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1年待って不動産を買うなら、価格は何%下がっていないと損か|金利上昇シナリオ別に必要下落率を逆算

1年待って不動産を買うなら、価格は何%下がっていないと損か|金利上昇シナリオ別に必要下落率を逆算

「金利が上がりそうだから、もう少し待って価格が下がってから買う」——収益物件の検討でよく聞く判断です。実際、日本銀行の政策金利は2026年6月に1.0%へ引き上げられ、短期プライムレートも2年間で0.75pt上昇しました。金利が上がれば価格は下がる、という発想自体は理屈が通っています。

ただし、この判断には検証されていない前提があります。待っている間、投資家は家賃収入と元本返済という2つのリターンを丸ごと失っているという点です。価格が多少下がっても、その損失を取り返せなければ待った意味はありません。

そこでこの記事では、「今買う」と「N年待って買う」を同じ物差しで比較し、待機がちょうど引き分けになる価格下落率を逆算しました。金利シナリオ・LTV・表面利回りを変えて計算し、最後に国土交通省の不動産価格指数の実績と突き合わせています。

この記事で検証する疑問

  • 1年・2年・3年待って買う場合、価格は何%下がっていれば「待った甲斐があった」ことになるのか
  • 待っている間に金利が0.5pt・1.0pt上がると、その必要下落率はどこまで上がるのか
  • 自己資金の厚さ(LTV)や物件の表面利回りによって、結論は変わるのか
  • 「価格が下がるときは賃貸市況も悪化している」ことを織り込むと、待機は有利になるのか
  • その必要下落率は、過去の市場で実際にどれくらいの頻度で起きていたのか

分析の設計:なぜ「必要価格下落率」を逆算するのか

価格が今後どうなるかを当てるのは不可能です。そこでこの分析では予想を立てず、逆向きに考えます。「価格が何%下がれば、待った側と今買った側の11年後の純資産がちょうど一致するか」を求め、その数字と現実の値動きを読者自身が照らし合わせられるようにしました。物件そのものの適正価格をどう求めるかは収益物件の価格査定完全ガイドで、「その物件に自分はいくらまで払えるか」の上限はDSCR・CF・IRRの3条件から逆算した記事で扱っています。この記事は、それらで価格の妥当性を確認したうえで残る「タイミング」の問題を検証するものです。

比較を公平にするため、次の設計を採用しています。

  • 売却時点を両ケースで揃える:同じ物件を同じ暦年(現在から11年後)に売却します。買った時期が違うだけなので、売却価格は両ケースで完全に同じ金額になります。保有期間だけが11年と10年(3年待機なら8年)で異なります。
  • スタート時の手元資金を揃える:両ケースとも同額の自己資金を持った状態から始めます。待機側は購入までその資金を現金(年0.3%)で保有し、安く買えて余った分も現金のまま11年後まで持ち続けます。
  • 家賃の水準は暦年で決まる:家賃相場は市場全体のもので、買った時期には左右されません。待機側が買う時点では、その分だけ家賃も下がっています。
  • 比較指標は11年後の税引後の総資産:保有中の税引後キャッシュフロー累計、売却時の税引後手取り、手元現金をすべて合算します。投下時期が異なるためIRRではなく総額で比較しました。

前提条件(固定条件と変更条件)

この分析は条件を固定したシミュレーションであり、実在物件の統計ではありません。使用データの区分は「シミュレーション(架空ケース)」です。金利水準と価格指数の実績のみ公開データを使用しています。

分析対象は、1棟目から2棟目を検討する個人投資家が現実に候補に挙げる規模として、築15年の中古木造一棟アパートを想定しました。物件価格ではなく年間満室家賃480万円(8戸×月5万円)を起点に置き、表面利回り7.5%から逆算して価格6,400万円としています。後述するとおり、この分析の答えは比率で出るため、物件価格の絶対額にはほとんど左右されません。

固定した条件

項目

設定

根拠・考え方

年間満室家賃

480万円

8戸×月5万円。地方中核市の木造アパートを想定

表面利回り

7.5%

→ 物件価格6,400万円(後段で6.0〜11.0%も検証)

