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元金均等返済は本当に得か|元利均等との差を初年度DSCR・総利息・出口の手残り・IRRで検証

元金均等返済は本当に得か|元利均等との差を初年度DSCR・総利息・出口の手残り・IRRで検証

「元金均等返済のほうが総利息は少ない」——これは事実です。今回の条件でも、総利息は元利均等より388.9万円少なくなりました。

ただし、収益物件の融資でこの選択をするとき、実際に効いてくるのは総利息ではありません。初年度のDSCRが1.353倍から1.121倍へ0.232ポイント下がり、年間キャッシュフローが101.9万円減るほうです。そして、その初年度の負担増のうち利息が原因の部分は、わずか1.0万円しかありませんでした。

この記事では、同一の借入条件(1億800万円・金利2.2%・30年)で元利均等返済と元金均等返済を並べ、初年度DSCR、年次のDSCR回復曲線、総利息、10年後の残債、出口の手残り、IRR、複合ストレス耐性まで実際に計算しています。最後に「元金均等を選べる借入条件」を借入額・NOI・金利・融資期間の4方向から逆算しました。

この記事で検証する疑問

  • 元金均等返済にすると、初年度のDSCRとキャッシュフローはどれだけ下がるのか
  • 下がったDSCRが元利均等の水準に追いつくのは何年目か
  • 総利息が少ないぶん、出口の手残りとIRRはどうなるのか
  • 空室・金利・家賃下落が同時に悪化したとき、どちらが先に耐えられなくなるのか
  • そもそも、この物件で元金均等を選べる借入条件はどこまでか

返済方式の説明ではなく、「同じ物件・同じ借入額で方式だけを変えたら投資指標がどう動くか」を数字で確認するのが目的です。

使用したデータの区分

本記事で扱う数値は、次の3種類に分かれます。読み進める際は、どの区分の数字かを意識してください。

区分

内容

架空ケース

物件価格・家賃・空室率・運営費・借入条件。今回の検証のために設定した条件であり、実在の物件ではありません。

シミュレーション

返済額、DSCR、残債、総利息、売却手残り、IRR。すべて下記の条件から実際に計算した値です。

公開データ

日本銀行の貸出約定平均金利、日本政策金融公庫の返済方式。出典は記事末尾に記載しています。

RE-AIの診断実績データは本記事では使用していません。すべて条件を固定したシミュレーションです。

前提条件(架空ケース)

今回は「返済方式の違いが、返済負担の重い借り方でどう効くか」を見たいテーマです。そのため、自己資金を厚く入れた余裕のある条件ではなく、LTV90%で長期に借りる一棟物件を想定しました。返済方式の差が最も判断に影響するのは、DSCRの余裕が限られている借り方だからです。

また、元金均等返済は残存耐用年数の長い建物で長期の融資が組めるケースで検討対象になりやすいため、RC造の一棟マンションを想定しています。

項目

設定値

設定理由

物件種別

RC造 一棟マンション・築15年

法定耐用年数47年に対し残存32年。30年融資が検討対象になる構造

物件価格

12,000万円

地方中核都市の中規模一棟。個人の専業投資家〜資産管理法人が検討する規模

満室想定年間家賃

900万円

表面利回り7.5%。築15年RCとして整合する水準

空室・滞納率

6%

実効収入 846万円

年間運営費

180万円(満室家賃の20%)

管理料・修繕費・固都税・保険・共用光熱費

NOI

666万円

846万円 − 180万円。NOI利回り5.55%

購入諸費用

960万円(価格の8%)

取得総額 12,960万円

借入額

10,800万円

LTV90%

自己資金

2,160万円

取得総額 − 借入額

金利

2.2%(全期間固定と仮定)

下記のとおり公開統計を参照して設定

融資期間

30年・毎月返済

残存耐用年数32年の範囲内

金利2.2%は、日本銀行「貸出約定平均金利」の2026年6月時点における国内銀行・新規・長期の平均1.944%を参照し、収益物件向け融資が個人向け平均をやや上回ることを見込んで設定した比較用の値です(情報確認日:2026年8月26日)。特定の金融機関の提示金利ではありません。

固定した条件:物件価格、家賃、空室率、運営費、借入額、金利、融資期間、自己資金
変更した条件:返済方式(元利均等 / 元金均等)のみ

後半のストレス検証と逆算では、変更する条件を明記したうえで空室率・金利・家賃下落率・借入額を動かしています。

2つの返済方式の計算方法

元利均等返済は毎月の返済額(元金+利息)が一定です。月利をi、返済回数をNとすると、月々返済額 = P × i × (1+i)^N ÷ ((1+i)^N − 1) で求めます。返済初期は返済額に占める利息の割合が大きく、元金はゆるやかにしか減りません。

