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地価上昇で固定資産税はいくら上がるのか|負担調整措置で年次展開すると11年で+11.8万円、住宅用地特例が外れる影響はその3.5倍だった

地価上昇で固定資産税はいくら上がるのか|負担調整措置で年次展開すると11年で+11.8万円、住宅用地特例が外れる影響はその3.5倍だった

2026年9月15日に公表された都道府県地価調査(基準地価)で、住宅地の全国平均は1.0%の上昇、東京都は5.8%、東京23区は8.7%の上昇となりました。地価が上がれば固定資産税評価額も上がり、保有中の固定資産税も上がる——ここまでは多くの記事が書いています。

しかし、「いつ」「いくら」上がるのかを年次で計算した記事はほとんどありません。土地の固定資産税には負担調整措置という緩衝装置があり、評価額が15%上がっても税額が15%上がるのは同じ年ではありません。次の評価替えは2027年度(令和9年度)です。

この記事では、一棟アパートの敷地を題材に、評価替えと負担調整措置を11年分の年次シミュレーションに展開し、土地の固定資産税がNOI・DSCRをどれだけ削るのかを計算しました。あわせて、同じ土地でも戸数によって税額が変わる仕組み、そして住宅用地特例が外れた場合の影響と比較しています。

この記事で検証する疑問

  • 2027年度の評価替えで評価額が上がったら、税額は何年かけて上がりきるのか
  • 地価上昇率が何%を超えると、税額は毎年上がり続けるのか
  • 11年間の累計増税額はいくらで、NOI・DSCRはどこまで落ちるのか
  • 同じ敷地面積でも、戸数が違うと土地の固定資産税はいくら違うのか
  • 地価上昇による増税と、住宅用地特例が外れる影響は、どちらが大きいのか

前提:土地の固定資産税は3段階で決まる

土地の固定資産税額は、評価額にそのまま税率を掛けて求めるものではありません。次の3段階を通ります。

  1. 固定資産税評価額:3年ごとの評価替えで見直されます。宅地は地価公示価格の7割程度が目安です。直近の評価替えは2024年度(令和6年度)、次は2027年度(令和9年度)です。
  2. 住宅用地特例:住宅の敷地は課税標準額が圧縮されます。住宅1戸あたり200㎡までの部分(小規模住宅用地)は固定資産税で6分の1、都市計画税で3分の1。200㎡×戸数を超える部分(一般住宅用地)は3分の1と3分の2です。この特例適用後の額を、以下「本則課税標準額」と呼びます。
  3. 負担調整措置:実際の課税標準額は、本則課税標準額まで一気に上がりません。負担水準(=前年度課税標準額 ÷ 当年度の本則課税標準額)が100%未満の住宅用地では、課税標準額は「前年度課税標準額 + 本則課税標準額×5%」が上限となり、本則課税標準額を超えない範囲で毎年階段状に上がります。この仕組みは令和6年度税制改正で令和8年度まで継続されています。

この3段目があるために、評価額の上昇は税額の上昇と同じ年には現れません。本記事の計算は、ここを年次に展開したものです。

分析条件(固定条件と変更条件)

本記事の数値は条件を固定したシミュレーションです。実在物件の統計値ではありません。地価の変動率のみ、国土交通省が公表した2026年の基準地価(公開データ)を水準の妥当性の参照に使っています。

分析の主役は物件価格ではなく「土地の固定資産税評価額・敷地面積・戸数」です。土地の固定資産税額を決めるのはこの3つであり、物件価格は直接には関係しないため、物件価格は収支(NOI・DSCR)への影響を測る部分でのみ使っています。

固定条件

項目

設定

設定理由

敷地面積

460㎡

木造2階建6戸+駐車場を置ける郊外型アパートの敷地規模

戸数

6戸

小規模住宅用地の枠(200㎡×6=1,200㎡)が敷地面積を上回る=特例を満額使えている状態を基準にするため

土地の固定資産税評価額

10.5万円/㎡・計4,830万円

住宅地の公示水準15万円/㎡の7割。地価が上昇している都市圏郊外を想定し、評価替えの影響が観測できる水準に置いた

建物の固定資産税評価額

1,100万円(木造・築12年)

土地分との比較のために置いた前提。建物分は経年減点で逆に下がっていく

税率

固定資産税1.4%/都市計画税0.3%

標準税率と都市計画税の制限税率

満室想定年間家賃

576万円(月8.0万円×6戸)

