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不動産投資の頭金を親から贈与してもらうと贈与税はいくらかかるか|住宅資金の非課税措置が使えない理由

不動産投資の頭金を親から贈与してもらうと贈与税はいくらかかるか|住宅資金の非課税措置が使えない理由

投資用物件の頭金を「親に援助してもらえないか」と考えたとき、多くの人がまず思い出すのは「住宅資金の贈与なら1,000万円まで非課税」という話です。しかし、この非課税措置は自分が住むための住宅が前提で、投資用・賃貸用の物件には使えません。この記事では、投資用物件の頭金援助にかかる贈与税の仕組みと、非課税措置が使えない代わりに検討できる方法を、架空の数値例と国税庁の資料をもとに整理します。保有中の所得税や売却時の譲渡所得税など、不動産投資にかかる税金全体の整理は不動産投資の税金 完全ガイド|保有中の所得税から売却時の譲渡所得税・法人化の判断基準までで行っており、本記事はその中の「購入時の資金の贈与」という論点を深掘りする位置づけです。

投資用物件の頭金は「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」の対象外

直系尊属(父母・祖父母)から住宅購入資金の贈与を受けた場合に一定額まで贈与税がかからない「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」は、相談サイトや銀行系メディアでもよく紹介される制度です。ただし、この制度には住宅の要件があり、投資用物件はそもそも対象に含まれません。

非課税措置が適用される住宅の要件

国税庁のパンフレットによると、非課税措置の対象になる住宅には次のような要件があります。

  • 登記簿上の床面積(マンションは専有部分)が40㎡以上240㎡以下であること
  • 床面積の2分の1以上が、贈与を受けた人(受贈者)自身の居住の用に供されること
  • 贈与を受けた年の翌年12月31日までに、その住宅に居住すること
  • 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)

非課税限度額は、省エネ等住宅であれば1,000万円、それ以外の住宅であれば500万円です(2024年の税制改正時点の情報で、現行では2026年12月31日までの贈与が対象とされています。最新の適用期間は国税庁の公表情報でご確認ください)。

投資用・賃貸用物件が対象外になる理由

この要件の中で投資用物件に直接関わるのが「床面積の2分の1以上が受贈者本人の居住用であること」という条件です。賃貸に出すための物件は、受贈者自身が住むことを前提にしていないため、この要件を満たせません。区分マンションを一棟買って一部屋だけ自分が住み、残りを賃貸に出す、というような使い方でない限り、投資専用の物件はこの非課税措置の対象になりません。

実際、親からの資金援助について解説する記事の多くは、受贈者が自分の住まいを買う前提で書かれており、投資用物件を購入する場合にこの非課税措置が使えるかどうかまで触れているものは多くありません。まず「使えない」という前提を正しく持つことが、頭金の資金計画を立てる最初のステップになります。

非課税措置が使えなくても、贈与税を抑える方法はある

住宅取得等資金の非課税措置が使えないからといって、必ず高い税率になるわけではありません。贈与税には、この非課税措置とは別に「基礎控除」と「税率の区分」という仕組みがあり、親子関係や年齢の条件次第で税負担を抑えられる場合があります。

暦年贈与の基礎控除110万円と「特例税率」

贈与税には、1年間(1月1日〜12月31日)に受けた贈与の合計額から110万円を差し引ける基礎控除があります。110万円を超えた部分に、贈与税の税率を当てはめて税額を計算します。

このとき使う税率には「一般税率」と「特例税率」の2種類があり、特例税率が使えるのは、贈与をした年の1月1日時点で受贈者が18歳以上であり、父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合です。特例税率は一般税率よりも税負担が軽く設計されており、この区分は贈与された資金の使い道(住宅購入か、投資用物件の頭金か)によって制限されるものではありません。つまり、投資用物件の頭金であっても、父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与であれば、特例税率を使える可能性があります。

相続時精算課税制度という選択肢

もう一つの選択肢が「相続時精算課税制度」です。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円までは贈与税がかからず、2,500万円を超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。2024年1月1日以後の贈与からは、この制度にも年110万円の基礎控除が新設されました。

注意したいのは、この110万円は暦年課税の基礎控除とは別物で、同じ贈与者からの贈与については、相続時精算課税を選んだ時点で暦年課税の基礎控除(110万円)は使えなくなるという点です。さらに、相続時精算課税を使って贈与を受けた財産は、基礎控除後の金額が将来その贈与者の相続財産に加算され、相続税の対象になります。「贈与税がかからない」ことと「税金が一切発生しない」ことは同じではなく、相続時点で改めて計算が行われる制度だと理解しておく必要があります。相続財産にどう加算され、評価されるのかという実務は収益物件の相続税評価はどう決まる?貸家建付地・小規模宅地等の特例と生前対策の考え方で整理しているため、生前対策として頭金の贈与を検討している場合はあわせて確認してください。

具体例:頭金500万円の援助にかかる贈与税を3パターンで比較

以下は制度の違いを理解しやすくするために設定した架空例です。500万円という金額は、居住用住宅であれば非課税措置の「その他の住宅」の非課税限度額と同額になる金額です。同じ500万円でも、居住用か投資用か、どの制度を選ぶかで税負担がどう変わるかを比較します。

パターン

前提

計算

贈与税額

暦年贈与・特例税率

父母から18歳以上の子への贈与

(500万円−110万円)×15%−10万円

48.5万円

暦年贈与・一般税率

配偶者の親からの贈与、または受贈者が18歳未満

(500万円−110万円)×20%−25万円

53万円

相続時精算課税

60歳以上の父母から18歳以上の子への贈与

(500万円−110万円)は2,500万円の特別控除内

0円(相続時に390万円を相続財産へ加算)

