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収益性・収支

運営費の上昇は家賃で吸収できているのか|CPIから積み上げた運営費+2.27%に対し、必要な家賃改定率は年0.57%、木造の実績は+0.2%だった

運営費の上昇は家賃で吸収できているのか|CPIから積み上げた運営費+2.27%に対し、必要な家賃改定率は年0.57%、木造の実績は+0.2%だった

不動産の運営費が上がっている、という話はよく見かけます。根拠として挙げられるのは、たいてい消費者物価指数(CPI)の「設備修繕・維持」です。2026年8月時点で前年同月比+4.0%。たしかに家賃の上昇率をはるかに上回っています。

ただ、この+4.0%は修繕関連の数字であって、運営費全体の数字ではありません。運営費には固定資産税や共用部の電気代も含まれ、それらは同じようには動いていません。

そこでこの記事では、運営費を項目別に分解してCPIの実績値を当て、運営費全体としての上昇率を積み上げ直しました。そのうえで、その上昇を家賃で吸収するには年何%の賃料改定が必要か、そして実際の家賃上昇率はそれに届いているのかを逆算しています。

この記事で検証する疑問

  • 運営費は、項目別に積み上げると実際には年何%上がっているのか
  • その上昇を吸収してNOIを横ばいに保つには、家賃を年何%改定する必要があるのか
  • CPIの民営家賃の実績は、その必要水準に届いているのか
  • 届かない場合、10年後のNOI率・DSCR・出口価格・IRRはどこまで削られるのか
  • 運営費比率がいくつを超えると、この構造が成立しなくなるのか

なお本記事では物件価格を設定していません。満室想定家賃を100とした指数で計算し、表面利回り・LTV・運営費比率だけで結論が出る形にしています。価格帯の違う物件でも、そのまま読み替えられます。

使用したデータと確認日

情報確認日:2026年9月25日

使用したCPIは、総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分」(2026年9月18日公表)です。2026年7月分から2025年基準へ切り替わっているため、指数値は2025年=100です。

項目

指数(2025年=100)

前年同月比

設備修繕・維持

104.6

+4.0%

 うち外壁塗装費

―

+6.4%

家事関連サービス

104.8

+4.3%

電気代

94.3

▲2.4%

上下水道料

96.8

▲1.5%

民営家賃(全体)

100.8

+0.7%

 民営家賃(木造)

100.2

+0.2%

 民営家賃(非木造)

101.0

+0.9%

ここで一度立ち止まる必要があります。電気代は前年同月比で下落しています。これは燃料費や政策の影響を含んだ結果であり、「エネルギーコストが構造的に下がった」という意味ではありません。また電気代指数は2025年=100に対して94.3であり、水準としては前年より低い位置にあります。運営費の議論では「すべてのコストが上がっている」という前提が置かれがちですが、実績はそうなっていません。

運営費を項目別に積み上げる

一棟アパート・マンションの運営費を、実効総収入に対する比率で分解し、各項目にCPIの実績値を当てました。運営費比率の合計は25%としています(この水準については後で18%・32%でも検証します)。

運営費の項目

実効収入比

運営費内の構成比

適用した上昇率

使用したCPI項目

管理委託費

5.0%

20.0%

+4.3%

家事関連サービス

通常年の修繕費

5.0%

20.0%

+4.0%

設備修繕・維持

固定資産税・都市計画税

7.0%

28.0%

0.0%

評価替え年以外は据え置き

火災保険料

1.5%

6.0%

0.0%

該当CPI品目を確認できず据え置き扱い

共用部 電気代

1.2%

4.8%

▲2.4%

電気代

共用部 上下水道料

0.8%

3.2%

▲1.5%

上下水道料

清掃・消防点検等その他

4.5%

18.0%

+4.3%

家事関連サービス

加重平均

25.0%

100.0%

+2.27%

―

加重平均すると、運営費全体の上昇率は年+2.27%になりました。

設備修繕・維持の+4.0%をそのまま運営費全体に当てると、実際の1.76倍に過大評価することになります(4.00% ÷ 2.27% = 1.76)。理由は単純で、運営費のうち最大のウエイトを占める固定資産税が毎年は動かないこと、そして共用部の光熱費が今回はマイナスだったことです。