上記の土地評価額と整合する郊外1LDK水準。物件価格8,600万円で表面利回り6.70%

空室・滞納率

5%

—

借入条件

6,880万円(LTV80%)・金利2.0%・30年

年間返済額307.2万円

この条件での初年度の収支は次のとおりです。

項目

金額

実効総収入

547.2万円

年間運営費(うち公租公課34.8万円)

109.4万円

NOI

437.8万円

年間元利返済額

307.2万円

DSCR

1.425倍

土地の固定資産税+都市計画税

16.10万円(NOIの3.68%)

土地の本則課税標準額は、固定資産税が4,830万円÷6=805.0万円、都市計画税が4,830万円÷3=1,610.0万円です。税額は805.0万円×1.4%=11.27万円と、1,610.0万円×0.3%=4.83万円の合計で16.10万円になります。

変更条件

  • 評価替えでの評価額上昇率(=地価上昇率):年率0.0%/1.0%/3.0%/5.8%
  • 戸数(敷地460㎡を固定したまま):1戸/2戸/3戸/4戸/6戸
  • 住宅用地特例の適用:適用あり/外れた場合(非住宅用地=商業地等の扱い)

検証1:評価額が上がっても、税額が追いつくのは数年後

負担水準100%の状態から評価替えで評価額が上がると、本則課税標準額が先に上がり、負担水準はその分だけ下がります。そこから毎年「本則課税標準額×5%」ずつ積み上がるため、本則に到達するまでに次の年数がかかります。

評価替えでの評価額上昇率

直後の負担水準

本則までのギャップ

本則に到達する年数

+3%

97.1%

2.9pt

1年

+5%

95.2%

4.8pt

1年

+10%

90.9%

9.1pt

2年

+15%

87.0%

13.0pt

3年

+20%

83.3%

16.7pt

4年

+25%

80.0%

20.0pt

4年

+30%

76.9%

23.1pt

5年

評価額が10%上がっても、税額が10%分上がりきるのは2年後です。評価替えの年に税額がいくら上がるかを見ても、増税の全体像は分かりません。購入初年度の納税通知書だけを収支計算に入れると、まだ発現していない増税分を見落とすことになります。

検証2:地価上昇率別・土地の固定資産税11年推移

2026年度を起点に、2027年度・2030年度・2033年度・2036年度を評価替えの年として年次展開しました。起点の負担水準は100%としています。

年度

評価額

本則課税標準額(固定)

課税標準額(固定)

負担水準

土地の税額

初年度比

2026

4,830万円

805.0万円

805.0万円

100.0%

16.10万円

1.000

2027(評価替え)

5,720万円

953.4万円

852.7万円

89.4%

17.05万円

1.059

2028

5,720万円

953.4万円

900.3万円

94.4%

18.01万円

1.118

2029

5,720万円

953.4万円

948.0万円

99.4%

18.96万円

1.178

2030(評価替え)

6,774万円

1,129.0万円

1,004.5万円

89.0%

20.09万円

1.248

2031

6,774万円

1,129.0万円

1,060.9万円

94.0%

21.22万円

1.318

2032

6,774万円

1,129.0万円

1,117.4万円

99.0%

22.35万円

1.388

2033(評価替え)

8,023万円

1,337.1万円

1,184.2万円

88.6%

23.68万円

1.471

2034

8,023万円

1,337.1万円

1,251.1万円

93.6%

25.02万円

1.554

2035

8,023万円

1,337.1万円

1,317.9万円

98.6%

26.36万円

1.637

2036(評価替え)

9,501万円

1,583.5万円

1,397.1万円

88.2%

27.94万円

1.736

※地価が年率5.8%(2026年基準地価の東京都・住宅地と同水準)で上昇し続けた場合。評価額は3年に1度、3年分の上昇をまとめて反映しています。

この条件では、評価額は11年で1.967倍になるのに対し、税額は1.736倍にとどまります。負担調整措置が差分を吸収しているためで、地価が倍になっても税額が倍になるわけではありません。一方で、税額は評価替えの年だけでなく11年のうち10年、毎年上がり続けます。

地価上昇率を変えると次のようになります。

地価上昇率(年率)

該当する地域イメージ(2026年基準地価・住宅地)

11年目の税額

初年度比

11年累計の増税額

0.0%

横ばい〜下落エリア

16.10万円

1.000

0万円

1.0%

全国平均(+1.0%)