元金均等返済は毎月返す元金が一定です。月々の元金 = P ÷ N で固定され、そこにその時点の残債に対する利息が上乗せされます。返済額は初回が最も大きく、毎月わずかずつ減っていきます。

今回の条件では、月々の元金は 10,800万円 ÷ 360回 = 30万円で固定。初月の利息は 10,800万円 × 2.2% ÷ 12 = 19.8万円なので、初回返済額は49.8万円になります。

結果1:初年度の返済額とDSCR

項目

元利均等

元金均等

初回(初月)返済額

410,077円

498,000円

+87,923円

初年度 年間返済額

492.1万円

594.0万円

+101.9万円

初年度 DSCR

1.353倍

1.121倍

▲0.232pt

初年度 返済後CF(税引前)

173.9万円

72.0万円

▲101.9万円

初年度 支払利息

235.0万円

234.0万円

▲1.0万円

初年度 元金返済

257.1万円

360.0万円

+102.9万円

ここで注目すべきは最後の2行です。初年度の返済額は101.9万円増えていますが、そのうち利息の差は1.0万円しかありません。増えた負担のほぼ全額(102.9万円)は元金返済の前倒しです。

つまり元金均等返済の初年度負担は、「利息を多く払っている」のではなく「元金を多く返している」状態です。これは支出ではなく、返済という形で自分の純資産に移し替えているだけとも言えます。ただし、その資金は手元から消えている以上、DSCRという返済余力の指標の上では確実に不利に働きます。DSCRの分母は元金と利息の合計だからです。DSCRの読み方はDSCRとは?1.2を下回ると融資が厳しくなる理由にまとめています。

結果2:DSCRが元利均等に追いつくのは14年目

元金均等返済のDSCRは、残債の減少に伴って毎年少しずつ改善します。どこまで待てば元利均等と同じ水準になるのかを、30年分計算しました。

経過年

元利均等 年間返済額

元利均等 DSCR

元金均等 年間返済額

元金均等 DSCR

元金均等 年間CF

1年目

492.1万円

1.353

594.0万円

1.121

72.0万円

3年目

492.1万円

1.353

578.1万円

1.152

87.9万円

5年目

492.1万円

1.353

562.3万円

1.184

103.7万円

6年目

492.1万円

1.353

554.4万円

1.201

111.6万円

10年目

492.1万円

1.353

522.7万円

1.274

143.3万円

12年目

492.1万円

1.353

506.9万円

1.314

159.2万円

14年目

492.1万円

1.353

491.0万円

1.356

175.0万円

20年目

492.1万円

1.353

443.5万円

1.502

222.5万円

30年目

492.1万円

1.353

364.3万円

1.828

301.7万円

この条件での転換点は次の3つでした。

  • 6年目:DSCRが1.20を回復する(初年度は1.121)
  • 12年目:DSCRが1.30を回復する
  • 14年目:元利均等と同じ1.353倍に並ぶ

言い換えると、元金均等を選ぶことは「最初の5年間はDSCR1.2未満の状態で運営することを受け入れる」という意思決定です。この5年間に大規模修繕や複数戸の同時退去が重なると、手元資金から補填する場面が出てきます。なお上の数値はNOIを666万円で固定した計算であり、家賃下落や空室増加を織り込むと回復はさらに遅れます。

結果3:総利息の差388.9万円は「どこから」来たのか

項目

元利均等

元金均等

30年間の総利息

3,962.8万円

3,573.9万円

▲388.9万円

10年間の累計利息

2,077万円

1,983万円

▲94万円

10年間の累計元金返済

2,844万円

3,600万円

+756万円

10年間の累計CF(税引前)

1,551万円

889万円

▲662万円

10年後の残債

7,956万円

7,200万円

▲756万円

30年フルで保有すれば総利息は388.9万円減ります。しかし10年時点で見ると、削減できた利息は94万円にすぎません。一方で手元から出ていったキャッシュは662万円多く、その見返りとして残債が756万円少なくなっています。

つまり短〜中期の保有では、元金均等は「利息が減る仕組み」というより「毎年強制的に繰上返済させられる仕組み」に近い挙動を示します。手元資金を残すか元本を減らすかという判断は、余剰資金500万円は繰上返済すべきかで検証したトレードオフと同じ構造です。