空室・滞納損失

5%

運営費20%と合わせ、NOI率は満室家賃の75%

初年度NOI

360万円

480万円 × 75%

購入諸費用

8%(512万円)

積み上げ計算では8.0〜9.2%(諸費用の内訳はこちら

LTV

80%(借入5,120万円)

自己資金は頭金1,280万円+諸費用512万円=1,792万円

融資期間

25年・元利均等

年間返済275.6万円、初年度DSCR 1.31

家賃下落率

年1.0%

推計係数と市場経験則の中間(下落カーブの検証はこちら

建物比率・減価償却

60%・耐用10年

築15年木造の簡便法。年414.7万円

所得税+住民税

33%

課税所得695万〜900万円のゾーンを想定

出口利回り

6.125%

購入時NOI利回り5.625%+0.5pt(築年経過分)

売却時点・譲渡税

11年後・20.315%

両ケースとも5年超のため長期譲渡

売却諸費用

4%

仲介手数料・印紙税等

変更した条件(検証する変数)

  • 待機年数:1年 / 2年 / 3年
  • 待機中の金利上昇:据置 / +0.5pt / +1.0pt(借入金利2.5%を起点)
  • LTV:60% / 70% / 80% / 90%
  • 表面利回り:6.0% / 7.5% / 9.0% / 11.0%

いま買った場合の11年間(ベースケース)

比較の基準となる「今買う」ケースの結果です。

項目

金額

投下自己資金

1,792万円

11年間の税引後CF累計

1,245.5万円

11年後の売却価格

5,262.4万円

同時点のローン残債

3,253.0万円

売却の税引後手取り

1,334.2万円

11年後の純増

787.8万円

自己資金倍率 / 年率換算

1.44倍 / 年3.37%

購入価格6,400万円に対し、11年後の売却価格は5,262万円(▲17.8%)まで下がる想定です。それでも自己資金ベースでプラスになるのは、保有中のキャッシュフローと元本返済が積み上がるためです。待つという判断は、この年3.37%のリターンを放棄することと引き換えになります。

【結果1】待機が引き分けになる価格下落率

「今買う」の11年後総資産と一致するために必要な価格下落率を逆算した結果です。金利据置をBASE、+0.5ptをSTRESS、+1.0ptをSEVEREとしています。

待機年数

BASE(金利据置)

STRESS(+0.5pt)

SEVERE(+1.0pt)

1年待つ

▲3.1%(199万円)

▲5.6%(360万円)

▲8.0%(514万円)

2年待つ

▲6.2%(397万円)

▲8.4%(541万円)

▲10.6%(680万円)

3年待つ

▲9.3%(593万円)

▲11.3%(720万円)

▲13.2%(844万円)

括弧内は6,400万円換算の金額です。読み方は次のとおりです。

  • 金利がまったく上がらなくても、1年待つなら3.1%の値下がりが必要です。これは純粋に「1年分の家賃収入と元本返済を失ったコスト」に相当します。待機のコストは金利とは無関係に、年3%前後で発生します。
  • 金利が0.5pt上がると、必要下落率は3.1%から5.6%へ2.5pt跳ね上がります。金利上昇は購入価格を押し下げる要因であると同時に、待機側自身の返済負担を25年間重くする要因でもあるためです。
  • 3年待って金利が1.0pt上がるケースでは、13.2%の値下がりがなければ元が取れません。

【結果2】自己資金を厚くすれば、待つコストは下がるのか

「現金比率を上げれば金利上昇の影響を避けられる」という考え方を検証しました。1年待機のケースでLTVを変えています。

LTV(自己資金比率)

金利据置

+0.5pt

+1.0pt

60%(自己資金40%)

▲3.4%

▲5.3%

▲7.2%

70%

▲3.2%

▲5.5%

▲7.6%

80%

▲3.1%

▲5.6%

▲8.0%

90%(自己資金10%)

▲3.0%

▲5.8%

▲8.4%

結果は二方向に分かれました。金利が動かない前提なら、自己資金が厚いほど待機コストはむしろ高くなります(LTV60%で3.4%、90%で3.0%)。自己資金が厚い投資家は保有中のキャッシュフローが大きいため、待機によって失うものも大きいからです。

