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収益性・収支

不動産投資の諸費用は本当に7%なのか|税率から積み上げると8.0〜9.2%、頭金10%なら投下自己資金の47%が諸費用だった

不動産投資の諸費用は本当に7%なのか|税率から積み上げると8.0〜9.2%、頭金10%なら投下自己資金の47%が諸費用だった

収益物件の購入では「諸費用は物件価格の7%前後」と説明されることが多くあります。ただ、この7%がどの税率をどう積み上げた数字なのかまで示している資料は、あまり見かけません。

そこで今回は、買主が実際に負担する項目をひとつずつ法定税率から積み上げて計算し、次の3点を検証しました。

  • 諸費用率は物件価格によって変わるのか
  • 諸費用を含めるとCCR(自己資金利回り)とIRRはどれだけ下がるのか
  • 投下自己資金を回収できる年は、諸費用の有無で何年ずれるのか

結論から書くと、積み上げた諸費用率は7.98%〜9.23%で、通説の7%より高く出ました。そして諸費用率を動かしていたのは物件価格ではなく、土地と建物の価格比率頭金比率でした。

本記事の数値は、実在物件の統計ではなく条件を固定したシミュレーションです。税率・評価の考え方は公的資料に基づき、条件設定は記事内にすべて記載しています。

1.この記事で検証する疑問

「諸費用7%」という数字そのものは、それほど重要ではありません。問題は、その諸費用が融資の対象外になりやすく、頭金と同じく手元の現金から出ていく点です。

物件価格6,000万円・頭金20%なら、頭金は1,200万円です。しかし諸費用が500万円あるなら、実際に用意する現金は1,700万円になります。この差は、利回りの計算にはまったく現れません。

NOI・DSCR・IRRといった指標の計算方法そのものは収益物件の収支計算完全ガイドで整理しています。本記事は、そこに取得時の一時支出をどう組み込むかを検証する位置づけです。

そこで今回は、次の順番で検証します。

  • 税率から諸費用を積み上げ、実額と対価格比率を出す
  • 物件価格・構造・頭金比率を変えて、比率がどう動くかを見る
  • 諸費用を初期投資に含めた場合のCCRとIRRを計算する
  • 目標CCRから、必要な表面利回りを逆算する

2.分析の前提条件

今回は比率の分析が目的なので、特定の1物件に固定せず、価格帯と構造を振っています。基本ケースは次のとおりです。

項目

設定

基本ケース

木造一棟アパート・築15年

物件価格

6,000万円(比較として3,000万円/1.2億円/2億円)

表面利回り

8.0%(満室想定家賃480万円)

空室率

5%

運営費

満室想定家賃の20%

金利

2.0%(比較として1.5〜3.5%)

融資期間

25年・元利均等

頭金

20%(比較として0〜40%)

土地:建物の価格比

50:50(比較として65:35〜32:68)

固定資産税評価額は、次の考え方で置いています。

  • 土地:宅地の固定資産税評価額は地価公示価格等の7割を目途とされているため、土地価格 × 70%
  • 建物:再建築価格から経年減価を控除して評価されるため、建物価格 × 45〜70%(築年数・構造で変動する想定値)

土地の7割評価は総務省の評価の仕組みに基づく数値ですが、建物評価額の割合は本記事の設定値です。実際の評価額は個別に異なるため、後の章で建物評価率を振った感応度も出しています。

3.諸費用を税率から積み上げる

まず、買主が負担する費目を確認します。金額は基本ケース(6,000万円・土地建物50:50・借入4,800万円)です。

① 仲介手数料

宅地建物取引業法にもとづく報酬額の上限は、売買価格400万円超で「価格×3%+6万円+消費税」です。上限いっぱいで計算すると204.6万円(価格の3.41%)となり、諸費用の中で最大の項目になります。

② 印紙税

売買契約書には、令和9年3月31日までに作成されるものについて軽減税率が適用されます。契約金額5,000万円超1億円以下は本則6万円が3万円です。一方、融資を受ける際の金銭消費貸借契約書には軽減措置がなく、5,000万円超1億円以下で6万円(借入4,800万円なら2万円)かかります。

③ 登録免許税

ここが投資用物件で見落とされやすいところです。

登記の種類

課税標準

税率

金額

土地の所有権移転

土地の固定資産税評価額 2,100万円

1.5%(軽減)

31.5万円

建物の所有権移転

建物の固定資産税評価額 1,650万円

2.0%(本則)