18.14万円

1.127

11.0万円

3.0%

東京圏(+4.0%)・大阪圏(+2.3%)の中間

22.15万円

1.376

32.6万円

5.8%

東京都(+5.8%)

27.94万円

1.736

59.7万円

検証3:負担水準が100%に戻らなくなる分岐点は年率5.56%

検証2の表で、負担水準が評価替えのたびに89.4%→89.0%→88.6%→88.2%とわずかに下がり続けていることに気づきます。これは偶然ではありません。

負担調整措置で積み上がるのは、1年あたり本則課税標準額の5%です。評価替えのサイクルは3年なので、1サイクルで積み上がるのは最大15pt。これに対し、評価替えで生じるギャップは「g ÷ (1+g)」(gは1サイクルの評価額上昇率)です。したがって、

g ÷ (1+g) ≦ 15%、つまり1サイクルの評価額上昇率が17.6%(年率5.56%)以下なら、負担水準はサイクル内で100%まで戻ります。これを超えると戻らず、課税標準額は毎年上がり続けます。

2026年の基準地価で住宅地が年5.8%上昇した東京都は、この分岐点をわずかに上回る水準にあります。23区の8.7%はさらに上です。地価上昇が続く限り、こうしたエリアの土地は「負担水準が100%に届かないまま、課税標準額が毎年5%ずつ積み上がる」状態が恒常化します。

これは所有者にとって一方的に悪い話ではありません。負担水準が100%未満である限り、課税標準額は本則(評価額×1/6)より低く抑えられ続けます。地価上昇が速いほど、税負担は評価額の上昇から取り残されます。ただし「毎年上がる」事実は変わらないため、長期保有の収支計算では固定資産税を据え置きにできません。

検証4:同じ敷地でも、戸数が減ると土地の税額は上がる

小規模住宅用地の枠は「200㎡×戸数」です。敷地面積が枠を超えると、超過部分の課税標準額は固定資産税で6分の1ではなく3分の1、都市計画税で3分の1ではなく3分の2になります。つまり超過部分の税額は2倍です。

敷地460㎡・土地評価額4,830万円を固定し、戸数だけを変えて計算しました。

戸数

小規模住宅用地の枠

一般住宅用地となる面積

土地の税額(固定+都計)

6戸との差

1戸(戸建賃貸)

200㎡

260㎡

25.20万円

+9.10万円(1.565倍)

2戸

400㎡

60㎡

18.20万円

+2.10万円(1.130倍)

3戸

600㎡

0㎡

16.10万円

±0(1.000倍)

4戸

800㎡

0㎡

16.10万円

±0(1.000倍)

6戸

1,200㎡

0㎡

16.10万円

±0(1.000倍)

ここから逆算できる基準は単純です。必要戸数 = 敷地面積 ÷ 200㎡(切り上げ)。これを満たせば敷地全体が小規模住宅用地になり、それ以上戸数を増やしても土地の税額は下がりません。460㎡なら3戸(460÷200=2.3→3戸)で枠を使い切ります。

逆に、同じ460㎡の土地を戸建賃貸1戸で使うと、年9.10万円だけ土地の固定資産税が重くなります。これは検証2の「地価が年率5.8%で上昇したときの、約8年分の増税額」に相当します。広い敷地を少ない戸数で使う物件は、地価上昇による増税を先取りしているのと同じ状態です。戸建賃貸や敷地の広い小規模アパートを検討する際、この差は表面利回りには現れません。

検証5:住宅用地特例が外れると税額は3.57倍になる

住宅用地特例は、敷地上に住宅が存在することが前提です。建物を解体して更地にした場合、空家等対策特別措置法に基づく勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等に該当した場合などは、特例の対象外となり非住宅用地(商業地等)として扱われます。

非住宅用地の課税標準額は、負担調整措置の上限が評価額の70%です。同じ4,830万円の土地で計算すると次のようになります。

区分

課税標準額(固定資産税)

固定資産税

都市計画税

合計

住宅用地(小規模・1/6)

805.0万円

11.27万円

4.83万円

16.10万円

非住宅用地(評価額の70%)

3,381.0万円

47.33万円

10.14万円

57.48万円

倍率

4.20倍

4.20倍

2.10倍

3.57倍

増加額は年41.38万円です。負担調整措置による緩和が効く地価上昇の影響(年率5.8%でも11年累計59.7万円)に対し、特例が外れた場合は1年半で同額に達します。