一方、金利が1.0pt上がる前提では逆転し、LTV60%で7.2%、90%で8.4%と、借入が大きいほど必要下落率が高くなります。金利上昇の打撃は借入額に比例するため、高LTVの投資家ほど「金利が上がる前に決める」ことの価値が大きいという読み方になります。

ただし差は最大でも1.2pt程度で、LTVをどう設定しても「3〜8%の値下がりが必要」という結論は動きません。自己資金比率の調整では、待機コストそのものは消せないということです。

【結果3】高利回り物件ほど、待つコストは大きい

表面利回りを変えて1年待機のケースを計算しました(LTV80%)。

表面利回り

金利据置

+0.5pt

+1.0pt

6.0%

▲2.3%

▲4.8%

▲7.2%

7.5%

▲3.1%

▲5.6%

▲8.0%

9.0%

▲4.0%

▲6.4%

▲8.8%

11.0%

▲5.1%

▲7.5%

▲9.9%

表面利回り6.0%の物件なら1年待つコストは2.3%ですが、11.0%の物件では5.1%と2倍以上になります。利回りが高い物件ほど1年あたりに生むキャッシュフローが大きく、待機で失うものが大きいためです。

実務的には、低利回りの都心物件ほど「待つ」判断が成立しやすく、高利回りの地方物件ほど待機は割に合わないという非対称性があることになります。ただし高利回り物件は利回り以外のリスクを抱えていることが多い点は別途確認が必要です。

【結果4】「市況が悪化するから待つ」は割引になるのか

ここまでは「価格だけが下がる」前提でした。しかし現実には、価格が下がる局面では賃貸市況も弱含む可能性があります。そこで複数条件を同時に悪化させた複合ストレスを計算しました。家賃下落率を年1.0%→2.0%、NOI率を75%→70%、出口利回りの上乗せを+0.5pt→+1.0ptに変更し、両ケースに同じ悪化を適用しています。

シナリオ

通常

複合ストレス

1年待機・金利据置

▲3.1%

▲2.8%

0.3pt

1年待機・+0.5pt

▲5.6%

▲5.3%

0.3pt

1年待機・+1.0pt

▲8.0%

▲7.8%

0.2pt

3年待機・金利据置

▲9.3%

▲8.3%

1.0pt

3年待機・+1.0pt

▲13.2%

▲12.3%

0.9pt

これは今回の分析でもっとも意外だった結果です。賃貸市況の悪化を織り込んでも、必要下落率はほとんど下がりません(1年待機で3.1%→2.8%、わずか0.3pt)。

理由は、市況悪化が両方のケースに等しく効くからです。今買った人も、同じ悪化した暦年を保有し続けます。待機側が得をするのは「悪化した1年分を保有せずに済んだ」部分だけで、それは待機コストのごく一部を打ち消すにとどまります。

言い換えると、「市況が悪くなりそうだから待つ」という理由は、待機の損益分岐をほとんど改善しません。市況悪化を本当に懸念するなら、待つのではなく、その悪化に耐えられる条件(低いLTV、高いDSCR、余裕のある手元資金)で買うか、買わないかの選択になります。

転換点はどこにあるか

今回の条件設定で確認できた境界値です。

  • 金利が+1.42pt上昇すると、1年待機の必要下落率が10%を超えます。この水準を超えると、待機が報われるには年率二桁の価格調整が必要になります。
  • 3年待機・金利+2.07pt上昇で、必要下落率は17.1%に達します。これは不動産価格指数の全期間(2008年以降)におけるピークからボトムまでの最大下落幅と同じ水準です。
  • 待機コストは金利に関係なく年3%前後で一定に発生し、そこに金利上昇分(1年待機で0.5ptあたり約2.5pt)が上乗せされる構造になっています。

これらの数値は今回の分析条件に限定された結果であり、物件条件や融資条件が変われば境界値も動きます。

公開データとの突き合わせ:3.1%の下落は実際に起きているのか

必要下落率が分かっても、それが現実的な水準かどうかは別問題です。国土交通省の不動産価格指数(商業用不動産・マンション・アパート(一棟)・全国・季節調整値)で、前年同期比の実績を集計しました。