33.0万円

抵当権設定

債権額 4,800万円

0.4%

19.2万円

土地の売買による所有権移転登記は、本則2.0%が1.5%に軽減されています(令和11年3月31日まで/2026年8月時点)。

ただし建物側にある「住宅用家屋の軽減税率(0.3%等)」は、自己の居住用であることが要件です。賃貸用として取得する収益物件は対象外なので、本則2.0%のままになります。マイホーム購入の記事に載っている税率をそのまま当てはめると、ここで6倍以上ずれます

④ 不動産取得税

不動産取得税も同様です。税率は令和9年3月31日までの取得について、土地・住宅とも本則4%が3%に軽減され、宅地は課税標準が2分の1になります。ここまでは投資用でも使えます。

区分

計算

金額

土地

2,100万円 × 1/2 × 3%

31.5万円

建物

1,650万円 × 3%

49.5万円

一方で、中古住宅を取得したときの評価額からの控除(最大1,200万円等)は、取得者が自己の居住用に供する場合の措置です。賃貸経営目的の取得では使えません。また、住宅用土地の減額措置も住宅の要件と結びついています。

つまり収益物件では、「税率3%」と「宅地1/2」は効くが、「建物の控除」は効かないという構造になります。ここを取り違えると、建物価格が大きい物件ほど見積もりが狂います。

⑤ 融資関連費用・その他

融資事務手数料は金融機関により定率型(借入額の2.2%など)定額型(3〜11万円程度)に分かれます。ここでは定率2.2%を基本とし、後で方式別の比較も行います。加えて司法書士報酬12万円、火災保険(5年一括、建物価格の0.6%相当)を計上しました。

積み上げ結果

費目

金額

対価格

仲介手数料

204.6万円

3.41%

融資事務手数料(2.2%)

105.6万円

1.76%

不動産取得税(建物)

49.5万円

0.83%

登録免許税(建物移転2.0%)

33.0万円

0.55%

登録免許税(土地移転1.5%)

31.5万円

0.53%

不動産取得税(土地)

31.5万円

0.53%

登録免許税(抵当権0.4%)

19.2万円

0.32%

火災保険(5年一括)

18.0万円

0.30%

司法書士報酬

12.0万円

0.20%

印紙税(売買契約・軽減後)

3.0万円

0.05%

印紙税(金銭消費貸借契約)

2.0万円

0.03%

合計

509.9万円

8.50%

通説の7%なら420万円ですが、積み上げると509.9万円。差は約90万円です。年間キャッシュフロー(後述115.9万円)の8割近くに相当します。

4.検証1:諸費用率は物件価格ではほとんど変わらない

「小さい物件ほど諸費用率が高い」と言われることがあります。印紙税や司法書士報酬が定額だからです。実際に価格だけを振ってみます。

固定:土地建物比率50:50/頭金20%/融資事務手数料2.2%
変更:物件価格

物件価格

諸費用

対価格

通説7%との差

3,000万円

264.8万円

8.82%

+54.8万円

6,000万円

509.9万円

8.50%

+89.9万円

1億2,000万円

1,003.2万円

8.36%

+163.2万円

2億円

1,655.6万円

8.28%

+255.6万円

価格が6.7倍になっても、諸費用率の差は0.54ptしかありません。定額項目(印紙税・司法書士報酬で最大18万円程度)は、諸費用全体から見れば誤差の範囲でした。

逆に言えば、「物件価格がいくらか」は諸費用率の議論にほとんど意味を持たないということです。では何が効いているのでしょうか。

5.検証2:諸費用率を動かすのは「土地と建物の価格比率」だった

建物には登録免許税2.0%と不動産取得税3%、合わせて評価額の5%がかかります。一方、土地は登録免許税1.5%と不動産取得税1.5%(1/2特例後)で評価額の3%です。しかも土地は7割評価が働きます。

つまり同じ価格でも、建物価格の比率が高い物件ほど諸費用が増えます

固定:物件価格6,000万円/頭金20%/融資条件
変更:土地建物比率と建物評価率(築年数・構造の違いを想定)

想定

土地:建物

建物評価率

諸費用

対価格

木造 築25年

65:35

45%

488万円

8.14%

木造 築15年

50:50

55%

510万円

8.50%

鉄骨 築10年

42:58

60%

525万円

8.74%

RC 築5年

32:68

70%

554万円

9.23%

同じ6,000万円でも、諸費用は488万円〜554万円、差は66万円(1.09pt)です。価格帯を6.7倍動かしたときの差(0.54pt)より、構造・築年数を動かしたときの差のほうが2倍大きいという結果になりました。