ただしこの2.27%は、固定資産税を据え置いた場合の数字です。固定資産税の評価替えは3年ごとに行われるため、評価替えで上昇する局面を年率換算で+1.0%相当として織り込むと、運営費全体の上昇率は+2.55%になります。火災保険料についても、該当する品目の実績値を今回のCPI公表資料から確認できなかったため0%として扱っています。上振れ方向の要因が残っている点には注意が必要です。後半の感応度分析で、+3%・+4%・+5%・+6%まで振って確認します。

NOIを維持するのに必要な家賃改定率を逆算する

ここが本記事の中心です。

満室想定家賃をR、運営費をOとすると、NOI = R×(1−空室率) − O です。家賃がr%、運営費がc%で上昇するとき、NOIが横ばいになる条件は次の一行に整理できます。

必要家賃改定率 r = 運営費上昇率 c × 運営費比率 k

つまり、必要な家賃改定率は運営費比率に比例します。運営費が同じ率で上がっても、運営費比率の低い物件は小さな家賃上昇で吸収でき、高い物件は大きな家賃上昇を必要とします。

運営費上昇率

運営費比率18%
(木造小規模・管理シンプル)

運営費比率25%
(標準的な一棟)

運営費比率32%
(EV・機械式駐車場等あり)

+2.27%(CPI積み上げ実績)

0.41%

0.57%

0.73%

+4.00%(修繕費並み)

0.72%

1.00%

1.28%

+6.00%(外壁塗装費並み)

1.08%

1.50%

1.92%

これを、CPI民営家賃の実績と突き合わせます。

家賃の区分

実績(前年同月比)

運営費比率25%・運営費+2.27%で必要な水準(0.57%)

運営費比率32%・運営費+4.00%で必要な水準(1.28%)

民営家賃(全体)

+0.7%

満たす(+0.13pt)

不足(▲0.58pt)

民営家賃(非木造)

+0.9%

満たす(+0.33pt)

不足(▲0.38pt)

民営家賃(木造)

+0.2%

不足(▲0.37pt)

不足(▲1.08pt)

結果は、よく語られる「インフレで運営費が家賃を追い越している」という一般論とは少しずれます。運営費全体の上昇率で見れば、非木造の家賃上昇率はそれを吸収できる水準にありました。一方で木造の+0.2%は、どの条件でも足りていません。

木造と非木造で家賃上昇率に0.7ポイントの差がある(+0.2%と+0.9%)というのは、運営費インフレへの耐性がこの2つでまったく違うことを意味します。

運営費を吸収できる運営費比率の上限を逆算する

同じ式を逆に解くと、「家賃がこの率でしか上がらないなら、運営費比率は何%までなら成立するか」が出ます。

前提

運営費上昇+2.27%の場合の上限

運営費上昇+4.00%の場合の上限

家賃+0.7%(民営家賃 全体)

30.8%

17.5%

家賃+0.2%(民営家賃 木造)

8.8%

5.0%

運営費比率8.8%や5.0%という物件は、実務上ほとんど存在しません。固定資産税だけで実効収入の5〜8%程度を占めることが多いためです。つまり木造の家賃上昇率が+0.2%にとどまる限り、運営費の上昇を家賃だけで吸収する道は事実上ありません。差額は、NOI率の低下という形で投資家が負担することになります。

10年後のNOI・DSCR・出口価格・IRRを試算する

固定した条件

  • 満室想定年間家賃:100(指数。物件価格は設定しない)
  • 空室・滞納率:5%(期間を通じて一定)
  • 取得時の表面利回り:8.0%
  • LTV:80%/金利:2.0%(全期間固定)/融資期間:25年/元利均等
  • 購入諸費用:価格の7%(自己資金=頭金20%+諸費用7%)
  • 保有期間:10年/売却費用:売却価格の4%
  • 出口の還元利回り:取得時のNOI利回りと同じ(据え置き)

変更した条件

  • 家賃上昇率:+0.2%(木造)/+0.7%(全体)/+0.9%(非木造)
  • 運営費上昇率:0%/+2.27%/+3%/+4%/+5%/+6%
  • 運営費比率:18%/25%/32%