集計項目(2009年Q2〜2025年Q4・67期)

実績

前年同期比がマイナスだった期

14期(21%)

3.1%以上下落した期

3期(4%)

8.0%以上下落した期

2期

最大の下落

▲14.8%(2009年Q2)

平均 / 中央値

+3.16% / +4.18%

直近10年(2016年Q1以降)で下落した期

40期中7期

2025年Q4の指数値 / 前年同期比

176.1 / +4.8%

直近5年 / 10年の年平均上昇率

+4.82% / +3.43%

1年待機・金利据置の損益分岐である3.1%以上の下落は、過去67期のうち3期(4%)でしか起きていません。いずれもリーマンショック直後です。金利+1.0ptのケースで必要になる8.0%以上の下落は、67期中2期のみでした。

さらに、直近の実績を並べると構図がはっきりします。短期プライムレート(最頻値)は2024年9月以降に3回引き上げられ、2026年8月までに1.625%から2.375%へ0.75pt上昇しました。その一方で一棟マンション・アパートの価格指数は上昇を続け、データが揃う2023年Q4→2025年Q4の2年間で165.9→176.1と+6.2%でした。2年待機・金利+0.5ptの損益分岐は▲8.4%ですから、この2年間に「待った」判断は、必要水準に対しておよそ15pt逆方向に振れたことになります。

ただしこれは過去の実績であり、将来の値動きを示すものではありません。またこの期間に金利上昇と価格上昇が同時に起きていたことは、「金利が上がれば価格が下がる」という単純な因果関係が成立していなかったことを意味します。価格には金利以外に、建築費の上昇、賃料水準、投資マネーの流入、エリアの需給など複数の要因が同時に作用しており、金利だけを根拠に価格下落を予想することはできません。

結果から分かること

  1. 待機コストは金利とは独立に、年3%前後で発生する。金利が1ptも動かなくても、1年待てば3.1%の値下がりがなければ元が取れません。「金利が上がらなければ待っても損はない」という前提は成立しません。
  2. 金利上昇は待機の根拠にならず、むしろ待機コストを増やす。金利が上がるという予想が当たった場合、待機側は自分の借入条件も悪化させます。0.5ptの上昇ごとに必要下落率は約2.5pt上がります。
  3. 賃貸市況の悪化を前提にしても、待機は有利にならない。悪化は両ケースに等しく効くため、必要下落率は0.3pt程度しか下がりませんでした。
  4. 高利回り物件ほど待機は割に合わない。表面利回り6.0%なら2.3%、11.0%なら5.1%と2倍以上の差があります。
  5. 必要下落率は、過去17年の実績ではまれにしか起きていない水準である。ただし「起きにくい=起きない」ではなく、実際に2009年には14.8%の下落が起きています。

投資判断への使い方

この分析の結論は「今すぐ買うべきだ」ではありません。「待つ」という判断を、価格予想ではなく数字で点検するための基準として使えます。

1. 待つ理由を分類する

待機の理由が「価格が下がると思うから」である場合、この記事の必要下落率が損益分岐になります。1年で3〜8%、3年で9〜13%の下落を見込めるだけの根拠があるかを問うことになります。

一方、自己資金が足りない、与信枠を整えている、良い物件が見つからない、勤続年数などの融資条件が整っていない——これらを理由に待つのは、価格予想とはまったく別の合理性があります。この場合の「待つ」は正当な判断であり、今回の損益分岐とは切り離して考えるべきものです。

2. 待機コストを「値引き交渉の上限」に読み替える

1年待機の損益分岐3.1%は、裏を返せば「今の物件で3.1%の指値が通るなら、1年待って同条件の物件を探すのと等価」という意味になります。指値交渉の粘りどころを判断する基準として使えます。実際の指値の通りやすさについては収益還元価格との乖離から検証した記事を参照してください。