ただし、これは相関の話ではありません。建物比率が高いと諸費用が増えるのは、課税標準が建物評価額だからという計算構造そのものです。築浅RCが不利という意味ではなく、同じ諸費用率を全物件に当てはめる見積もり方が精度を欠く、という意味になります。

土地と建物への価格配分をどう見積もるかは、積算価格の考え方と直結します。詳しくは木造・鉄骨・RCで積算価格はいくら変わるかで構造別に計算しています。

6.検証3:頭金を減らすほど、投下自己資金に占める諸費用が跳ね上がる

ここが今回いちばん大きかった発見です。諸費用の対価格比率は8%台で安定していますが、投下自己資金に対する比率はまったく安定しません。

固定:物件価格6,000万円/表面8.0%/金利2.0%/25年/土地建物50:50
変更:頭金比率

頭金

借入額

諸費用

対価格

投下自己資金
(頭金+諸費用)

諸費用が
占める割合

0%(フルローン)

6,000万円

545万円

9.09%

545万円

100.0%

5%

5,700万円

537万円

8.96%

837万円

64.2%

10%

5,400万円

530万円

8.82%

1,130万円

46.9%

20%

4,800万円

510万円

8.50%

1,710万円

29.8%

30%

4,200万円

494万円

8.24%

2,294万円

21.5%

40%

3,600万円

479万円

7.98%

2,879万円

16.6%

フルローンでも、用意する現金がゼロになるわけではありません。むしろ手元から出ていく545万円は全額が諸費用です。「自己資金ゼロ」という表現が指しているのは頭金がゼロという意味であって、投下資金がゼロという意味ではないことが、数字として確認できます。

頭金10%のケースでは、投下自己資金1,130万円のうち530万円(46.9%)が諸費用です。頭金600万円を用意した投資家にとって、実際の必要額は約1.9倍になります。

頭金比率そのものがDSCRや返済額に与える影響については、頭金10%・20%・30%でDSCRと月々の返済を比較で別途検証しています。今回の結果と合わせると、頭金を下げる判断には「返済比率が上がる」ことに加えて「投下資金の内訳が諸費用に偏る」という論点が加わります。

7.検証4:CCRは最大15pt、10年IRRは最大10pt下がる

諸費用を初期投資に含めるかどうかで、投資指標はどう変わるのでしょうか。

基本ケースの年間キャッシュフローは次のとおりです。

  • 満室想定家賃480万円 − 空室損24万円 − 運営費96万円 = NOI 360.0万円
  • 年間返済額(4,800万円・2.0%・25年)= 244.1万円
  • 年間キャッシュフロー(税引前)= 115.9万円(DSCR 1.47倍)

頭金

年間CF

CCR
(頭金のみを分母)

CCR
(諸費用込みを分母)

5%

70.1万円

23.36%

8.37%

▲14.99pt

10%

85.3万円

14.22%

7.56%

▲6.67pt

20%

115.9万円

9.65%

6.78%

▲2.88pt

30%

146.4万円

8.13%

6.38%

▲1.75pt

40%

176.9万円

7.37%

6.14%

▲1.23pt

頭金5%のケースでCCR23.36%という数字は、頭金300万円だけを分母に置いたときの値です。実際には諸費用537万円も出ていくので、投下資金837万円に対する利回りは8.37%3分の1近くまで下がります

IRRでも同じことが起こります。保有10年・家賃下落年0.5%・出口Cap Rateを取得時NOI利回り+0.5pt・売却費用4%として計算しました。

頭金

10年IRR
(諸費用を含めない)

10年IRR
(諸費用を含める)

10%

18.92%

8.83%

▲10.09pt

20%

12.14%

6.94%

▲5.20pt

30%

9.34%

5.89%

▲3.44pt

頭金10%で「IRR18.9%」という試算を見たら、諸費用が初期投資に入っているかを確認する価値があります。入っていなければ、実質は8.83%です。

誤解のないように書くと、正しいのは諸費用を含めたほうです。諸費用は物件を取得するために現金で支出する以上、初期投資に含めるのが実態に合います。含めない試算は、レバレッジが高いほど数字を良く見せます。

