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融資

「金利0.3pt引下げ」と「事務手数料2.2%」はどちらが得か|定率型が逆転するのは保有9.0年目、0.15pt以下なら30年でも回収できなかった

「金利0.3pt引下げ」と「事務手数料2.2%」はどちらが得か|定率型が逆転するのは保有9.0年目、0.15pt以下なら30年でも回収できなかった

不動産投資ローンの比較は、ほとんどの場合「金利が何%か」で行われます。しかし借入時に一度だけ発生する融資事務手数料は、金利には一切表示されないまま、自己資金から出ていきます。

実際に、同じ銀行が「金利を下げる代わりに手数料を高くするプラン」と「手数料を抑える代わりに金利を上げるプラン」を並べて提示しているケースがあります。SMBC信託銀行プレスティアの不動産投資ローンは、借入時事務手数料が借入金額の2.2%(税込)のAプラン(金利重視)と、22,000円(税込)のBプラン(初期費用重視)に分かれています(同行公式サイト、2026年9月28日確認)。

ではこの2つは、どちらが安いのでしょうか。手数料2.2%は、金利に換算すると何ポイント分なのでしょうか。

この記事では、借入時の一括手数料を実効金利へ換算し、保有年数・融資期間・借入額を変えて実際に計算しました。結論を先に書くと、この換算値は保有年数によって0.165pt〜0.794ptまで4.8倍動きます。そして「金利0.3pt引下げと手数料2.2%」の組み合わせが得になるのは、保有9.0年目以降でした。5年で売却する前提の投資家にとっては、手数料を払って金利を下げる選択はほぼ損になります。

この記事で検証する疑問

検証するのは次の4点です。

  • 借入時に一括で払う事務手数料は、金利に換算すると何pt分になるのか
  • その換算値は、保有年数・融資期間・借入額でどう変わるのか
  • 定率型(借入額×%)と定額型(数万円)は、金利差が何pt以上あればどちらが有利になるのか
  • 「金利を0.2pt下げます。ただし手数料は借入額の2.2%です」と言われたとき、何年以上保有すれば回収できるのか

なお、金利の水準そのものやDSCRの意味については不動産投資ローン完全ガイドとDSCRとは?で扱っています。本記事は「金利に表示されないコスト」だけを取り出して計算します。

使用したデータの区分

本記事で扱う数値の性質を先に明示します。

区分

内容

公開データ

事務手数料の体系(定率2.2%/定額22,000円の2プラン構成)。SMBC信託銀行プレスティア公式サイトで確認できる実在の商品条件。

公開データ

譲渡所得の長期・短期の区分(譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超か否か)。国税庁タックスアンサー。

シミュレーション

借入額・金利・融資期間・保有年数を設定して計算した実効金利、損益分岐金利差、転換点。本記事の計算結果はすべてこれに該当します。

使用していない

両プランの実際の適用金利。引下幅は借入額・ステータス・審査により決定され、公式サイト上でも具体的な数値が時期により変動するため、本記事では金利差そのものを変数として扱います。

RE-AIの診断実績データは本記事では使用していません。

前提条件:何を固定し、何を変えたか

この分析は融資コストだけを対象とするため、物件価格を設定していません。手数料は借入額に対して課されるため、分析の基準は借入額です。物件価格・表面利回り・空室率・修繕費は、結果に影響しないため条件から外しています。

項目

設定

設定した理由

借入額(基準)

5,000万円

上記商品の取扱範囲(500万円以上・最大1億円)の中位帯であり、定額22,000円が無視できない程度に小さく、かつ2.2%=110万円が自己資金として実感できる規模のため。3,000万円・1億円でも併せて検証。

基準金利

年2.0%

比較の基点として置いた値。特定金融機関の提示金利ではありません。1.5〜3.5%でも感度を確認。

返済方式

元利均等・毎月返済

投資用ローンで一般的な方式。元金均等との差は元金均等返済は本当に得かで別途検証しています。

融資期間(固定)

30年(20年・25年・35年も比較)