3. 自分の条件で数字を入れ替える

今回は表面利回り7.5%・LTV80%・金利2.5%・25年を基準にしていますが、必要下落率は利回りとLTVで動きます(結果2・結果3)。検討中の物件で「今買った場合の年次キャッシュフローとDSCR」を確認したい場合は、RE-AIの無料キャッシュフローシミュレーターで物件価格・家賃・借入条件を入力すると、35年分の年次収支と金利上昇時の数値まで試算できます(登録不要)。

また、この分析の後半部分である「11年後にいくらで売れて、税引後でいくら残るか」を自分の条件で確かめたい場合は、出口戦略シミュレーターで売却手残りとIRRを試算することができます。Exit Cap Rateや保有期間を変えながら、出口が結論をどれだけ動かすかを確認できます。

4. 金利そのものへの備えを分けて考える

金利上昇が心配なら、購入を先送りするより、固定と変動のどちらを選ぶか変動金利の返済額据置ルールがどこで効き始めるかを確認するほうが直接的な対策になります。金利上昇分が家賃で相殺できるかどうかは必要な家賃上昇率を逆算した記事で検証しています。

この分析で分からないこと

今回の結果は条件付きシミュレーションであり、以下は検証できていません。

  1. 待っている間に同条件の物件が出てくるかどうか。本分析は「同じ物件を安く買える」という、待機側に有利すぎる前提を置いています。実際には1年後に同等の物件が見つかる保証はなく、探索コストと機会損失は織り込んでいません。
  2. 将来の価格・金利の水準。金利据置・+0.5pt・+1.0ptは検証用の設定であり、予想ではありません。政策金利が下がる可能性も除外していません。
  3. 個別物件の競争力。建物状態、周辺の新規供給、管理状態、入居者属性などの個別要因は反映していません。同じ利回りでも物件ごとに結果は変わります。
  4. 融資条件の変化。待機中に投資家自身の属性(年収、既存借入、自己資金)が変われば、借りられる条件も変わります。本分析ではLTVと融資期間を待機前後で同一としています。
  5. 税務の詳細。不動産所得の赤字は給与所得と全額損益通算できるものとしましたが、実際には土地取得に係る負債利子は損益通算の対象外です。所得税率も33%固定としており、個人の状況で結果は変動します。法人で保有する場合は税率構造が異なります。
  6. 売却時の市場環境。11年後に想定した出口利回りで売却できる保証はありません。出口利回りが1pt動くとIRRがどこまで落ちるかは別記事で検証しています。
  7. 因果関係。金利と価格が同時に上昇した実績は相関の観察であり、金利が価格を押し上げたことを意味しません。建築費、賃料、需給など複数要因が同時に作用しています。

まとめ

「金利が上がるから待つ」という判断を11年後の税引後純資産で検証したところ、1年待つには3.1%、金利が1pt上がるなら8.0%、3年待って1pt上がるなら13.2%の価格下落が必要という結果になりました。この必要下落率は、過去17年間の不動産価格指数では67期中3期でしか実現していない水準です。

重要なのは、待機コストの大部分が金利とは無関係に発生しているという構造です。失っているのは「安く買えたはずの差額」ではなく、「その期間の家賃収入と元本返済」です。そして金利上昇を予想して待つ場合、その予想が当たれば待機側自身の借入条件も25年間にわたって悪化します。

とはいえ、この分析は「今が買い時だ」と示すものではありません。収益性が確保できても出口価格への感応度は高く(購入価格に対し11年後は▲17.8%)、個別物件のリスクはこの計算の外にあります。自己資金や与信の準備が整っていない段階で待つことには、価格予想とは別の合理性があります。判断すべきは「待つかどうか」ではなく、「待つ理由が価格予想なのか、準備不足なのか」を切り分けることです。

今回のように金利、家賃下落、空室、出口利回り、税金を同時に動かして比較すると、確認すべき項目は表計算だけでは追いきれない数になります。RE-AIはこうした複数条件をまとめて確認できるよう設計していますが、最終的な投資判断は個別物件の現地確認と資料精査を経て行う必要があります。

参考資料・出典

情報確認日:2026年9月18日

本記事の試算は、上記の公開データを前提条件の設定根拠として用いたうえで、独自に設定した条件によるシミュレーションです。実在する物件の統計値ではありません。投資判断は読者自身の責任において行ってください。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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