8.検証5:不動産取得税は「初年度CFの60〜91%」が数ヶ月後に出ていく

諸費用は一度に出ていくわけではありません。支払いタイミングで分けると次のようになります。

タイミング

金額

諸費用に占める割合

契約時(印紙税)

3.0万円

0.6%

決済時(仲介手数料・登記・融資費用・保険)

425.9万円

83.5%

引渡し後3〜6ヶ月(不動産取得税)

81.0万円

15.9%

問題は最後の不動産取得税です。納税通知書は取得から数ヶ月後に届くため、決済で手元資金を使い切っていると、家賃収入が積み上がる前に納付期限が来ます。

初年度の年間キャッシュフロー115.9万円と比べると、次のようになります。

想定(価格6,000万円・頭金20%)

取得税(土地)

取得税(建物)

合計

初年度CF比

木造 築25年

41.0万円

28.4万円

69.3万円

60%

木造 築15年

31.5万円

49.5万円

81.0万円

70%

鉄骨 築10年

26.5万円

62.6万円

89.1万円

77%

RC 築5年

20.2万円

85.7万円

105.8万円

91%

築浅RCでは、初年度キャッシュフローの9割に相当する金額が、家賃が1年分溜まる前に出ていく計算になります。物件そのものの収支が悪いわけではなく、支出のタイミングの問題です。

9.逆算:諸費用込みで目標CCRを満たすには、表面利回りが何pt必要か

ここまでは「ある物件がどうなるか」を見てきました。逆に、目標から必要条件を逆算してみます。

固定:物件価格6,000万円/頭金20%/金利2.0%/25年/空室5%/運営費20%
変更:表面利回り(目標CCRを満たす水準を探索)

目標CCR

諸費用を無視した場合に
必要な表面利回り

諸費用込みで
必要な表面利回り

6%

7.03%

7.71%

+0.68pt

8%

7.56%

8.47%

+0.91pt

10%

8.09%

9.23%

+1.13pt

読み替えると、諸費用8.5%は表面利回り0.7〜1.1pt分の価値を消していることになります。表面8.0%の物件を探しているつもりでも、諸費用まで含めた実質的な要求水準は9%台に上がっている、という構造です。

もうひとつの逆算として、投下自己資金をキャッシュフローだけで回収できる年も計算しました(家賃下落年0.5%を考慮)。

頭金

頭金だけを回収

頭金+諸費用を回収

遅れ

10%(1,130万円)

8年目

17年目

9年

20%(1,710万円)

12年目

18年目

6年

30%(2,294万円)

14年目

18年目

4年

頭金10%のケースでは、回収年が8年目から17年目へ9年遅れます。頭金を減らして回収を早めたつもりが、諸費用を含めると差が縮まる(17年・18年・18年)という結果になりました。

10.金利が上がると、諸費用の重みも増す

諸費用の金額自体は金利と関係ありません。しかし回収原資であるキャッシュフローが減るため、回収年数は伸びます

固定:物件価格6,000万円/表面8.0%/頭金20%/25年/諸費用510万円
変更:金利

金利

年間CF

CCR(頭金のみ)

CCR(諸費用込み)

諸費用の回収年数

1.5%

129.6万円

10.80%

7.58%

3.9年

2.0%

115.9万円

9.65%

6.78%

4.4年

2.5%

101.6万円

8.47%

5.94%

5.0年

3.0%

86.9万円

7.24%

5.08%

5.9年

3.5%

71.6万円

5.97%

4.19%

7.1年

金利1.5%では3.9年で回収できる諸費用が、3.5%では7.1年かかります。金利が2pt上がると、諸費用の回収だけで3.2年余計にかかる計算です。

なお、融資事務手数料の方式によっても金額は変わります。

融資事務手数料の方式

諸費用

対価格

諸費用込みCCR

定率2.2%

510万円

8.50%

6.78%

定率1.1%

457万円

7.62%

6.99%

定額11万円

415万円

6.92%

7.17%

定率2.2%と定額型では95万円(1.58pt)の差があります。金利だけを比較して金融機関を選ぶと、この差は見えません。

11.結果から分かること

  • 法定税率から積み上げた諸費用率は7.98〜9.23%で、通説の7%より高い
  • 物件価格を6.7倍動かしても諸費用率の差は0.54ptにとどまる
  • 諸費用率を動かすのは土地建物比率(1.09pt)頭金比率(1.11pt)
  • 投資用物件では、登録免許税の住宅用家屋軽減と不動産取得税の建物控除が使えない
  • 頭金10%なら投下自己資金の46.9%、フルローンなら100%が諸費用
  • 諸費用を初期投資に含めると、頭金10%で10年IRRは18.92%→8.83%
  • 諸費用は表面利回り0.7〜1.1pt分に相当する
  • 不動産取得税は初年度CFの60〜91%が引渡し後3〜6ヶ月に発生する

