RE-AI

7体のAIによる収益物件評価プラットフォーム

融資

不動産投資ローンの団信、金利+0.2ptは高いか|入らなかった場合に家族が引き継ぐ残債を試算した

不動産投資ローンの団信、金利+0.2ptは高いか|入らなかった場合に家族が引き継ぐ残債を試算した

不動産投資ローンを検討していると「団信(団体信用生命保険)はつけるべきか」という疑問に必ず突き当たる。住宅ローンでは加入が当然とされる団信だが、投資用ローンでは扱いが異なる場合がある。本記事では、金利上乗せの負担と、加入しなかった場合に家族が引き継ぐ残債を試算し、判断の材料を整理する。

団信(団体信用生命保険)とは何か

団体信用生命保険(団信)は、ローンの契約者が返済期間中に死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合に、保険金でローン残高を完済する仕組みの保険である。契約者に万一のことがあった際、家族はローンの残った不動産ではなく、残債のない不動産を引き継ぐことになる。保険料は多くの場合、金利に上乗せする形でローン返済の中に組み込まれる。

住宅ローンと不動産投資ローンで、団信の扱いは同じではない

住宅ローンでは団信への加入がほぼ必須とされている金融機関が多い。一方、不動産投資ローン(アパートローン等)では、団信を融資の必須条件としない金融機関や、加入するかどうかを選択できる商品も存在する。これは、住宅ローンの返済原資が契約者本人の給与収入である一方、投資用ローンの返済原資は物件が生む家賃収入であり、契約者本人の稼得力への依存度が住宅ローンほど高くないためと説明されることが多い。

どの金融機関がどの条件で団信を扱っているかは商品ごとに異なるため、検討している金融機関に個別に確認する必要がある。金融機関のタイプによる審査の見られ方の違いは「金融機関3タイプで審査の見られ方はここまで違いました」でも扱っている。

団信の金利上乗せは、実際どれくらいの負担になるのか

以下は仕組みを理解するために単純化した架空例である。想定読者は、初めて一棟アパートへの融資を検討している個人の給与所得者投資家とし、地方の中古木造アパートを想定した。物件価格4,600万円(表面利回り9.0%)、借入4,000万円、融資期間25年、空室率8%・運営費率25%で試算するとNOI(年間純収益)は約286万円となる。

この条件で、団信をつけない場合の金利を2.3%、団信をつけて0.2ポイント上乗せされた場合を2.5%として比較する。

条件

月々返済額

年間返済額

DSCR

年間CF(税引前)

25年間の総利息

団信なし(2.3%)

175,444円

210.5万円

1.36倍

75.5万円

1,263.3万円

団信あり(2.5%・+0.2pt)

179,447円

215.3万円

1.33倍

70.7万円

1,383.4万円

月々の差は4,002円、年間では4.8万円である。DSCRは1.36倍から1.33倍への低下にとどまり、この規模であれば返済余力への影響は大きくない。一方、25年間の総利息では120.1万円の差になる。金利上乗せの負担は、月々で見るか総返済額で見るかによって印象が変わる点に注意が必要である。

なお、この上乗せ幅による負担額は借入額に比例して大きくなる。例えば借入1.2億円・融資期間30年のRC一棟マンションを法人で購入するようなケースで同じ+0.2ポイントを試算すると、総利息の差は439.0万円まで広がる。借入規模が大きいほど、団信の金利負担も金額としては重くなる。

団信に入らない場合、家族は何を引き継ぐことになるのか

団信に加入しないまま契約者に万一のことがあった場合、ローンの残債は原則として相続の対象になる。先の架空例(団信なし・2.3%)で試算すると、5年後の残債は約3,372.5万円、10年後は約2,668.7万円、15年後は約1,879.2万円である。家族がこの残債を引き継いだ場合、物件が生み出す家賃収入で返済を続けられるかどうかが最初の論点になる。返済額自体は契約時のまま変わらないため、家賃水準や空室率が契約時から悪化していなければ、DSCRの目安は試算時と大きくは変わらない。ただし、家賃下落や空室増加が同時に起きていた場合は、家族の手元により厳しい条件で残ることになる。