同じ500万円の援助でも、関係性や選ぶ制度によって、今払う税額は0円から53万円まで差が出ます。ただし相続時精算課税の0円は「免除」ではなく「先送り」であり、将来の相続税計算に組み込まれる点を踏まえて選ぶ必要があります。どちらが有利かは、将来の相続財産の規模や相続税の基礎控除との関係によって変わるため、一概に「相続時精算課税が得」とは言えません。

「名義預金」と判定されるリスクに注意する

頭金の援助を受けるときにもう一つ見落とされやすいのが、「名義預金」と判定されるリスクです。名義預金とは、口座の名義は子や孫であっても、実際にはお金を出した親などが管理・支配を続けている預金のことです。贈与契約書を作らず、受贈者が自由に使える状態になっていないまま資金を移動させると、税務署から「贈与が成立していない」とみなされ、援助した側の相続財産として扱われる可能性があります。

国税庁が公表している相続税の調査結果によると、令和5事務年度に実施された税務調査で見つかった「申告漏れ相続財産」の内訳は、現金・預貯金等が44.1%と最も高い割合を占めています(土地30.3%、有価証券10.7%など)。不動産そのものより、動きの見えにくい預貯金の方が調査で指摘されやすいことがうかがえる数字です。頭金の援助を受ける際は、贈与契約書を作成し、受贈者本人の口座に資金を移し、受贈者自身がその口座を管理する状態にしておくことが、名義預金と判定されないための実務上のポイントとされています。

融資審査では、贈与された自己資金はどう見られるか

投資用物件の購入では、自己資金比率が高いほどDSCR(返済余力)に余裕が生まれ、融資審査でも有利に働きやすいことは、不動産投資の自己資金はいくら必要?頭金10%・20%・30%でDSCRと月々の返済を比較で確認した通りです。ただし、自己資金が増えること自体は好材料でも、その資金が「誰のお金か」は別の論点として審査の過程で確認されることがあります。

金融機関によっては、直前に大きな入金があった預金通帳の写しを求め、入金の経緯(贈与か、一時的な借入か)を確認することがあります。これは、自己資金が本当に継続的に使える自分の資産なのか、名義だけ借りた一時的な資金なのかを見極めるための確認です。贈与である場合は、贈与契約書や贈与税の申告書(基礎控除を超える場合)の提示を求められることもあります。頭金の比率だけを見れば同じ20%でも、その原資が給与からの積み立てか、直前の贈与かで、審査担当者の見方や、将来その資金を再び別の物件の頭金に使えるかどうかの継続性は変わってきます。頭金比率と融資条件の関係をより広く確認したい場合は、「頭金を薄くして大きく買う」と手残りは増えるのかもあわせて参考にしてください。

また、不動産投資ローンの審査基準そのものについては不動産投資ローン完全ガイド|審査基準・金利・融資期間・自己資金とDSCRの見方で整理しています。贈与を受けた自己資金を踏まえたうえで、物件の収益性・DSCR・出口までを数値で確認したい場合は、RE-AIの無料診断で物件全体を一度確認してみる、という使い方が考えられます。

法人で購入する場合はどう変わるか

個人で物件を買う代わりに、資産管理法人を設立して法人名義で購入する場合、親から受けた資金は「法人への出資」や「法人への貸付」として扱われ、個人間の贈与とは別の整理になります。法人化のタイミングや税率差の考え方は不動産投資の法人化 完全ガイド|税率差・コスト・出口の税金までつなげて判断するで詳しく解説しているため、法人での購入を検討している場合はそちらを確認してください。本記事では、個人として頭金の贈与を受けるケースを中心に扱っています。

まとめ|頭金の贈与は「非課税措置」ではなく別の枠組みで考える

投資用物件の頭金を親などから援助してもらう場合、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」は居住用住宅が前提のため使えません。ただし、暦年贈与の基礎控除110万円と特例税率、または相続時精算課税制度という2つの枠組みを使えば、税負担をゼロから大幅に抑えられる場合があります。どちらが有利かは、将来の相続財産の規模や相続税の基礎控除との関係によって変わるため、一概に結論づけることはできません。また、贈与契約書を作らずに資金を移動させると「名義預金」と判定されるリスクがあり、融資審査でも自己資金の原資を確認されることがあります。頭金の援助を受ける際は、税額だけでなく、契約書の整備と資金移動の記録を含めて準備しておくことが実務上のポイントになります。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。贈与税・相続時精算課税制度の適用判断や、個別の金額に対する税額計算は、受贈者・贈与者それぞれの状況によって結論が変わるため、具体的な判断は税理士にご確認ください。

参考資料・出典(情報確認日:2026年10月21日)

  • 国税庁「父母等からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置のあらまし」パンフレット(住宅の要件、非課税限度額500万円・1,000万円)
  • 国税庁「相続時精算課税制度のあらまし」パンフレット(令和6年1月1日以後の贈与に係る110万円の基礎控除の創設)
  • 国税庁「贈与税の計算と税率(暦年贈与)」の一般税率・特例税率の速算表
  • 国税庁「令和5事務年度 相続税の調査等の状況」(申告漏れ相続財産の種類別構成比:現金・預貯金等44.1%)
  • 住宅取得等資金の非課税措置の適用期間(2026年12月31日まで)は2024年の税制改正時点の情報です。最新の適用期間・税制改正の内容は国税庁の公表資料でご確認ください。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

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