手数料の換算値は元本の減り方に依存するため、期間を変えた影響も確認する必要があるため。

変更する条件

保有年数(3〜30年)/手数料率(0.55〜3.3%)/借入額/金利水準/金利引下げ幅

検証対象。

計算方法:一括手数料を実効金利に換算する

手数料は「借入時に借入額から差し引かれる(または自己資金から支出する)」ため、借主が実際に手にする資金は借入額より少なく、返済額は借入額に対して計算されます。この状態の実質的な利率が実効金利です。

具体的には、次のキャッシュフローの内部収益率(月複利、年率換算)を求めます。

  • 時点0:借入額 −(事務手数料)= 純受取額
  • 各月:元利均等返済額(表面金利で計算)
  • 保有期間の末月:その時点のローン残債を一括返済(売却または借換えを想定)

この手法を使う理由は、保有期間中に売却・借換えをすれば、手数料は残りの期間に振り分けられずに終わる点を反映できることです。単純に「手数料÷保有年数÷借入額」で割ると、元本が減っていく効果と時間価値を無視するため、換算値を過小評価します。

手数料を「金利換算で+何pt」と表記している箇所は、すべてこの実効金利から表面金利を引いた差です。

結果1:事務手数料2.2%は金利何pt分だったか

借入5,000万円・表面金利2.0%。融資期間ごとに、保有年数を変えて計算しました。

保有年数

融資20年

融資25年

融資30年

3年

+0.814pt

+0.802pt

+0.794pt

5年

+0.522pt

+0.508pt

+0.499pt

7年

+0.399pt

+0.383pt

+0.373pt

10年

+0.311pt

+0.292pt

+0.281pt

15年

+0.253pt

+0.227pt

+0.213pt

20年

+0.239pt

+0.202pt

+0.183pt

25年

—

+0.195pt

+0.169pt

30年

—

—

+0.165pt

読み取れるのは次の2点です。

第一に、同じ手数料2.2%が、保有3年なら+0.794pt、保有30年なら+0.165ptと4.8倍の差になります。手数料は前払いで金額が固定されているため、保有期間が短いほど年率換算が跳ね上がります。「手数料2.2%=金利◯pt相当」という単一の答えは存在しません。

第二に、融資期間が短いほど換算値は大きくなります。保有10年で比べると、融資20年は+0.311pt、融資30年は+0.281ptです。期間が短いと元本が早く減り、手数料を負担させる元本残高の平均が小さくなるためです。

参考として、完済まで保有した場合の換算値も出しました。融資15年+0.312pt、20年+0.239pt、25年+0.195pt、30年+0.165pt、35年+0.144ptです。短期融資では手数料の重みが2倍以上になります。

結果2:手数料率を変えると換算値はどう動くか

借入5,000万円・融資30年・金利2.0%。手数料率を変えました。

保有年数

手数料0.55%

1.1%

2.2%

3.3%

5年

+0.124pt

+0.248pt

+0.499pt

+0.753pt

7年

+0.092pt

+0.186pt

+0.373pt

+0.564pt

10年

+0.070pt

+0.140pt

+0.281pt

+0.424pt

15年

+0.053pt

+0.106pt

+0.213pt

+0.321pt

20年

+0.045pt

+0.091pt

+0.183pt

+0.276pt

30年

+0.041pt

+0.082pt

+0.165pt

+0.250pt

手数料率に対して換算値はほぼ比例します。使いやすい概算として、融資30年・保有10年なら「手数料1.0% ≒ 金利0.13pt」、保有5年なら「手数料1.0% ≒ 金利0.23pt」と覚えておくと、提示された条件をその場で比較できます。

金利水準の影響は小さく、手数料2.2%・融資30年・保有10年で計算すると、表面金利1.5%で+0.277pt、2.0%で+0.281pt、3.0%で+0.289pt、3.5%で+0.294ptでした。金利が2pt動いても換算値は0.017ptしか動きません。手数料の金利換算は、金利水準よりも保有年数と融資期間で決まります。

結果3:定率型と定額型の損益分岐金利差

ここからが本題です。定率2.2%のプランと定額22,000円のプランを比べ、定率型のほうが金利を何pt下げてくれれば元が取れるのかを計算しました。これは両者の金利換算値の差として求められます。

