宅用地の課税標準特例)
  • 地方税法第341条・第349条・第388条・第403条ほか

情報確認日:2026年9月10日。税率・特例の適用可否・評価額はお住まいの市町村により異なります。実際の判断にあたっては、課税明細書および自治体・税理士への確認をお願いします。本記事は投資助言ではありません。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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