RE-AI

7体のAIによる収益物件評価プラットフォーム

管理・空室対策

築古アパートの空室対策、費用対効果で選ぶリフォーム優先順位ランキングTOP5

築古アパートの空室対策、費用対効果で選ぶリフォーム優先順位ランキングTOP5

築古アパートを持つと、必ず頭をよぎる悩みがあります。「そろそろリフォームしたほうがいいのは分かっているけれど、どこから手をつければいいのか」という問題です。予算は無限ではありませんし、かといって何もしなければ入居者は隣の新しい物件に流れていきます。この記事では、全国賃貸住宅新聞が全国の不動産会社を対象に毎年実施している「人気設備ランキング」の実データをもとに、限られた予算で入居付けへの効果を最大化するリフォームの優先順位を整理します。

なぜ「なんとなくリフォーム」は危険なのか

よくある失敗パターンは、「なんとなく見た目が古いから」という理由で、入居率への効果が薄い場所にお金をかけてしまうことです。外壁塗装も大切ですが、入居希望者が内見で最初にチェックするのは、たいてい水回りとインターネット環境という、地味だけれど生活に直結する部分です。見た目のインパクトと入居率への実効性は、必ずしもイコールではありません。まずはそこを押さえておく必要があります。

関連記事

「空室率10%なら黒字」の物件が、大規模修繕で赤字に転落した理由

表面利回り8%、空室率10%を見込んでも黒字。そう試算して購入した物件が、5年目の大規模修繕で一気に赤字へ転落する。実際の収益物件でも起こり得る典型的なパターンです。今日は、購入前に見ておきたいチェック項目を、具体的な数字とともに整理します。

実データで見る、入居者が本当に求めている設備

全国賃貸住宅新聞は、全国の不動産会社へのアンケート調査にもとづく「人気設備ランキング」を毎年発表しています。同調査は「この設備がなければ入居が決まらない必須設備」「周辺相場より家賃が高くても入居が決まる付加価値設備」「入居希望者に敬遠される設備」の3つの切り口で集計されており、築古アパートのリフォーム予算をどこに振り向けるべきかを考えるうえで参考になります。以下は同調査(2024年10月21日号・11月4日号)の結果のうち、築古アパートのリフォームで検討されやすい項目を抜粋したものです。

区分

単身者向けの主な上位項目

ファミリー向けの主な上位項目

必須設備(なければ入居が決まりにくい)

エアコン(1位)、TVモニター付きインターホン(3位)、インターネット無料(4位)、独立洗面台(6位)、エントランスのオートロック(7位)、宅配ボックス(8位)

エアコン(1位)、独立洗面台(4位)、インターネット無料(7位)、エントランスのオートロック(9位)、宅配ボックス(10位)

付加価値設備(家賃が高くても決まる)

インターネット無料(1位)、宅配ボックス(2位)、エントランスのオートロック(3位)、独立洗面台(7位)

インターネット無料(1位)、エントランスのオートロック(2位)、宅配ボックス(4位)

この調査結果を踏まえると、まず確認すべきはエアコンです。単身・ファミリーとも「必須設備」の1位はエアコンで、これが古い・故障している状態は、他をどれだけリフォームしても入居付けの土俵に乗らない可能性があります。次点でインターネット無料・宅配ボックス・独立洗面台・エントランスのオートロックが、必須設備と付加価値設備の両方に共通して顔を出しており、費用対効果の高い投資先として位置づけられます。

リフォーム優先順位の考え方

上記の実データと、内見時の第一印象・入居後の満足度への影響の大きさをあわせて考えると、築古アパートのリフォームでは次のような順序で検討するとバランスが取りやすくなります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、実際の効果は物件の立地やターゲット層によって変わる点はご了承ください。

水回り(トイレ・浴室)の刷新

「お風呂とトイレと洗面が一体になった3点ユニットバス」は、同調査の「入居希望者に敬遠される設備」で最多の192件を集め、1位となっています。和式トイレを洋式に変える、風呂釜を追い焚き機能付きに変えるといった投資は初期費用こそかかりますが、内見時の第一印象と入居後の満足度の両方に直結し、長期的な差別化にもつながりやすい項目です。

インターネット無料化

「付加価値設備」で単身・ファミリーとも1位。今どき「ネット料金は入居者負担」という物件は、比較サイト上で不利に働きやすくなっています。無料インターネットは初期費用こそかかるものの、月々のランニングコストとして家賃に少し上乗せしても選ばれやすくなる項目です。導入時は、プロバイダ契約による帯域上限が入居者数に対して十分かどうかを確認しておく必要があります。

独立洗面台化

「必須設備」「付加価値設備」の両方にランクインしている項目です。3点ユニットバスの物件に独立した洗面台を設けるだけで、内見時の印象が変わります。工事費用に対して、家賃アップや成約スピードの改善という形でリターンが出やすい箇所です。