融資30年・金利2.0%基準。

保有年数

借入3,000万円

借入5,000万円

借入1億円

3年

0.768pt

0.778pt

0.786pt

5年

0.482pt

0.489pt

0.494pt

7年

0.361pt

0.366pt

0.370pt

10年

0.272pt

0.276pt

0.278pt

15年

0.206pt

0.209pt

0.211pt

20年

0.177pt

0.179pt

0.181pt

25年

0.164pt

0.166pt

0.167pt

30年

0.160pt

0.162pt

0.164pt

表の読み方は「保有10年・借入5,000万円なら、定率型の金利が定額型より0.276pt以上低くなければ定率型は損」です。

注目すべきは借入額による差がほとんどない点です。3,000万円と1億円で損益分岐は0.006〜0.018ptしか違いません。定率型の手数料は借入額に比例するため、比率で見た負担が借入額に依存しないからです。「借入が大きいから定率型は不利」という直感は、少なくとも金利換算では成立しません。金額としては借入1億円で220万円と大きくなりますが、それは金利負担も同じ比率で大きくなる話です。

結果4:転換点 — 定率型が得になる最短保有年数

実務では金利差のほうが先に提示されます。そこで逆に、提示された引下げ幅ごとに「何年保有すれば元が取れるか」を逆算しました。借入5,000万円・融資30年・基準金利2.0%、比較対象は定額22,000円のプランです。

金利引下げ幅

定率2.2%が有利になる最短保有年数

▲0.15pt

30年保有しても逆転しない

▲0.20pt

約16.2年(194ヶ月)

▲0.25pt

約11.5年(138ヶ月)

▲0.30pt

約9.0年(108ヶ月)

▲0.40pt

約6.3年(76ヶ月)

▲0.50pt

約4.9年(59ヶ月)

この表がこの記事の中心的な結果です。

引下げ幅が0.15pt以下なら、融資期間いっぱい30年保有しても手数料2.2%は回収できません。0.2ptでも16.2年、0.3ptでようやく9.0年です。

融資期間を変えても転換点はあまり動きません。引下げ0.3ptの場合、融資20年で約10.3年、25年で約9.4年、30年で約9.0年、35年で約8.8年でした。

実額でも確認します。借入5,000万円・融資30年で「金利1.7%+手数料2.2%(110万円)」と「金利2.0%+手数料2.2万円」を比べた、期間中の利息+手数料の累計です。

保有年数

A:1.7%+110万円

B:2.0%+2.2万円

差(A−B)

有利

3年

—

—

+64.0万円

B

5年

507.5万円

471.3万円

+36.3万円

B

7年

—

—

+9.8万円

B

10年

845.9万円

873.1万円

▲27.2万円

A

15年

—

—

▲80.7万円

A

20年

1,324.0万円

1,446.1万円

▲122.2万円

A

30年

1,496.4万円

1,655.4万円

▲159.0万円

A

0.3ptの引下げは、30年持てば159万円の得ですが、5年で売れば36万円の損です。同じ条件の組み合わせで、保有年数だけで結論が反転します。

逆算:金利引下げ幅別・払ってよい手数料率の上限

手数料率が2.2%以外の場合にも使えるよう、「この引下げ幅なら手数料は何%まで払っていいか」を逆算しました。借入5,000万円・融資30年・基準2.0%、比較対象は定額22,000円。

保有年数

▲0.1pt

▲0.2pt

▲0.3pt

▲0.5pt

5年

0.49%

0.94%

1.38%

2.26%

7年

0.64%

1.23%

1.83%

3.01%

10年

0.84%

1.62%

2.41%

3.97%

15年

1.09%

2.13%

3.16%

5.21%

20年

1.26%

2.47%

3.67%

6.05%

30年

1.39%

2.73%

4.05%

6.67%

保有5年を想定するなら、0.3ptの引下げに対して払ってよい手数料は1.38%までです。2.2%を提示された時点で、5年保有前提なら金利重視プランは選ぶべきではないという判断になります。

