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投資用物件は駅から徒歩何分まで?賃貸需要とDSCRへの影響から許容範囲を考える

投資用物件は駅から徒歩何分まで?賃貸需要とDSCRへの影響から許容範囲を考える

「駅から徒歩15分の物件、価格は安いが本当に借りて住む人がいるのか」——一棟アパートや区分マンションを検討する投資家がまず迷うのが駅距離です。徒歩分数の公的なルール、賃貸需要への影響の考え方、そしてDSCR・キャッシュフローへの跳ね返りを試算し、駅から遠い物件でも検討の余地がある条件まで整理します。

「徒歩○分」の数字はどう計算されているか

不動産広告に表示される「駅徒歩○分」は、不動産公正取引協議会連合会が定める「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第9条に基づき、道路距離80メートルを1分として算出されています。1分未満の端数は切り上げて表示するルールで、信号待ち・坂道・踏切などにかかる時間は考慮されていません。実際に歩くと表示より2〜5分程度長くかかることも珍しくないため、検討している物件は必ず現地を実際に歩いて確認することをおすすめします。

駅距離が賃貸需要に与える影響は、物件タイプで変わる

「徒歩○分までなら賃貸需要を確保できる」という一律の答えはありません。単身者向けの物件は通勤・通学の利便性が重視されやすく、駅距離の影響を受けやすい傾向があります。一方でファミリー向けや郊外の物件では、駐車場の有無や住環境の静けさが優先されることも多く、駅距離の影響はやや緩和される場合があります。大学や大型商業施設、工場・オフィスなど、駅以外の生活動線が需要を支えているケースもあります。

検討しているエリアで単身者需要とファミリー需要のどちらが主体か、人口・世帯数の動向はどうかを確認する方法は、賃貸需要の調べ方完全ガイドで詳しく解説しています。

駅距離の違いをDSCR・キャッシュフローに置き換えて試算する

駅距離が投資判断にどこまで跳ね返るのかを確認するため、以下は理解しやすくするために単純化した架空例です。想定読者は地方都市近郊で一棟アパート投資を検討する個人投資家、物件種別は単身者向けの木造アパート(8戸)としました。木造アパートは建築コストを抑えられる分、表面利回りが出やすい一方で入居者層が単身者中心になりやすく、駅距離の影響を受けやすい物件種別です。価格帯は、地方の中規模木造アパートとして典型的な3,000万円台後半に設定しています。

前提条件

  • 物件価格:3,600万円(木造アパート8戸、単身者向け、築5年、地方中核都市近郊)
  • 自己資金:20%(720万円)/融資:2,880万円/金利2.5%/融資期間20年(建物の残存耐用年数を踏まえた設定)
  • 年間ローン返済額:約183.2万円(元利均等返済)
  • 運営費:満室想定家賃の30%と仮定(管理費・修繕費・固定資産税等を含む簡易前提)

徒歩8分と徒歩17分で家賃・稼働率をどう仮定したか

同じ建物・同じ融資条件のまま、駅からの距離だけが違うと仮定し、家賃と稼働率の前提を変えて比較しました。金額の違いは実測データではなく、駅距離による需要差を説明するための架空の前提です。

項目

徒歩8分の想定

徒歩17分の想定

家賃(1戸あたり/月)

55,000円

50,000円

満室想定年収

528.0万円

480.0万円

想定稼働率

92%

80%

実効収入

485.8万円

384.0万円

NOI(運営費控除後)

327.4万円

240.0万円

DSCR

1.79倍

1.31倍

年間CF(返済後)

144.2万円

56.8万円

同じ価格・同じ融資条件でも、駅距離によって稼働率と家賃の前提が変わるだけで、年間キャッシュフローは約87万円、DSCRは0.48ポイント動く計算になりました。DSCRが1.31倍まで下がると、空室や金利上昇が重なった場合の返済余力は小さくなります。DSCRの考え方や1.2という水準の意味は、不動産投資のDSCRとは?で解説しています。自分が検討している物件の条件でDSCRを確認したい場合は、RE-AIのDSCRシミュレーターでNOIと融資条件を入力すると無料で試算できます。

駅距離は価格査定・融資・出口にも波及する

駅距離は賃貸需要だけでなく、価格査定・融資・出口戦略にも影響します。

収益還元法では、還元利回り(キャップレート)に立地条件が織り込まれます。RE-AIの収益還元法・収益価格シミュレーターでは、建物の構造と最寄駅からの徒歩分数を入力すると参考還元利回りがその場で算出され、駅から離れるほど還元利回りが高く(=同じNOIでも収益価格は低く)計算される仕組みになっています。還元利回りが収益価格に与える影響の大きさは、収益物件の価格査定ガイドで確認できます。

積算価格や金融機関の担保評価でも、路線価や再調達価格の考え方を通じて立地条件が反映されます。融資審査の基本的な考え方は不動産投資ローン基礎ガイドを参考にしてください。

さらに、売却時には駅近物件の方が買い手・融資の両面で選択肢が広くなりやすく、駅から遠い物件は価格を下げないと成約しにくい場面があります。売るか持ち続けるかを判断する考え方は収益物件の出口戦略完全ガイドで整理しています。

駅から遠くても検討の余地がある条件

駅距離だけで機械的に切り捨てず、次のような条件があれば駅から遠い物件でも需要を確保できる場合があります。ただし、いずれも「条件が揃えば必ず入居が決まる」という保証ではなく、個別のエリアで確認が必要です。

  • 駐車場を確保しやすい郊外エリア(車が生活の中心になっている地域)
  • 大学・専門学校が徒歩・自転車で通える範囲にある
  • 大型商業施設など生活利便施設が近い
  • 工場・オフィスなど、職住近接の需要が見込める

エリアの空室率の実際の調べ方は、エリアの空室率の調べ方で解説しています。

自分のエリアの実際のデータを確認する方法

駅距離ごとの家賃・入居率について「一般的にはこう言われている」という傾向を鵜呑みにするより、検討しているエリアの実際のデータを確認する方が確実です。国土交通省が運営する不動産情報ライブラリでは、実際の不動産取引価格や地価公示、都市計画情報などを地図上で確認でき、取引価格情報には最寄駅までの距離も含まれています。検討しているエリアを絞り込み、駅距離ごとの実際の取引価格を比較してみることをおすすめします。あわせて、賃貸ポータルサイトの家賃相場データや、地元の仲介会社への聞き取りも、エリアごとの実勢を把握する手段になります。

まとめ

駅からの徒歩分数は公正競争規約に基づく機械的な計算値であり、実際の歩行時間や賃貸需要の強さをそのまま表すものではありません。単身向けかファミリー向けか、駐車場や周辺施設の有無によって「許容できる駅距離」は変わります。価格の安さだけで判断せず、駅距離を家賃・稼働率の前提としてDSCRやキャッシュフローに落とし込み、価格査定・融資・出口までつなげて確認することが重要です。

参考資料・出典

  • 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第9条
  • 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
  • 国土交通省「不動産鑑定評価基準」

(情報確認日:2026年9月2日)

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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