宅配ボックスの設置

「必須設備」「付加価値設備」の両方で上位に入っており、同調査の「今後需要が増えると思われる設備」でも1位です。通販が生活インフラ化した今、再配達の手間がなくなるという分かりやすいメリットがあり、比較的安価な後付けタイプも増えています。

エントランスのオートロック・照明

エントランスのオートロックは、単身・ファミリーどちらの調査でも「付加価値設備」の上位(2〜3位)に入っており、防犯意識の高まりを背景に評価が上がっている項目です。既存のオートロックを「効果が薄い設備」として後回しにするのではなく、防犯性を訴求できる状態を維持することが優先されます。あわせて、共用部・エントランスの照明が薄暗く電球切れのままになっていると、それだけで「管理されていない物件」という印象を与えてしまいます。LED化はコストが比較的安く、電気代の削減という副産物もあります。

敬遠されやすい設備・後回しでよい投資

同調査の「入居希望者に敬遠される設備」では、3点ユニットバス(192件)に次いで室外洗濯機置場(112件)、バランス釜・和室(各44件)、LPガス(32件)、和式トイレ(16件)が上位に挙がっています。室外洗濯機置場は冬季の凍結リスクもあり、室内への切り替えは優先度が高い一方、配管の引き直しが必要になるため費用は高額になりやすい点に注意が必要です。逆に、過剰なデザイン性を追求した内装の作り込みや、需要の薄いエリアでの過剰な共用施設の追加は、コストの割に入居率への貢献が読みにくい投資です。予算が限られているなら、まずは実データで上位にある項目から着手するのが無難です。

原状回復とバリューアップの違いを整理する

ここで一度整理しておきたいのが、「原状回復」と「バリューアップ」の違いです。原状回復はあくまで退去前の状態に戻すための工事であり、法律上も貸主・借主の負担範囲がある程度決まっています。一方でバリューアップは、相場よりも高い価値を狙って自主的に投資する行為です。今回紹介した内容は、基本的にこのバリューアップ側の話だと考えてください。原状回復費用と混同してリフォーム予算を組んでしまうと、思わぬ資金ショートを招くこともあるため注意が必要です。原状回復費用の目安については「原状回復費用のオーナー負担はいくらか」で解説しています。

予算配分の考え方

「結局、自分の物件だとどこにいくらかけるのが正解なのか」という疑問は当然出てきます。この判断には、立地特性や競合物件の設備水準、そして工事後に見込める家賃と現在のキャッシュフローとのバランスを見る必要があります。国交省の長期修繕計画事例をもとに、修繕費の水準が保有中のキャッシュフローやIRRにどこまで影響するかを試算した記事も参考になります(修繕費「家賃の5%」で足りるのか)。このあたりの総合判断は経験則だけでは心もとない部分もあるため、RE-AIでは、周辺相場や空室率の比較データをもとに、リフォーム後の収支シミュレーションも含めて物件の収益性を多角的に診断しています。「このリフォーム費用は本当に回収できるのか」を数字で確認したい場合は、無料のAI診断を試してみるのも一つの方法です。

関連記事

築15年の一棟アパート、「売る」か「持ち続ける」かを決める7つの確認項目

家賃収入は毎月きちんと入ってくる。それでも、築年数が進むにつれて「このまま持ち続けていいのか、そろそろ売るべきか」という迷いは、多くの大家さんの頭をよぎるはずです。

まとめ

限られた予算でリフォームの優先順位をつけるなら、まず「必須設備」の1位であるエアコンの状態を確認したうえで、水回り、インターネット無料化、独立洗面台化、宅配ボックス、エントランスのオートロック・照明という順番を軸に検討するとバランスが取りやすくなります。全国賃貸住宅新聞の調査では、オートロックは「後回しでよい設備」ではなく、家賃を維持・向上させる付加価値設備の上位に位置づけられている点には注意してください。ただし、これはあくまで全国的な傾向であり、物件の立地やターゲット層によって最適な答えは変わります。

本記事の内容は、公表されている調査データと一般的な考え方の紹介であり、特定のリフォームや投資判断を推奨するものではありません。実際の工事内容や費用対効果は物件ごとに異なるため、最終的な判断はご自身の責任のもと、リフォーム会社や不動産の専門家にも相談しながら検討してください。

参考資料・出典

  • 全国賃貸住宅新聞「人気設備ランキング」(2024年10月21日号・11月4日号、全国の不動産会社へのアンケート調査に基づく。2025年10月19日号でも同様の傾向〈エアコンが必須設備の首位、インターネット無料が付加価値設備の首位、オートロック・宅配ボックスが上位〉が確認されています)

情報確認日:2026年9月8日。

この記事をシェアする

この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

分析実績 87件(2026/08/07時点)X(旧Twitter)プロフィールと執筆記事 →