相続税評価の実務では、団信によって弁済される債務は保険金が金融機関へ直接充当され相続人の負担する債務ではなくなるため、原則として相続税の債務控除の対象にならないとされる。団信に加入していない場合の残債は、通常の借入金と同様に債務控除の対象になりうる。この扱いは個別の事情によって変わりうるため、実際の申告にあたっては税理士への確認が必要である。相続税評価の基本的な考え方は「収益物件の相続税評価はどう決まる?」で整理している。

団信にはいくつかの種類がある

団信には保障範囲の異なる種類がある。死亡・高度障害のみを保障する一般団信のほか、がんや三大疾病に罹患した際にも残高が完済される疾病保障付き団信、持病や既往歴がある人でも加入しやすいワイド団信などが商品として存在する。保障が手厚くなるほど金利の上乗せ幅も大きくなる傾向があり、一般団信に比べて0.1〜0.3ポイント程度上乗せされる例が業界メディアで紹介されている。国立がん研究センターの調査では、がんと診断された人のうち53.4%が治療のために休業したと回答しており、就業不能時の収支への影響を考える材料になる。ただし、投資用ローンの返済原資は家賃収入であるため、契約者本人が働けなくなったことが直ちに返済不能につながるとは限らない点は、住宅ローンとの違いとして押さえておきたい。

個人ローンと法人ローンでは、団信の位置づけが変わる

法人名義で不動産投資ローンを借りる場合、団信の対象外となる、あるいは代表者個人に対する保険(経営者保険等)で別途備えるという整理になることが多い。資産管理法人を使った運用や、相続対策として意図的に負債を残す判断をしている資産家層では、団信を外す選択も見られる。個人と法人でローンの位置づけがどう変わるかは「不動産投資ローンは法人と個人でどう違う?」、住宅ローンとの制度的な違いは「住宅ローンと不動産投資ローンの違いとは」で解説している。不動産投資ローン全体の審査基準や金利の考え方は「不動産投資ローン完全ガイド」にまとめている。

団信の要否をどう判断するか

団信に入るべきかどうかは、借入額・家族構成・他の生命保険の加入状況・法人か個人かによって条件が変わり、一律の正解があるわけではない。目安としては、家族に残債のない不動産を残したいか、自己資金や他の保険で残債リスクに備えられているか、団信の金利上乗せ分を毎年のキャッシュフローが吸収できるかを、それぞれ確認しておく必要がある。

金利の上乗せ分がDSCRやキャッシュフローにどこまで影響するかは、物件ごとの借入額・金利・NOIによって変わる。RE-AIの不動産投資ローンシミュレーターは団信保険料を計算に含めていないため、団信込みの金利をそのまま入力欄に入れれば、上乗せ後の月々返済額・DSCR・総利息を自分の物件条件で試算できる。DSCRの読み方自体は「不動産投資のDSCRとは?」で解説している。

まとめ

不動産投資ローンの団信は、住宅ローンほど加入が一律ではなく、金融機関や商品によって条件が異なる。金利上乗せの負担は月々で見ると小さく見えても、総返済額や借入規模が大きくなるほど無視できない金額になる。一方で、団信に加入しない場合は、契約時点の残債がそのまま相続の対象になりうる。どちらが自分の状況に合うかは、家族構成や他の保障、借入規模によって変わるため、金融機関ごとの条件を確認したうえで判断することが望ましい。

情報確認日:2026年9月9日。団信の保障内容・金利上乗せ幅・加入条件は金融機関・商品によって異なり、随時変更される可能性がある。相続税の扱いは個別の事情により結論が変わる場合があるため、実際の判断にあたっては金融機関・税理士等の専門家に確認することを推奨する。

参考資料・出典

  • 不動産投資ローンの団体信用生命保険(団信)とは?(エスリードJOURNAL)
  • 不動産投資ローンの団体信用生命保険は充実すべき?(モゲチェックマガジン)
  • 国立がん研究センターがん対策研究所「患者体験調査報告書 令和5年度調査(最終版)」
  • 団体信用生命保険付き住宅ローン(団信)は相続や贈与に影響なし?(税理士法人ベンチャーサポート相続税理士法人)

この記事をシェアする

この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

分析実績 87件(2026/08/07時点)X(旧Twitter)プロフィールと執筆記事 →