検証6:NOI・DSCR・必要家賃改定率への影響を並べる

ここまでの増税額を、同じ基準ケース(NOI 437.8万円、DSCR 1.425倍、満室想定家賃576万円)に当てはめました。「必要家賃改定率」は、その増税額を家賃収入だけで吸収するために必要な値上げ幅です。

ケース

増税額

NOI

NOI変化率

DSCR

必要家賃改定率

基準(2026年度)

—

437.8万円

—

1.425倍

—

地価年率1.0%・11年目

+2.04万円

435.8万円

−0.47%

1.419倍

+0.35%

地価年率3.0%・11年目

+6.05万円

431.7万円

−1.38%

1.405倍

+1.05%

地価年率5.8%・11年目

+11.84万円

426.0万円

−2.70%

1.387倍

+2.06%

同じ460㎡を戸建賃貸1戸で使う

+9.10万円

428.7万円

−2.08%

1.396倍

+1.58%

住宅用地特例が外れる

+41.38万円

396.4万円

−9.45%

1.290倍

+7.18%

結果から分かること

1. 地価上昇による土地の固定資産税の増加は、投資判断を覆す規模ではない。東京都並みの年率5.8%が11年続いても、DSCRの低下は0.039倍、NOIの減少は2.70%です。「地価が上がると固定資産税が怖い」という漠然とした不安は、この条件では数字と釣り合いません。

2. ただし「据え置き」で計算してはいけない。11年累計で59.7万円、11年目には初年度の1.736倍です。金額として小さくても、家賃下落や運営費上昇と同じ方向に効くコストが毎年確実に増えていきます。長期のキャッシュフロー表で固定資産税を定額にしていると、10年後の手残りを数十万円単位で過大に見ていることになります。

3. 効くのは地価より「特例の有無」。住宅用地特例が外れると税額は3.57倍、DSCRは1.425倍から1.290倍へ0.135倍低下します。地価上昇11年分の3.5倍の影響が、1年で発生します。建物の解体、長期空室による管理不全、敷地の一部を非住宅利用に切り替える——いずれも特例の適用範囲に影響し得ます。

4. 敷地面積と戸数の関係は、購入前に検算できる。「敷地面積 ÷ 200㎡」を切り上げた戸数が、特例を満額使うための戸数です。これを下回る物件は、土地の固定資産税を構造的に多く払い続けます。

投資判断への使い方

購入前:公課証明書から負担水準を計算する

売買時に取得する公課証明書(公租公課証明書)には、評価額と課税標準額の両方が記載されます。ここから負担水準(課税標準額 ÷ 本則課税標準額)を計算すれば、評価額が今後まったく上がらなくても確定している増税余地が分かります。

取得時の負担水準

確定している増税余地

本則到達までの年数

土地の税額16.1万円の物件なら

100%

0.0%

0年

16.1万円のまま

95%

+5.3%

2年

16.9万円(+0.8万円)

90%

+11.1%

2年

17.9万円(+1.8万円)

85%

+17.6%

4年

18.9万円(+2.8万円)

80%

+25.0%

4年

20.1万円(+4.0万円)

70%

+42.9%

7年

23.0万円(+6.9万円)

負担水準が100%の物件は、評価額が上がらない限り税額も上がりません。90%を下回っている物件は、地価が横ばいでも税額が上がる局面に入っています。

保有中:固定資産税を据え置かずに長期収支を引き直す

本記事のシミュレーションは、土地の固定資産税評価額・敷地面積・戸数という3つの条件だけで組んでいます。実際の増税額は物件ごとに変わるため、自分の物件の数値で確かめるのが確実です。

RE-AIのキャッシュフローシミュレーターは、長期試算において固定資産税を据え置く仕様です(評価替えを予測しないため)。本記事で計算した増税額を年間運営費に上乗せして入力し直せば、自分の条件で年間キャッシュフローとDSCRを再計算することができます。たとえば11年目の比較をしたい場合は、年間運営費に増税額を加えた金額を入れて、据え置き前提の結果と見比べてください。

価格交渉:増税余地は売出価格に反映されていない

負担水準が低い物件の増税余地は、売買資料の「固定資産税:年○万円」という記載には現れません。収益還元価格を自分で引き直す場合は、確定している増税余地をNOIから差し引いた上で計算すると、同じ還元利回りでも評価額が下がります。本記事の基準ケースで負担水準80%の物件なら、増税余地4.0万円を還元利回り6.0%で割り戻して約67万円、価格の0.8%に相当します。