12.投資判断への使い方

この分析は、次の3つの場面で使えます。

① 物件を比較するとき
同じ価格・同じ表面利回りの木造築25年とRC築5年では、諸費用が66万円違います。土地建物比率が違う物件を並べるときは、諸費用も個別に見積もったほうが精度が上がります。

② 頭金を決めるとき
頭金を下げる判断は、返済比率だけの問題ではありません。投下自己資金に占める諸費用の割合が上がり、回収年数も想定ほど短くなりません(今回の条件では頭金10%・20%・30%のいずれも回収は17〜18年目でした)。

③ 利回りの下限を決めるとき
目標CCRがあるなら、諸費用分として表面利回りに0.7〜1.1ptを上乗せした水準を探索基準にすると、後から下方修正する場面が減ります。DSCRや年間CFの目標から購入価格そのものを逆算する方法は、自分はいくらまで払えるのかを3条件から逆算した記事で扱っています。

なお、購入時の仲介手数料・登録免許税・不動産取得税などは、売却時の譲渡所得を計算する際の取得費に算入できるものがあります。保有中のキャッシュフローでは重く効きますが、出口では課税所得を圧縮する側にも働きます。この扱いは収益物件を売ると税金はいくら?譲渡所得税の計算方法で整理しています。

今回の試算は物件価格6,000万円・表面8.0%・金利2.0%・25年を基準にしていますが、実際の諸費用と手残りは、価格・借入条件・運営費の置き方で変わります。自分の物件条件で年間CFとCCRを確認したい場合は、キャッシュフロー計算機(無料・登録不要)で数値を差し替えながら試算できます。諸費用は自己資金に加算して入力すると、今回と同じ「諸費用込みCCR」を確認できます。

13.この分析で分からないこと

今回の計算は条件を固定したシミュレーションであり、次の点は反映していません。

  • 固定資産税評価額:土地の7割評価は公的な目安ですが、建物評価額の割合は本記事の設定値です。実際の評価額は物件ごとの評価証明書で確認が必要です
  • 土地建物への価格配分:売買契約書の記載や合理的な按分方法によって変わり、登録免許税・不動産取得税の額も変わります
  • 仲介手数料:法定上限で計算しています。実際には交渉余地や、売主直販で不要になるケースがあります
  • 融資条件:事務手数料の方式、保証料の有無、団信の扱いは金融機関ごとに異なります
  • 地域差:不動産取得税は都道府県税で、免税点や申告手続きの運用に地域差があります
  • 税制の時限措置:登録免許税・不動産取得税・印紙税の軽減はいずれも期限付きで、今後の改正で変わり得ます
  • 個別物件の競争力:空室率5%・運営費20%・家賃下落年0.5%は仮定であり、実際の運営結果を保証するものではありません

また、諸費用が投資指標を押し下げるという結果は、その物件を買うべきでないことを意味しません。収益性が維持されていても資金繰りの山が前半に来る、という構造を示したものです。判断には、諸費用を含めた収支と、出口での取得費算入まで含めて見る必要があります。

14.まとめ

諸費用について確認できたのは、次の点でした。

  • 実額は物件価格の8%前後で、通説の7%では50〜250万円足りない
  • 比率を左右するのは物件価格ではなく、土地建物比率頭金比率
  • 投資用物件はマイホーム向けの軽減措置が使えず、建物側の税負担が重い
  • 頭金を下げるほど、投下自己資金に占める諸費用の割合が上がる
  • 諸費用込みで見ると、CCRもIRRも回収年数も大きく変わる

今回のように、諸費用・金利・空室・家賃下落・出口条件を同時に動かすと、確認すべき項目が増えます。RE-AIでは、こうした複数条件をまとめて確認できるよう設計していますが、実際の評価額・融資条件・税務判断については、金融機関や税理士への確認が前提になります。

参考資料・出典

情報確認日:2026年8月25日

税率・軽減措置の適用期限は改正により変わります。実際の取得にあたっては、物件所在地の都道府県税事務所および税理士へご確認ください。本記事は投資判断の参考情報であり、投資助言ではありません。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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