
「管理会社に任せているのに、空室がなかなか埋まらない」「入居者からのクレーム対応が遅く、不満が募っている」ーーそんな悩みを抱えたとき、多くのオーナーが最初に迷うのは「本当に変更していいのか、どう判断すればいいのか」という点です。この記事では、管理会社変更を検討すべきサインと、契約解除前に確認すべき事項を整理します。
以下のような状態が続いている場合、管理会社の見直しを検討する価値があります。
実際に、管理会社に任せきりにしていた結果、入居者対応の遅れによって深夜のトラブル対応にオーナー自身が追われたという例も報告されています(関連記事:「管理会社に任せているから大丈夫」と思っていたら、深夜0時に入居者から電話が来ました)。ただし、こうしたサインが1つあるからといって即座に変更すべきとは限りません。次に説明する契約条件の確認が先です。
管理会社を変更する場合、まず現在の管理委託契約書を確認する必要があります。特に重要なのは以下の3点です。
国土交通省が公表している「賃貸住宅標準管理委託契約書」では、少なくとも3か月前までに書面で解約を申し入れることで契約を終了できる旨が示されています。実際の契約書は管理会社ごとに異なるため、この期間は目安として、自分の契約書に記載された予告期間を必ず確認してください。
予告期間を待たずに解約する場合、管理報酬の数か月分に相当する違約金が発生する契約も存在します。違約金の有無と金額は契約書によって大きく異なるため、金額を確認したうえで変更コストとして計算に含める必要があります。
多くの管理委託契約は1〜3年ごとに更新される仕組みになっています。更新時期に合わせて解約すれば違約金が発生しないケースもあるため、更新月を確認し、変更のタイミングを調整できないか検討する価値があります。
見落とされやすいのが、現在の契約が「管理委託契約」なのか「サブリース(転貸借)契約」なのかという点です。管理委託契約はオーナーと管理会社の業務委託契約であるのに対し、サブリース契約はサブリース会社が「借主」として物件を借り上げる賃貸借契約にあたります。
そのため、サブリース契約をオーナー側の都合だけで解約しようとすると、借地借家法上の借主保護の考え方が関わり、通常の業務委託契約よりも解約のハードルが高くなる場合があります。この点は契約類型によって結論が大きく変わるため、契約書の名称や条項だけで判断せず、必要に応じて弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
管理会社の比較というと、管理料(家賃の何%か)の差に注目しがちです。しかし、管理料の差が数千円であっても、空室対応や原状回復対応の差によって収支への影響ははるかに大きくなることがあります。
以下は理解しやすくするために単純化した架空例です。
項目 | 現管理会社 | 変更候補の管理会社 |
|---|---|---|
管理料(月額家賃80万円・10戸想定) | 4万円(5%) | 4.8万円(6%) |
平均空室期間 | 4ヶ月 | 2ヶ月(想定) |
空室2戸・家賃8万円/戸とした場合の機会損失差 | 基準 | 約32万円の改善(想定) |
この例では、管理料は年間で約9.6万円増えますが、空室期間の短縮によって家賃収入の改善が上回る可能性があります。もちろん実際の空室期間短縮効果は物件やエリアによって異なり、確約されるものではありません。重要なのは、管理料の単純比較ではなく、空室対策の実行力や修繕対応の質を含めた収支全体で判断する視点です。空室対策そのものの費用対効果については、築古アパートの空室対策、費用対効果で選ぶリフォーム優先順位ランキングTOP5で詳しく解説しています。また、原状回復や修繕費が収支に与える影響は修繕費「家賃の5%」で足りるのかで試算しています。管理料の料率差そのものを稼働率・DSCR・10年IRRまで換算して比較した結果は、管理委託料2%の差は、金利何%分に相当するのか|稼働率・DSCR・10年IRRへ換算して逆算で確認できます。自分の物件の管理料率や想定空室期間を入れてキャッシュフローの変化を試算したい場合は、無料のキャッシュフローシミュレーターで数値を変えながら確認できます。
RE-AIは収益物件の購入判断において、表面的な利回りだけでなく、空室率や修繕費、金利変動といった複数の条件を同時に反映した長期キャッシュフローで収益性を確認する考え方を採用しています。管理会社の評価も同じで、管理料という単一の数字ではなく、空室対策の実行力や修繕対応が長期のキャッシュフローにどう影響するかという視点で捉えることが、判断のブレを減らすことにつながります。収支全体の計算方法については収益物件の収支計算完全ガイドで詳しく解説しています。管理会社選びや空室対策を含めた管理全体の考え方は、収益物件の管理会社選びと空室対策|キャッシュフローを守るための完全ガイドで体系的に整理しています。
管理会社の変更は、空室対応の遅れやクレーム対応への不満をきっかけに検討されることが多いテーマです。ただし、変更を決める前に、契約書の予告期間・違約金・契約類型(管理委託かサブリースか)を必ず確認する必要があります。そのうえで、管理料の差だけでなく、空室対策の実行力や修繕対応を含めた収支全体で比較することが、後悔しない管理会社選びにつながります。
参考資料・出典
情報確認日:2026年8月11日。契約条件や法的な解釈は個別の契約内容によって異なります。実際の解約・変更にあたっては、契約書の内容を確認のうえ、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。
この記事を書いた人

鈴木基公
RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者
1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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