なお、税務上は利息が経費です。元金均等は経費が少なくなるため、課税所得はその分大きくなります。10年間の利息差94万円に対して実効税率30%を仮定すると、税負担は概算で28万円ほど増える計算になります(各種控除・減価償却を考慮しない概算です)。総利息の節約分がそのまま手残りになるわけではありません。

結果4:出口の手残りとIRR——手残りは増えるがIRRは下がる

残債が少ないぶん、売却時の手残りは元金均等のほうが多くなります。ただし投下資金に対する時間あたりの効率であるIRRは別の動きをしました。

出口の追加前提:満室想定家賃は年▲0.5%で下落、空室率6%・運営費180万円は据え置き、売却価格=翌年NOI ÷ 出口利回り6.0%、売却諸費用3.5%。IRRは自己資金2,160万円を起点とする税引前の値です。

保有期間

売却価格

元利均等 残債

元利均等 手残り

元利均等 IRR

元金均等 残債

元金均等 手残り

元金均等 IRR

10年

10,411万円

7,956万円

2,090万円

7.05%

7,200万円

2,846万円

6.39%

15年

10,079万円

6,282万円

3,444万円

9.03%

5,400万円

4,326万円

8.00%

20年

9,755万円

4,414万円

5,000万円

9.27%

3,600万円

5,814万円

8.18%

保有10年で売却時の手残りは756万円多いにもかかわらず、IRRは0.66ポイント低くなりました。15年で▲1.02pt、20年で▲1.08ptと、保有が長いほど差は開きます。

なぜ手残りが増えてもIRRが下がるのか

元金均等で余分に支払った金額と、その見返りに減った残債だけを取り出して、差額キャッシュフローのIRRを計算しました。

保有期間

差額キャッシュフローのIRR

10年

2.41%

15年

2.33%

20年

2.28%

いずれも借入金利2.2%(月複利での実効2.22%)とほぼ一致します。年次に集計した影響でわずかに上振れしていますが、実質的には同じ値です。

これは当然の結果です。元本を前倒しで返す行為の利回りは、その借入金利そのものだからです。今回の物件は自己資金に対して7.05%のIRRを生んでいるので、そこへ2.2%でしか回らない資金投入を毎年追加すれば、全体のIRRは薄まります。元金均等がIRRを下げるのは、投資として劣っているからではなく、より低利回りの用途に資金を回しているからです。

逆転点:出口利回り6.73%

ただしこの関係は、物件の利回りが2.2%を下回ると反転します。保有10年で出口利回りを変えて計算しました。

出口利回り

売却価格

元利均等 IRR

元金均等 IRR

5.5%

11,357万円

9.80%

8.89%

▲0.91pt

6.0%

10,411万円

7.05%

6.39%

▲0.66pt

6.5%

9,610万円

3.99%

3.72%

▲0.27pt

6.73%

9,282万円

2.41%

2.41%

0.00pt

7.0%

8,923万円

0.32%

0.75%

+0.44pt

逆転点は出口利回り6.73%、売却価格9,282万円(取得価格の77.3%)でした。この水準で投資全体のIRRが2.41%まで落ち、ちょうど差額キャッシュフローの利回りと一致します。

読み替えると、元金均等が有利になるのは「その物件が借入金利を下回る利回りしか生まなかった場合」だけです。出口価格が想定より2割以上下がる展開では、早く元本を返していたことが結果的に守りになります。逆に想定どおり回るなら、元利均等で手元に資金を残したほうが効率は高くなります。出口利回りと収益の関係は出口利回りが1%上がるとIRRはどこまで落ちるかでも検証しています。

結果5:複合ストレス——先に耐えられなくなるのは元金均等

現実には空室・金利・家賃が同時に動きます。初年度の状態で3シナリオを比較しました(借入額・融資期間は固定、金利は変動金利で即時反映されると仮定)。

シナリオ

空室率

金利

家賃下落

NOI

元利均等 DSCR

元利均等 CF

元金均等 DSCR

元金均等 CF

BASE

6%

2.2%

0%

666.0万円

1.35

+173.9万円

1.12

+72.0万円

STRESS

12%

3.2%

▲3%

588.2万円

1.05

+27.8万円

0.84

▲112.1万円

SEVERE

18%

4.2%

▲6%

513.7万円

0.81

▲120.0万円

0.64

▲292.9万円

STRESSシナリオ(空室率が倍、金利+1.0pt、家賃▲3%が同時発生)で、元利均等はかろうじて黒字を維持する一方、元金均等は年間112.1万円の持ち出しになります。単独の変数では見えない差です。