年間元利返済額は「借入額 × 金利 × (1+金利)^年数 ÷ ((1+金利)^年数 − 1)」の年次複利式で計算しています(RE-AIのシミュレーターと同じ式です)。税金・減価償却は含まない税引前の数字です。

結果:運営費+2.27%(CPI積み上げ実績)の場合

運営費比率

家賃上昇率

10年間のNOI変化

NOI率(満室家賃比)

DSCR

出口価格の変化

10年IRR

18%

木造 +0.2%

▲3.07%

77.9%→74.0%

1.521→1.474

▲3.07%

10.68%

全体 +0.7%

+3.28%

77.9%→75.0%

1.521→1.571

+3.28%

12.25%

非木造 +0.9%

+5.90%

77.9%→75.4%

1.521→1.611

+5.90%

12.85%

25%

木造 +0.2%

▲5.70%

71.2%→65.9%

1.391→1.312

▲5.70%

8.25%

全体 +0.7%

+1.24%

71.2%→67.3%

1.391→1.408

+1.24%

10.11%

非木造 +0.9%

+4.11%

71.2%→67.8%

1.391→1.448

+4.11%

10.80%

32%

木造 +0.2%

▲8.88%

64.6%→57.7%

1.261→1.149

▲8.88%

5.56%

全体 +0.7%

▲1.22%

64.6%→59.5%

1.261→1.246

▲1.22%

7.82%

非木造 +0.9%

+1.94%

64.6%→60.2%

1.261→1.286

+1.94%

8.64%

ここで注目すべきは、NOIが増えている条件でもNOI率は必ず下がっていることです。運営費比率25%・家賃+0.7%の行では、NOIは10年で+1.24%と横ばい以上ですが、NOI率は71.2%から67.3%へ3.9ポイント下がっています。家賃が増えた分以上に運営費が増えているため、収入に対する取り分が痩せているからです。

NOIの金額だけを追っていると、この劣化は見えません。運営費インフレは、まずNOI率に表れます。

結果:運営費上昇率を振った感応度(運営費比率25%・家賃+0.7%)

運営費上昇率

10年間のNOI変化

10年後のNOI率

10年後のDSCR

出口価格の変化

10年IRR

0%(上昇を織り込まない)

+9.63%

72.9%

1.525

+9.63%

12.04%

+2.27%(CPI積み上げ)

+1.37%

67.4%

1.410

+1.37%

10.14%

+3.00%

▲1.83%

65.2%

1.366

▲1.83%

9.33%

+4.00%

▲6.38%

62.2%

1.302

▲6.38%

8.11%

+5.00%

▲11.33%

58.9%

1.233

▲11.33%

6.63%

+6.00%

▲16.73%

55.3%

1.158

▲16.73%

4.81%

転換点は運営費上昇率2.8%前後にあります。この条件では、運営費が年2.8%を超えて上がり続けると10年後のNOIが取得時を下回り、還元利回りが変わらなくても収益価格ベースの出口価格が取得時を割り込みます。運営費を織り込まずに計算した場合(IRR 12.04%)と、CPI実績どおりに織り込んだ場合(10.14%)の差は1.90ポイントです。

ただしこの2.8%という数値は、表面利回り8.0%・運営費比率25%・家賃+0.7%・空室率5%という今回の条件でのみ成立する境界値です。条件が変われば動きます。

結果:DSCRが1.20を下回る年(家賃+0.7%)

運営費上昇率

運営費比率18%

運営費比率25%

運営費比率32%

+2.27%

40年以内に到達せず

40年以内に到達せず

21年目

+4.00%

31年目

17年目

5年目

+6.00%

17年目

9年目

3年目

運営費比率32%の物件は、取得時のDSCRがすでに1.261と低いため、運営費が年4.0%で上がると5年目に1.20を割ります。運営費比率の高さは「NOIが低い」だけでなく、インフレに対する時間的な余裕が短いという形でも効いてきます。

3ケース比較

ケース

前提

NOI変化

NOI率

DSCR

出口価格

10年IRR

BASE

家賃+0.7%/運営費+2.27%(CPI実績どおり)

