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同じ「借入ゼロ」が、シナリオ比較でまた100点を出していました|RE-AI開発日誌 #013

同じ「借入ゼロ」が、シナリオ比較でまた100点を出していました|RE-AI開発日誌 #013

1週間前に直したはずの「現金購入で不自然に高い点数がつく」バグが、8月14日、別の場所でまた起きていました。今度は融資AIではなく、楽観・標準・悲観の3シナリオを比較する画面の計算式です。DSCR(返済余力を示す指標)がInfinity(無限大)のままスコア計算に使われ、総合スコアが100点になっていました。

何を変えたのか

RE-AIの診断結果画面には、金利や空室率の条件を変えて試算する「シナリオ比較」というカードがあります。楽観・標準・悲観の3パターンで、キャッシュフローと総合スコアを並べて見せる機能です。2026年8月14日、このシナリオ比較の総合スコアが、自己資金を物件価格とほぼ同額にした「全額現金購入」のケースで100点になるバグを修正しました。原因は、DSCRがInfinityになったまま、そのままスコア計算式に使われていたことでした。

前回までの流れ

「現金購入で点数が跳ね上がる」問題は、今回が初めてではありません。1週間前の8月7日、融資AIが同じ条件で95点をつけていた問題を修正しています。自己資金を物件価格とほぼ同額に入力すると、借入がほとんど無いためDSCRが8倍を超え、融資AI(financeAgent)はこれを「返済に余裕がある」好条件として加点していました。このときは、LTV(融資額の割合)が10%を下回る場合、融資AIは加点も減点もせず中立の50点を返すよう修正し、既存診断16件を再計算して8件で判定が実態に近づく方向へ変わったことを確認していました。

何が問題だったのか

ところが、融資AIの点数を直しても、シナリオ比較の点数は直っていませんでした。シナリオ比較は融資AIとは別の計算関数(buildScenarioResults)で、それぞれのシナリオごとに独自にDSCRを計算し、「(DSCR - 1.2) × 15」という式でスコアへ加点していました。融資額がほぼゼロの入力では、この式のDSCRがInfinityになり、加点分もInfinityになります。スコアには0〜100の上限を設ける処理があったため、最終的に100点として表示されていました。融資AIのコメント欄にも、数値をそのまま文字列化した「DSCR Infinity倍」という表示が残っていました。

なぜ同じ問題が残っていたのか

8月7日の修正は、融資AIの評価ロジック(financeAgent.ts)だけを対象にしていました。シナリオ比較の計算式(calculations.ts内のbuildScenarioResults)は見た目も役割も別のコードで、「DSCRが高いほど加点する」という同じ考え方を独立して実装していました。1つの入力条件が引き起こす問題を1箇所直せば解決したつもりでいましたが、実際には同じ考え方のロジックが複数の場所に分かれて存在していました。

実際にどう改善したのか

借入がほぼ無い(融資額が0以下、または年間返済額が0以下)場合、シナリオ比較のDSCRスコア寄与を0(中立)にするよう修正しました。ScenarioResultが持つDSCRの値自体はこれまで通りInfinityのまま保持し、画面表示だけformatDscr関数で「借入なし」という文言に変換しています。融資AIのコメントも、生の数値をそのまま文字列にするのをやめ、同じformatDscr関数を使うようにしました。

やってみて分かったこと

【開発記録】同じ日に、出口戦略スコアの計算式でも近い性質の問題が見つかりました。こちらは原因が別で、IRR最終年のキャッシュフローに、譲渡税やローン残債を差し引く前の売却価格をそのまま使っていたため、現金購入物件の売却益が実態より大きく見え、出口戦略スコアが不当に加点されていました。原因のコードは別々でしたが、どちらも「借入がほぼゼロ」という同じ入力条件が引き金でした。1つの入力パターンが、複数の独立した計算式の想定外を突くということを実感しました。

まだ解決していないこと

融資AI、シナリオ比較、出口戦略の3箇所は確認して直しましたが、同じ「借入ゼロ」という条件が影響しうる箇所を、コードベース全体で網羅的に洗い出せたわけではありません。DSCRやIRRを使う計算式は他にも存在するため、同種の問題が残っている可能性は否定できません。

次に試すこと

個別に見つけて直すのではなく、DSCRを使うすべての計算箇所で「借入がほぼゼロの場合にどう扱うか」を共通の関数やルールとして1箇所にまとめられないか検討しています。金利や空室率を変えて試算する考え方そのものについては、金利上昇×空室率が同時に悪化した場合の試算でも扱っています。DSCRという指標の基本はDSCRとは何か、1.2を下回ると融資が厳しくなる理由で解説しています。今回のシナリオ比較は、現在の無料診断から確認できます。

まとめ

1つのバグを直しても、同じ考え方で独立して書かれた別のコードには同じ問題が残っている。今回はその典型でした。次は、直す場所を1つに集約できないか、設計から見直していきます。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

1件の物件を買うか判断するために、4時間。 場合によっては、答えが出るまで何日もかかる。 その間にも、良い物件は他の投資家に買われていきます。 「分析に時間を使うのではなく、判断に時間を使うべきではないか。」 この疑問から開発したのが「RE-AI」です。 数時間かかっていた分析をAIがサポートし、投資家が本来やるべき『比較・現地調査・意思決定』に時間を使える環境を目指しています。

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