もう一段シンプルな指標として、他の条件を固定したまま空室率だけを上げ、初年度CFがゼロになる水準を逆算しました。

返済方式

初年度CFがゼロになる空室率

元利均等

25.3%

元金均等

14.0%

同じ物件・同じ借入額でも、返済方式を変えるだけで損益分岐空室率は11.3ポイント動きます。空室率6%を前提に組んだ計画が、どこまでの悪化に耐えるかという余裕幅が、25.3%と14.0%では意味がまったく違います。

逆算:この物件で元金均等を選べる条件はどこまでか

ここまでは借入額を固定して比較しました。今度は逆に、「初年度DSCR1.20を確保したうえで元金均等を選ぶには、条件をどこまで変える必要があるか」を4方向から逆算します。

逆算する条件

必要な水準

現行条件との差

借入額

10,091万円以下(LTV84.1%)

▲709万円。必要自己資金は2,160万円→2,869万円

NOI

712.8万円以上

+46.8万円。現行の家賃・運営費では空室率0.8%以下が必要で、事実上成立しない

金利

1.83%以下

▲0.37pt(元利均等なら3.12%まで許容できる)

融資期間

初年度DSCR1.353を得るには43年必要

現実の融資期間では到達しない

この表から読み取れることは3つあります。

  1. 金利耐性の差が1.29ポイントある。初年度DSCR1.20を守れる上限金利は、元利均等3.12%に対して元金均等1.83%。変動金利で借りる場合、この差はそのまま金利上昇局面での余裕幅の差になります。
  2. NOI側からの調整はほぼ不可能。空室率0.8%以下という条件は現実的ではないため、元金均等を選ぶなら借入額を減らす(自己資金を709万円増やす)方向でしか調整できません。
  3. 元利均等なら13,039万円まで借りても初年度DSCRは1.121。これは元金均等で10,800万円借りたときと同じ水準です。返済方式の選択は、実質的に借入余力を2,239万円分使うかどうかの判断でもあります。

この逆算は借入額・金利・融資期間・NOIの4条件だけから求めた計算値で、担保評価や借主の属性は含みません。ご自身の借入額・金利・融資期間・NOIで元利均等側の数値(年間返済額・DSCR・目標DSCRからの借入上限・上限金利)を確認したい場合は、不動産投資ローンシミュレーションで返済額とDSCRを試算すると同じ計算式で確かめられます。ただし同ツールは元利均等・毎月返済のみに対応しており、元金均等返済には対応していません。元金均等側は、本記事の「月々の元金=借入額÷返済回数+その時点の残債×月利」の式で個別に計算する必要があります。

結果から分かること

今回の条件で確認できた転換点を整理します。いずれもこの分析条件に限定された数値であり、条件が変われば位置は動きます。

  • 初年度DSCRの差は0.232pt(1.353 → 1.121)。年間CFの差は101.9万円
  • 初年度の返済額増加101.9万円のうち、利息由来はわずか1.0万円
  • 元金均等のDSCRが1.20を回復するのは6年目、元利均等の水準に並ぶのは14年目
  • 30年間の総利息差は388.9万円。ただし10年時点では94万円にとどまる
  • 保有10年の売却手残りは756万円多いが、IRRは0.66pt低い
  • 元金均等への追加投入分の利回りは2.41%=借入金利とほぼ同じ
  • IRRが逆転するのは出口利回り6.73%(取得価格の77.3%で売却)を超えたとき
  • 損益分岐空室率は25.3%(元利均等)に対し14.0%(元金均等)
  • 初年度DSCR1.20を守れる上限金利は3.12%(元利均等)に対し1.83%(元金均等)

投資判断への使い方

「どちらが得か」という問いには、この分析からは一つの答えを出せません。判断軸が複数あり、それぞれで有利な方式が違うためです。

重視する軸

有利になりやすい方式

理由

初期の返済余力・空室耐性

元利均等

DSCR+0.232pt、損益分岐空室率+11.3pt

金利上昇への耐性

元利均等

DSCR1.20を守れる上限金利が1.29pt高い

投下資金あたりの効率(IRR)