+1.37%

71.2%→67.4%

1.391→1.410

+1.4%

10.14%

STRESS

家賃+0.2%(木造)/運営費+4.00%

▲13.32%

71.2%→60.5%

1.391→1.206

▲13.3%

5.91%

SEVERE

家賃▲0.5%/運営費+6.00%(評価替え・保険改定が重なる)

▲32.88%

71.2%→50.3%

1.391→0.934

▲32.9%

▲3.82%

SEVEREは、家賃が下がりながら運営費が外壁塗装費並みのペースで上がり続けるという、かなり厳しい設定です。この水準が標準的に起きると主張するものではありません。ただしDSCRが0.934まで落ちるということは、NOIで返済を賄えなくなることを意味します。運営費の上昇を「誤差の範囲」として扱えない条件が存在する、という確認として見てください。

取得時に必要な利回りプレミアムを逆算する

別の角度から逆算します。運営費の上昇をまったく織り込まずに計算したときと同じ10年IRRを確保するには、取得時の表面利回りが何ポイント高くなければならないか。

運営費比率

目標IRR(運営費据え置き前提)

運営費+2.27%で必要な表面利回り

運営費+4.00%で必要な表面利回り

18%

13.48%

8.50%(+0.50pt)

8.96%(+0.96pt)

25%

12.04%

8.87%(+0.87pt)

9.68%(+1.68pt)

32%

10.67%

9.41%(+1.41pt)

10.76%(+2.76pt)

運営費比率32%の物件で運営費が年4.0%上がる前提を置くと、同じ投資効率を得るのに表面利回りが2.76ポイント高い必要があります。表面利回り8%の物件と10.8%の物件では、価格にして35%近い差です。

運営費比率の違いは、購入時の価格交渉で「運営費が高いぶん、いくら安く買うべきか」という形に翻訳できます。運営費比率については、同じ表面利回り8%でも実質利回りは1.68pt割れる|戸数×賃料16通りで、小規模物件に必要な利回りプレミアムを逆算と、DSCR1.3に必要な表面利回りは7.5%か9.4%か|全国4万件のNOI率実データで地域別に逆算も参考になります。

結果から分かること

  1. 「運営費インフレ」の数字は、修繕費の指標で語られると1.76倍に膨らむ。CPIを項目別に加重すると、運営費全体の上昇率は年+2.27%だった。固定資産税が毎年は動かないこと、共用部の電気代が今回は下落していることが理由。
  2. NOIを横ばいに保つのに必要な家賃改定率は、運営費上昇率 × 運営費比率という一行で決まる。運営費比率25%なら年0.57%、32%なら年0.73%。
  3. 木造と非木造で、耐性が分かれている。民営家賃の上昇率は非木造+0.9%に対し木造+0.2%。非木造は必要水準を満たしているが、木造は満たしていない。
  4. NOIが増えていてもNOI率は下がる。金額だけを見ていると、収益力の劣化を見落とす。
  5. 運営費比率の高い物件は、転換点に到達するのが早い。運営費比率32%・運営費+4.0%では、DSCR1.20割れが5年目に来る。

投資判断への使い方

この分析は「運営費インフレが怖いから買うな」という結論には向きません。実際、CPI実績どおりの条件では、非木造の標準的な一棟のNOIは10年でほぼ横ばいを保っています。使いどころは次の3つです。

  • 収支計算で運営費上昇率をゼロにしない。運営費据え置きで計算すると、この条件では10年IRRを1.90ポイント高く見積もることになります。項目別に積み上げれば、根拠のある水準を置けます。
  • NOIの金額ではなくNOI率の推移を見る。NOI率が下がっていれば、家賃が上がっていても収益力は落ちています。出口の収益価格は、この痩せたNOIから計算されます。
  • 運営費比率の高い物件は、価格で調整する。運営費比率が高いほど必要な家賃改定率も高くなり、それを達成できないなら利回りプレミアムで取り返すしかありません。上の逆算表が、交渉の出発点になります。

今回の試算は、空室率・金利・保有年数を固定して運営費上昇率と家賃上昇率だけを動かしたものです。実際にはご自身の物件の運営費比率も、想定する保有年数も違います。RE-AIの無料キャッシュフローシミュレーターで運営費上昇率を変えながら試算すると、運営費上昇率と家賃下落率を入力して最長35年の年次収支を確認できます(運営費は項目別入力も選べ、固定資産税は据え置きで計算されます)。

