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家賃滞納が起きたらどうする?対応の流れと、収益物件のキャッシュフローへの影響を試算

家賃滞納が起きたらどうする?対応の流れと、収益物件のキャッシュフローへの影響を試算

入居者の家賃滞納は、いつ発生するか読めないまま毎月のキャッシュフローに直接影響するリスクです。保証会社に加入していれば安心と考えがちですが、実際にはタイムラグや免責条件があります。対応の流れを整理したうえで、滞納が収益物件のキャッシュフローとDSCRにどの程度影響するのかを、数字を使って確認します。

家賃滞納はどのくらいの頻度で起きているのか

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が実施した「賃貸住宅市場景況感調査」(2017年4月〜9月)によると、全国の月初時点での家賃滞納率は平均8.2%、月末時点で1ヶ月以上滞納している割合は3.4%、2ヶ月以上滞納している割合は1.8%と報告されています。月初の滞納には振込のうっかり忘れなど短期間で解消するケースも含まれますが、2ヶ月以上の滞納は約50戸に1戸の割合で発生していることになります。

同協会が管理会社1,170社を対象に実施した「家賃債務保証に関する実態調査」(2017年公表)では、家賃債務保証会社を利用している賃貸借契約の割合は68.7%でした。保証会社の利用は年々広がっているものの、依然として3割程度の契約は連帯保証人のみ、あるいは保証なしで運用されている可能性があります。これらの数値は確認できた公表データの中で最新のものであり、より新しい統計が確認できない点はご留意ください。

家賃滞納が起きたときの対応の流れ

保証会社に加入している場合

家賃債務保証会社が付いている契約では、滞納が発生すると保証会社が入居者へ督促を行い、一定期間後に「代位弁済」としてオーナーへ家賃相当額を立て替え払いします。立て替えのタイミングは保証会社によって異なり、初回滞納の翌月から立て替えを開始する会社もあれば、一定の免責期間を設けている会社もあります。契約時に交付される保証委託契約書で、報告期限・免責事項・代位弁済のタイミングを確認しておくことが重要です。

保証会社に加入していない場合(連帯保証人のみ)

保証会社を利用していない契約では、オーナーまたは管理会社が直接督促を行うことになります。電話や書面での督促を経ても支払いがない場合、内容証明郵便で支払いと契約解除の意思を通知し、それでも解決しない場合は建物明渡請求訴訟へ進みます。判決後に相手が退去しない場合は、強制執行の申立てが必要になります。なお、滞納を理由に貸主が独断で鍵を交換したり荷物を撤去したりする「自力救済」は違法行為にあたるため、必ず法的手続きを踏む必要がある点に注意してください。

法的手続きに進む場合の期間の目安

複数の法律事務所の解説記事では、内容証明の送付から強制執行による明け渡し完了までの期間は、一般的に5〜7ヶ月程度とされています。この間、家賃収入が入らないまま管理コストや融資返済は継続するため、保証会社の有無は初期対応の負担だけでなく、収支への影響の大きさそのものを左右します。

家賃滞納が収益物件のキャッシュフローに与える影響を試算する

以下は理解しやすくするために単純化した架空例です。実在の物件データではありません。

8戸一棟アパート(各戸家賃8万円、満室時年間家賃収入768万円)を、自己資金を除く借入6,000万円・金利2.5%・返済期間25年(元利均等)で購入したケースを想定します。経費率を20%とすると、NOI(純営業収益)は614.4万円、年間ローン返済額は約322.9万円、ベースラインのDSCRは1.90となります。

シナリオ

内容

家賃収入の減少

DSCR

ベースライン

満室・滞納なし

0円

1.90

シナリオA

保証会社あり/1戸が滞納し翌月から代位弁済開始

8万円(1ヶ月分)

1.88

シナリオB

保証会社なし/1戸が7ヶ月分未回収のまま法的手続きへ

56万円(7ヶ月分)

1.73

シナリオC

Bに加え、別の1戸が3ヶ月空室・金利が3.5%へ上昇

80万円+金利上昇分

1.48

保証会社の有無だけを見るとDSCRの差は1.88と1.73で、単体では大きな崩れには見えません。しかし、滞納が長引くタイミングでほかの区画の空室や金利上昇が重なると、DSCRは1.90から1.48まで低下します。1戸単位の滞納は小さく見えても、他のリスク要因と重なったときの下振れ幅を事前に把握しておくことが、購入判断や資金繰り計画では重要になります。

滞納の期間や他のリスクとの重なり方によって影響は変わります。ご自身の物件条件では → 滞納率を空室率に上乗せしてCFを試算する(無料ツール)

保証会社の有無を購入前にどう見るべきか

RE-AIでの収益物件診断では、空室率・金利・家賃下落・修繕費といった複数の変動要因を個別にではなく、同時に動かした場合の長期キャッシュフローを確認することを重視しています。滞納リスクも同様で、「保証会社があるかどうか」を単独の安心材料として見るのではなく、空室や金利上昇と重なったときにDSCRがどこまで下がるかという視点で確認することが、表面的な利回りだけでは見えないリスクを把握する手がかりになります。

購入前のデューデリジェンスでは、レントロール(賃貸借条件一覧表)に保証会社の加入状況が記載されているかを確認するとよいでしょう。保証会社未加入の契約が多い物件は、滞納発生時の資金繰りへの影響が相対的に大きくなる可能性があります。

滞納リスクを減らすために確認しておきたいポイント

管理会社選びの段階では、滞納発生時の初期対応スピードや保証会社の紹介体制を確認しておくことが有効です。管理会社の役割や空室対策との関係については「収益物件の管理会社選びと空室対策|キャッシュフローを守るための完全ガイド」で整理しています。管理会社を変更するかどうかの判断基準は「管理会社を変更すべきタイミングとは?契約解除前に確認しておきたい5つのこと」で解説しています。

また、滞納から退去に至った場合には原状回復や再募集のコストも発生します。退去1回あたりの入替コストについては「「空室率5%」の収支計算は年CFを46%過大に見せる|退去1回30.7万円の入替コストを平均入居年数3年3ヶ月〜8年で試算」で試算しています。DSCRの基本的な考え方は「不動産投資のDSCRとは?1.2を下回ると融資が厳しくなる理由と計算例」、金利上昇と空室が重なった場合のキャッシュフロー影響は「金利上昇×空室率、同時に悪化したらキャッシュフローはどこまで減る?8,000万円物件で20パターン試算」で詳しく扱っています。収支計算全体の考え方は「収益物件の収支計算完全ガイド|表面利回り・NOI・DSCR・IRRの計算方法と使い方」を参照してください。

まとめ

家賃滞納は保証会社の有無によって初期対応の負担が大きく変わりますが、キャッシュフローへの影響は滞納単体よりも、空室や金利上昇など他のリスクと重なったときに大きくなります。購入前にはレントロールで保証会社の加入状況を確認し、滞納が長引いた場合の資金繰りを他の変動要因と合わせて試算しておくことが、収益物件の購入判断における備えになります。税務・法務上の対応は個別の契約内容や状況によって異なるため、実際に滞納が発生した場合は管理会社や弁護士など専門家への相談をおすすめします。

参考資料・出典

  • 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「賃貸住宅市場景況感調査」(2017年4月〜9月実施分、LIFULL HOME'S PRESS 2018年3月17日掲載記事経由で確認)
  • 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「家賃債務保証に関する実態調査」(2017年5月29日公表、R.E.port掲載記事経由で確認)
  • 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」「家賃債務保証の現状」

情報確認日:2026年8月17日

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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