元利均等

物件の利回りが借入金利を上回る限り優位

手元に資金を残して次の投資に回す

元利均等

10年で累計CFが662万円多い

価格下落局面での防御

元金均等

出口利回り6.73%超で逆転。残債が756万円少ない

売却時に確実に手残りを作りたい

元金均等

保有10〜20年で手残りが756〜882万円多い

長期保有で総支払額を抑えたい

元金均等

30年完済で総利息が388.9万円少ない

実務的には、次の順序で確認するのが現実的です。

  1. 元金均等での初年度DSCRとCFを計算する(平均や後年の数値ではなく、最も重い初年度で見る)
  2. その水準で、空室・修繕・金利が同時に悪化したときに耐えられるかを確認する
  3. 耐えられないなら、方式を変えるのではなく借入額を減らせないかを検討する
  4. それでも元金均等を選ぶなら、DSCRが回復するまでの年数分の手元資金を確保しておく

返済方式は、融資期間・自己資金比率・金利タイプと一体で決まる条件です。返済方式だけを単独で最適化しても意味は薄くなります。融資期間との組み合わせは融資期間25年・30年・35年で何が変わるか、金利タイプの選択は固定金利は変動より何%まで高くていいのかで個別に検証しています。融資条件の基本的な考え方は不動産投資ローンとは?審査基準・種類・金利をまとめて理解する基礎ガイドにまとめました。

分析の限界

今回の計算では、以下は分かりません。数値をそのまま自分の物件に当てはめないでください。

  1. 元金均等を選べるかどうかは金融機関次第です。アパートローンでは元利均等のみの商品も多く、方式を選べる前提そのものが成立しないことがあります。
  2. 金利は方式によって異なる場合があります。今回は同一金利2.2%で比較しましたが、実際には返済方式や借入形態で条件が変わることがあります。
  3. 税引前の計算です。所得税・住民税・法人税、減価償却、法人か個人かの違いは反映していません。利息差から概算した税負担の増加(10年で約28万円)は参考値です。
  4. 大規模修繕を織り込んでいません。運営費は年180万円で固定しており、外壁・屋上防水などの一時支出は含みません。修繕費の影響は修繕費「家賃の5%」で足りるのかで別途検証しています。
  5. 売却価格は収益還元による計算値です。実際の成約価格は、買主が受けられる融資条件、建物の状態、周辺の供給、売却時の市場環境で変わります。
  6. 空室率は年間平均として扱っています。実際には退去が特定の年に集中します。戸数によるばらつきは4戸・8戸・12戸・20戸・30戸でDSCR1.2割れ確率を20万回試算で検証しました。
  7. 据置期間・繰上返済・変動金利の返済額見直しルールを反映していません。据置期間を使える場合、元金均等の初期負担は今回の計算とは異なります。

まとめ

元金均等返済の総利息が少ないのは事実ですが、それは「安く借りられた」からではなく「早く返した」からです。今回の条件では、初年度の返済額増加101.9万円のうち利息由来は1.0万円だけで、残りはすべて元金の前倒しでした。

その結果、DSCRは1.121倍まで下がり、損益分岐空室率は14.0%、DSCR1.20を守れる上限金利は1.83%まで低下します。一方で10年後の残債は756万円少なく、売却手残りは同額多くなり、出口利回りが6.73%を超える価格下落局面ではIRRでも逆転します。

返済方式の選択は「得か損か」ではなく、返済余力を削って元本の回収を早めるかどうかという、リスクの置き場所を決める判断です。初年度の余力に不安があるなら、方式を変える前に借入額そのものを見直すほうが効果は大きくなります。

なお、今回のように金利・空室率・家賃下落・出口利回り・保有期間を同時に動かすと、確認すべき組み合わせは急速に増えます。RE-AIでは、こうした複数条件を1つの物件情報からまとめて確認できるように設計しています(元金均等返済には現時点で対応していません)。

参考資料・出典

本記事の返済額・DSCR・残債・総利息・売却手残り・IRRは、上記の前提条件から筆者が計算した値です。元利均等返済は月利=年利÷12、返済回数=年数×12として毎月返済で計算し、元金均等返済は月々の元金=借入額÷返済回数に各月の残債×月利を加えて算出しています。IRRは自己資金を初期投資額とする年次キャッシュフローから求めた税引前の値です。

本記事は投資助言ではありません。返済方式の選択可否・金利・融資期間は金融機関ごとに異なります。最終的な判断はご自身の責任で行い、金融機関・税理士等の専門家にご確認ください。

作成:RE-AI開発・運営(鈴木基公)/公開日:2026年8月26日

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鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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