この分析で分からないこと

  1. CPIは実際の運営費そのものではありません。「家事関連サービス」は家計向けサービスの価格指数であり、賃貸管理委託料の指数ではありません。管理委託料は率で契約されることが多く、家賃が上がれば連動して上がるという別の性質も持ちます。本記事は代理指標として使っており、実際の管理委託料の推移を測ったものではありません。
  2. 今回の上昇率は2026年8月の前年同月比1か月分です。CPIは2026年7月分から2025年基準へ切り替わっており、新基準での長期の推移はまだ蓄積が少ない状態です。この12か月の関係が今後10年続く保証はありません。
  3. 火災保険料と固定資産税の評価替えが織り込めていません。火災保険料は今回のCPI公表資料から品目別の実績値を確認できなかったため0%としました。固定資産税も据え置き扱いです。どちらも上振れ方向の要因であり、感応度分析の+3%〜+4%の行がその代替になります。
  4. 家賃が上がったことと運営費が上がったことの間に因果関係を置いていません。民営家賃の上昇には、新規契約と継続契約の構成、地域差、建物の新旧など複数の要因が絡みます。運営費が上がったから家賃が上がった、という関係は本記事では検証していません。
  5. 個別物件の競争力を反映していません。同じエリアでも、募集賃料を上げられる物件と上げられない物件があります。CPIの平均値は、目の前の物件の賃料改定可能性を示すものではありません。
  6. 税引前の計算です。減価償却、所得税・法人税、売却時の譲渡税は含んでいません。税引後の挙動は減価償却が終わった年、税引後CFは93万円減ったなどで別途確認してください。
  7. 出口の還元利回りを据え置いています。実際には金利や市況で還元利回りは動き、出口価格への影響はNOIの変化より大きくなることがあります。出口利回りが1%上がるとIRRはどこまで落ちるか|保有5年・10年・15年・20年で検証を併せてご覧ください。

関連する分析

収支計算の全体像は収益物件の収支計算完全ガイド|表面利回り・NOI・DSCR・IRRの計算方法と使い方に、表面利回りと実質利回りの関係は表面利回りと実質利回りの違いとはにまとめています。

本記事は「名目のNOIが運営費に削られる」構造を扱いました。これに対し「不動産投資はインフレに強い」は本当か|実質IRRを守るのに必要な家賃追随率はLTV70%で69%、CPI実績は37%だったは、物価上昇に対して投資の購買力が保てるかという別の論点を扱っています。運営費の中でも修繕費そのものの水準については修繕費「家賃の5%」で足りるのか|国交省の長期修繕計画事例4件から逆算、家賃の下落カーブについては家賃下落「年1%」は、どこで1%なのかで検証しています。

DSCRの基本的な考え方は不動産投資のDSCRとは?1.2を下回ると融資が厳しくなる理由と計算例をご覧ください。

まとめ

運営費インフレは、修繕費の+4.0%という数字で語られがちです。しかし項目別に積み上げると、運営費全体としては年+2.27%でした。この差は小さくありません。

その+2.27%を家賃で吸収するのに必要な改定率は、運営費比率25%で年0.57%。CPIの民営家賃は非木造+0.9%、全体+0.7%、木造+0.2%です。非木造は吸収できているが、木造は吸収できていない——というのが、今回の条件で出た結論です。

そして、NOIの金額が横ばいでもNOI率は下がります。運営費が年2.8%を超えて上がり続ければ、この条件では10年後のNOIが取得時を割り、出口の収益価格も取得時を下回ります。収支計算で運営費上昇率をゼロに置いていないか、一度確認する価値はあります。

出口価格への影響を自分の条件で確かめたい場合は、収益還元法シミュレーターでNOIと還元利回りから収益価格を試算すると、NOIが何%変わると価格がいくら動くかを直接確認できます。

参考資料・出典

本記事の数値は、上記の公開データを前提に条件を固定して計算したシミュレーションです。実際の物件統計ではありません。投資助言ではなく、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。税務の取り扱いは税理士に、融資条件は金融機関にご確認ください。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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