見落としやすい3つの論点

1. 手数料は自己資金を増やし、CCRを押し下げる

金利は毎月の返済額から出ますが、手数料は購入時の自己資金から出ます。借入5,000万円に対する2.2%は110万円で、これは金利2.0%・30年の月々返済額のちょうど約6.0ヶ月分です(借入額が変わってもこの月数は同じです)。

投下自己資金への影響は次のとおりです。

当初の投下自己資金

手数料込み

増加率

年CF150万円の場合のCCR

500万円

610万円

+22.0%

30.00% → 24.59%

1,000万円

1,110万円

+11.0%

15.00% → 13.51%

1,500万円

1,610万円

+7.3%

10.00% → 9.32%

自己資金を薄くして買う戦略ほど、定率型手数料のCCRへの打撃は大きくなります。頭金を薄くする判断そのものは「頭金を薄くして大きく買う」と手残りは増えるのかで検証していますが、そこに手数料110万円が乗ると必要自己資金の前提が変わります。諸費用全体の中での位置づけは不動産投資の諸費用は本当に7%なのかを併せてご確認ください。

2. 借換えをすると定率型手数料は二重に発生する

定率型のもう一つの弱点は、借換え時に新しい借入額に対して再度課される可能性があることです。借入5,000万円・金利2.0%・30年で、新規借入先も定率2.2%だった場合の合計負担です。

借換え時期

その時点の残債

借換時手数料

当初+借換の合計

当初借入額に対する比率

3年後

4,623.8万円

101.7万円

211.7万円

4.23%

5年後

4,360.2万円

95.9万円

205.9万円

4.12%

7年後

4,085.9万円

89.9万円

199.9万円

4.00%

10年後

3,653.2万円

80.4万円

190.4万円

3.81%

元本の減りが遅い元利均等では、10年後でも残債は当初の73%あります。そのため借換えを想定に入れると、定率型の実質負担は表示の2.2%ではなく4%前後になり得ます。借換え自体の損益分岐は不動産投資ローンの借換えは金利差何ptから得かで検証していますが、そこに手数料の二重負担を加えると必要な金利差はさらに広がります。

3. 税務上の「5年ルール」と転換点が衝突する

譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡(所得税15%・住民税5%)、5年以下なら短期譲渡(所得税30%・住民税9%)に区分されます(国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3211、2026年9月28日確認)。

この税率差は大きいため、「長期譲渡になるまで待って売る」という出口設計は珍しくありません。5年目売却と6年目売却で税引後IRRは7.17pt違うでもその効果を計算しています。

問題は、その保有年数が本記事の転換点より短いことです。6年目に売る前提の投資家にとって、手数料2.2%を回収するには金利引下げ幅が0.4pt以上必要(保有6.3年で0.4pt)で、0.2ptや0.3ptの引下げでは回収できません。税務上の出口と融資コストの最適解が逆方向を向いている、という構造です。

結果から分かること

  • 「手数料2.2%=金利◯pt」という固定の答えはありません。保有3年で+0.794pt、30年で+0.165ptと4.8倍動きます。
  • 換算値を決めるのは主に保有年数と融資期間で、金利水準の影響はごくわずかです(金利1.5%→3.5%で0.017ptしか動かない)。
  • 定率型が定額型に勝つには、保有10年で0.276pt、保有5年で0.489ptの金利差が必要でした。
  • 借入額が3,000万円でも1億円でも、損益分岐となる金利差はほぼ同じです。
  • 0.15pt以下の引下げは、30年保有しても手数料2.2%を回収できません。
  • 手数料は自己資金から出るため、CCRを0.7〜5.4pt押し下げます(投下自己資金が小さいほど影響大)。金利比較には現れない影響です。

一方で、定率型が明確に有利になる局面もあります。長期保有・低金利・自己資金に余裕がある場合です。借入5,000万円で0.3pt引下げを30年持ち切れば159万円の差になります。「初期費用が高いから不利」という単純な話ではありません。