この分析では分からないこと

  1. 自治体ごとの運用差。固定資産税の税率は標準税率1.4%と異なる自治体があり、都市計画税は市街化区域外では課されず、税率も0.3%以下で条例により定められます。条例減額制度を設けている自治体もあります。
  2. 実際の評価額の動き。固定資産税評価額は地価公示・都道府県地価調査を参考に標準宅地を評価して決まるため、同じ市内でも地点によって変動率は異なります。本記事は「評価額が地価と同率で動く」という単純化を置いています。
  3. 建物分の動き。建物の固定資産税は経年減点補正により下がっていくため、土地分の増加を一部打ち消します。本記事は土地分のみを変動させています。建物分の推移は木造アパートの固定資産税が下限に着くのは築15年か築35年かで検証しています。
  4. 相関と因果。地価が上がったエリアで家賃も上がるとは限りません。本記事は増税分を家賃で吸収する「必要家賃改定率」を示しましたが、実際に家賃が上がるかはエリアの需給で決まります。地価上昇と家賃上昇は共通の要因(人口流入・再開発)を持つことはあっても、一方が他方を引き起こすとは言えません。
  5. 住宅用地の認定。敷地のうちどこまでが住宅用地か、併用住宅の住宅部分の割合、駐車場部分の扱いなどは個別判断です。実際の課税内容は市区町村の資産税課で確認してください。
  6. 税制の継続性。負担調整措置は3年ごとの税制改正で延長されてきた仕組みで、令和9年度以降の内容は確定していません。
  7. 将来予測ではない。本記事の地価上昇率はシナリオであり、2026年の基準地価の数値がそのまま続くという予測ではありません。

まとめ

土地の固定資産税は、評価額が上がった瞬間に上がるのではなく、負担調整措置によって「本則課税標準額の5%」ずつ階段状に上がります。1サイクルの評価額上昇率が17.6%(年率5.56%)を超えると負担水準は100%に戻らず、課税標準額は毎年上がり続けます。2026年の基準地価で住宅地が5.8%上昇した東京都は、この分岐点をわずかに超える水準にあります。

ただし金額としての影響は限定的で、年率5.8%が11年続いてもDSCRの低下は0.039倍です。それよりも桁が違うのは住宅用地特例の有無で、外れた場合は税額3.57倍、DSCRは0.135倍低下します。そして「敷地面積 ÷ 200㎡」を下回る戸数の物件は、地価上昇8年分に相当する税負担を初年度から負っています。

この条件では、土地の固定資産税は収益性そのものを左右する要素ではありません。しかし長期収支における「据え置いてよいコスト」でもなく、特例の適用が崩れる経路(解体・長期空室・用途変更)に対しては感応度が高い項目です。購入前に公課証明書から負担水準を確認し、確定している増税余地を収支に織り込んでおくことが実務的な対処になります。

今回のように固定資産税の増加・家賃下落・空室・金利・修繕を同時に動かすと、表計算では確認すべき項目が増えていきます。RE-AIでは、こうした複数条件をまとめて確認できるよう設計しています。

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参考資料・出典

情報確認日:2026年10月9日

  • 国土交通省「令和8年都道府県地価調査」(2026年9月15日公表)住宅地の全国平均+1.0%、東京圏+4.0%、大阪圏+2.3%、名古屋圏+1.5%、地方圏+0.1%、東京都+5.8%
  • 総務省自治税務局固定資産税課「固定資産税制度について」(住宅用地特例・負担調整措置の仕組み)https://www.soumu.go.jp/main_content/000448731.pdf
  • 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」(小規模住宅用地1/6・一般住宅用地1/3、都市計画税1/3・2/3)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf
  • 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」(住宅用地特例の面積区分、負担水準の計算)https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
  • 地方税法第349条の3の2(住宅用地に対する課税標準の特例)、同法附則第18条(宅地等に対する固定資産税の負担調整措置)
  • 令和6年度税制改正(土地に係る固定資産税の負担調整措置を令和8年度まで継続)

本記事の数値は、上記の制度に基づき設定した条件で計算したシミュレーションです。実在物件の統計値ではなく、将来の税額・家賃・地価を予測するものではありません。投資判断、税務判断を保証するものではありません。実際の課税内容は市区町村の資産税担当課に、税務の取り扱いは税理士にご確認ください。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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