
表面利回り7.5%、自己資金500万円。数字だけを見れば、悪くない話のはずでした。ある夜、資料をテーブルに広げた瞬間、妻の第一声は「毎月いくら残るの」ではありませんでした。「土日、いなくなるの?」でした。これは、副業で収益物件を検討する会社員から寄せられる相談に多いパターンを、理解しやすくするために会社員Aさん(38歳)という一つのケースに再構成したものです。特定の個人や物件の実話ではありません。
Aさんは大手メーカーに勤める38歳の会社員です。妻と6歳の子どもが一人。収入は額面650万円ほどで、悪くはないものの、これから先の教育費や住宅ローンを考えると心もとない。副業として一棟アパート投資を始めようと思ったのは、同僚が家賃収入で住宅ローンの一部を賄っていると聞いたことがきっかけでした。
物件価格4,800万円、表面利回り7.5%、想定家賃収入は年360万円。自己資金500万円を入れれば、返済比率も無理のない範囲に収まる。数字だけを見れば、十分に検討に値する物件でした。
資料を持ち帰り、妻に見せた夜のことをAさんは覚えています。妻は数字を一通り見たあと、こう言いました。「毎月いくら残るの、じゃなくて、土日、いなくなるの?」
Aさんは一瞬、質問の意味がわかりませんでした。物件の内見、管理会社とのやり取り、確定申告の準備。副業とはいえ、平日は仕事があるから、動けるのはほとんど土日だけです。妻が心配していたのは、キャッシュフローではなく、家族で過ごすはずだった時間でした。

Aさんが試算していたのは、家賃収入、返済額、管理費、固定資産税、そして空室率10%を見込んだ手取りのキャッシュフローでした。単純化した試算では、年間キャッシュフローはおよそ48万円。悪い数字ではありません。
けれど、そこに入っていなかった項目がありました。物件を探す時間、内見に行く時間、管理会社と打ち合わせる時間、確定申告の書類をそろえる時間です。副業の不動産投資は、家賃が自動的に振り込まれる不労所得のようなイメージを持たれがちですが、少なくとも始める最初の1〜2年は、平日の仕事に加えてもう一つの仕事が増えるようなものです。

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Aさんの妻が心配していたのは、まさにこの部分でした。子どもが小さいうちの土日は、今しかありません。その時間の一部を投資に充てることに、妻は数字以上の重みを感じていたのです。
結論として、Aさんはこのときの物件購入を見送りました。理由は利回りでも、融資条件でもありません。「今のタイミングで、家族の時間を削ってまで進める話なのか」を、夫婦で結論に至れなかったからです。
これは失敗でも正解でもありません。半年後、Aさんは改めて物件を探し始めています。違うのは、最初に妻と一緒に「見に行く回数の上限」「関わる時間の目安」を決めてから動き始めたことです。数字の話をする前に、時間の話をする。それだけで、家庭内の温度差はかなり減ったといいます。

不動産投資の相談では、利回りや融資の話が中心になりがちです。ですが、副業として始める場合、本当に最初にすり合わせるべきは「使える時間」と「担える役割」かもしれません。物件を探す、資料を読み込む、管理会社とやり取りする。これらの作業を、平日の仕事と家庭に加えて、誰が、どれくらい担うのか。
物件の数字が良くても、家族の生活リズムを壊してしまえば、続けること自体が難しくなります。逆に、時間の使い方さえ最初に決めておけば、数字はあとから一緒に確認していくこともできます。
こうした条件を一つずつ表計算に入れるのが大変な場合は、RE-AIのような診断ツールで35年間のキャッシュフローを一度数字として可視化しておく方法もあります。数字を家族と共有する材料として使うだけでも、話し合いの土台は変わってくるはずです。

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副業としての不動産投資は、利回りの良し悪しだけで決まるものではありません。家族が心配しているのは、お金ではなく時間かもしれない。数字を見せる前に、まずその可能性を考えてみてください。
情報確認日:2026年10月24日。本記事は、副業として収益物件を検討する会社員から寄せられる相談内容を参考に、理解しやすくするために再構成した事例であり、特定の個人・物件の実話ではありません。一般的な情報提供を目的としており、特定の物件の購入を推奨するものではありません。実際の投資判断は、家族の状況や資金計画を踏まえ、必要に応じて不動産や金融の専門家に相談することをおすすめします。
物件選びから融資・収支計算・契約前の確認まで、検討の全体像を先に把握しておきたい場合は不動産投資初心者完全ガイドも参考にしてください。
この記事を書いた人

鈴木基公
RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者
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