投資判断への使い方

実務では次の順序で確認するのが現実的です。

  1. 出口の保有年数を先に決める。手数料の評価は保有年数が決まらないと計算できません。順序を逆にすると比較ができません。
  2. 提示された引下げ幅を「結果4」の表に当てる。引下げ幅が0.2pt以下なら、定率型は長期保有前提でなければ選びにくくなります。
  3. 借換えの可能性を織り込む。5年以内の借換えを想定するなら、定率型の実質コストは4%前後で評価します。
  4. 自己資金への影響をDSCRとは別に確認する。手数料はDSCRを直接変えませんが、購入後の手元資金を減らします。必要な手元資金は購入後の手元資金は家賃の何ヶ月分必要かで別途検証しています。
  5. 金利タイプの選択と混同しない。固定・変動の判断は別軸です(固定金利は変動より何%まで高くていいのか)。

本記事の計算は借入5,000万円・融資30年・金利2.0%を基準にしています。実際の借入額・金利・融資期間では、返済額も総利息も残債も変わります。自分の条件での月々返済額・年間返済額・総利息・各年の残債を確認したい場合は、RE-AIの無料ローンシミュレーターで借入条件を変えて試算できます。金利を2つの水準で計算して総利息の差を出し、そこへ手数料額を足し引きすれば、本記事と同じ比較を自分の条件で再現できます(同ツールは返済額・DSCR・残債の計算が対象で、事務手数料の入力欄はありません。手数料は別途足してください)。

この分析で分からないこと

本記事はシミュレーションであり、次の点は扱えていません。

  1. 両プランの実際の金利差。引下幅は借入額・取引状況・審査結果で決まります。本記事は金利差を変数として扱っており、特定の組み合わせが有利だと述べているわけではありません。
  2. 審査に通るかどうか。金利重視プランを選べるかは金融機関の判断です。条件の比較は、選択肢が両方提示されて初めて意味を持ちます。
  3. 手数料の税務上の取扱い。融資事務手数料の費用計上の方法(支払時の費用か繰延資産として期間按分か)は金額・契約内容・個別事情により判断が分かれます。本記事は税引前の資金負担で比較しており、税引後の有利不利は変わり得ます。個別の判断は税理士にご確認ください。
  4. 繰上返済手数料・期限前完済時の精算。商品によって取扱いが異なります。繰上返済そのものの損益は余剰資金500万円は繰上返済すべきかで扱っています。
  5. 変動金利の改定。保有期間中に金利が動けば、表面金利ベースの比較そのものが動きます。
  6. 手数料以外の初期費用。印紙税、抵当権設定費用、団体信用生命保険の金利上乗せなどは含めていません。団信の上乗せは不動産投資ローンの団信、金利+0.2ptは高いかで別途検証しています。
  7. 予定どおり売れるか。転換点はすべて「その年に売却または完済できた場合」の値です。売却時期が後ろにずれるかどうかは市場環境に依存します。

また、保有年数と有利なプランの間に見られる関係は、手数料が前払い・固定額であることから導かれる計算上の構造であり、市場で観測された相関ではありません。

まとめ

融資事務手数料は金利表示に現れませんが、保有年数が短いほど実効金利を大きく押し上げます。借入5,000万円・融資30年で手数料2.2%は、保有3年なら+0.794pt、10年なら+0.281pt、30年なら+0.165pt相当でした。

そして「金利を下げる代わりに手数料2.2%」という提示が得になるのは、引下げ0.3ptで保有9.0年目以降、0.2ptなら16.2年目以降で、0.15pt以下では30年保有しても回収できません。金利の数字だけを並べた比較では、この逆転は見えません。

今回のように金利・手数料・保有年数・残債・借換えを同時に扱うと、確認すべき項目が増えます。RE-AIでは融資条件を収益性・価格査定・出口時の残債と通算損益まで含めて確認できるよう設計していますが、金融機関の審査結果や投資成果を保証するものではありません。判断の材料を揃えるための道具としてお使いください。

参考資料・出典

計算はすべて元利均等・毎月返済(月利=年利÷12、返済回数=年数×12)を前提に、本記事のために実施したものです。実効金利は「純受取額=各月返済額と期末残債の現在価値合計」となる月利を二分法で求め、12倍して年率換算しています。表示は小数第3位まで四捨五入しているため、表内の数値を再計算した場合に末尾が一致しないことがあります。

情報確認日:2026年9月28日

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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