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地震保険は収益物件に必要か|10年IRRへの影響は0.445pt、全損しても債務超過にならない年は12年早まる

地震保険は収益物件に必要か|10年IRRへの影響は0.445pt、全損しても債務超過にならない年は12年早まる

収益物件を買うとき、火災保険は必ず付けます。しかし地震保険を付けるかどうかは、多くの場合「保険料が高いから外しましょう」「念のため付けておきましょう」という会話で決まってしまいます。判断材料になる数字がほとんど出てこないためです。

そこで今回は、地震保険を3つの数字で測り直しました。①保険料は収益とリターンをどれだけ削るのか、②実際に地震が起きたとき期待できる受取額はいくらか、③保険がない状態で建物を失ったとき、残債はどうなるのか。

結論を先に書くと、①の影響は10年IRRで最大0.445ポイントと限定的でした。しかし③では、全損しても債務超過にならない年が、地震保険なしでは16年目、付保50%なら4年目となり、12年の差が出ています。地震保険は「損得」ではなく「時間」を買う商品でした。

本記事の数値は、損害保険料率算出機構が公表する地震保険基準料率と熊本地震の実被災率という公開データと、条件を固定したシミュレーションを組み合わせたものです。RE-AIの診断実績データではありません。情報確認日は2026年9月9日です。

今回検証する疑問

一般的な記事は「地震保険は火災保険金額の30〜50%までしか掛けられない」「日本は地震国だから必要」と説明して終わります。ここには、投資家が本当に知りたい部分が抜けています。

  • 保険料を払うと、キャッシュフローとIRRはいくら減るのか
  • 「30〜50%しか出ない」とは、金額にするといくらなのか
  • 建物を失ったとき、残債はいくら残り、土地でどこまで返せるのか
  • どんな条件なら、地震保険なしでも投資が壊れないのか

この4点を、実際に計算して確かめます。

前提条件(架空ケース・シミュレーション)

今回の分析は「建物を失ったときに残債を返せるか」が主題です。そのため、起点は物件価格ではなく建物の再調達価額に置きました。地震保険の保険金額は、法律上、火災保険金額(=建物の再調達価額)の30〜50%の範囲でしか設定できないためです。ここが決まらないと、保険料も受取額も計算できません。

建物種別は木造一棟アパートとしました。地震保険の構造区分ではロ構造にあたり、基準料率が最も高くなる区分です。つまり「地震保険を付けるべきか」が最も切実に問われる建物種別です。

項目

条件

設定の理由

建物

木造アパート 1K×8戸/延床192㎡

ロ構造(料率が最も高い区分)で検証するため

建物再調達価額(火災保険金額)

4,500万円

坪78万円×58.1坪相当。地震保険金額の上限を決める起点

建物時価(築5年想定)

3,825万円

再調達価額の85%。全損時の支払上限に関わるため設定

物件価格

6,500万円

建物時価3,825万円+土地2,675万円(土地値比率41.2%)

満室想定年収

538万円

月5.6万円×8戸。表面利回り8.28%

空室・滞納損失

6%

運営費率

実効収入の18%(地震保険料を除く)

地震保険料の影響を単独で見るため別建て

借入

5,200万円(LTV80%)/金利2.4%/25年元利均等

年間返済276.8万円、DSCR1.50

投下自己資金

1,852万円

頭金1,300万円+購入諸費用8.5%

保有期間

10年(IRR算定時)

家賃下落年0.8%、出口表面利回り8.78%、売却諸費用3.5%

NOIは414.7万円、年間返済は276.8万円、税引前キャッシュフローは137.9万円です(地震保険料を除いた状態)。この物件条件を固定したうえで、地震保険の有無・付保割合・所在地の料率区分だけを動かします。

固定するもの:物件価格、家賃、空室率、運営費率、借入条件、保有期間
変更するもの:地震保険の付保割合(0%/30%/50%)、所在地の料率区分、土地値比率、LTV

分析1:地震保険料は、収益とIRRをどれだけ削るのか

地震保険の保険料は、損害保険料率算出機構が算出する基準料率で決まります。会社ごとの価格競争はありません。基準料率は「保険金額1,000円あたりの年間保険料」で表され、都道府県と構造区分で決まります。

木造(ロ構造)の基本料率は、都道府県によって1.12から4.11まで3.7倍の開きがあります。ここに建築年割引10%(1981年6月1日以後の新築)を適用して計算したのが次の表です。

表1:木造一棟アパートの地震保険料(建築年割引10%適用後)

所在地区分(ロ構造)

基本料率

割引後料率

付保30%
(1,350万円)

付保50%
(2,250万円)

最高区分:茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・徳島・高知

4.11

3.699

49,937円

83,228円

中間区分:宮城・福島・山梨・愛知・三重・大阪・和歌山・香川・愛媛・宮崎・沖縄

1.95

1.755

23,692円

39,488円

最低区分:上記以外の28道府県(北海道・福岡・熊本・広島など)

1.12

1.008

13,608円

22,680円

計算式は「地震保険金額 × 割引後料率 ÷ 1,000」です。付保50%・東京都なら、2,250万円 × 3.699 ÷ 1,000 = 83,228円になります。

次に、この保険料を運営費に上乗せして、キャッシュフロー・DSCR・10年IRRを計算し直します。

表2:地震保険料が投資指標に与える影響(付保50%・10年保有・税引前)

ケース

年間保険料

年間CF

DSCR

10年IRR

IRR差

地震保険なし

0円

137.9万円

1.498

7.22%

最低区分(北海道・福岡ほか)

22,680円

135.6万円

1.490

7.10%

−0.121pt

中間区分(大阪・愛知ほか)

39,488円

133.9万円

1.484

7.01%

−0.211pt

最高区分(東京・千葉ほか)

83,228円

129.6万円

1.468

6.77%

−0.445pt

10年間の累計保険料は、最高区分で83.2万円、最低区分で22.7万円です。DSCRは最大でも0.030しか下がりません。10年IRRへの影響は最大0.445ポイントでした。

RE-AIブログではこれまでも、出口利回りの変化がIRRに与える影響金利1%上昇によるIRRの低下を検証してきましたが、それらと比べると地震保険料の影響は小さい部類です。「保険料が高いから外す」という判断は、少なくとも収益性の観点からは根拠が弱いことがここで分かります。

分析2:地震保険は、実際にいくら返ってくるのか

では逆に、払った保険料に対して、いくら返ってくる可能性があるのでしょうか。ここで多くの記事は「全損なら保険金額の100%」とだけ書いて終わりますが、実際に全損認定される割合は決して高くありません。

損害保険料率算出機構は、平成28年熊本地震について、市町村別の被災率(地震保険の支払件数÷契約件数)を損害区分ごとに公表しています。これは推計ではなく実際の保険金支払データです。

震度7を2回観測した益城町でも、全損認定は28.6%にとどまります。最も多いのは半損(37.9%)と一部損(28.6%)でした。

地震保険の支払割合は、全損100%/大半損60%/小半損30%/一部損5%です。熊本地震の当時は「半損」が一区分でしたが、2017年1月1日施行の改正で大半損と小半損に分割されました。そのため今回は、旧「半損」をすべて小半損(30%)とみなした場合を下限、すべて大半損(60%)とみなした場合を上限として、幅で示します。

表3:熊本地震の実被災率から計算した期待支払率(付保50%=保険金額2,250万円)

地域

震度

全損

半損

一部損

期待支払率
(保険金額比)

期待受取額

建物再調達価額
4,500万円に対する比率

上益城郡 益城町

7

28.6%

37.9%

28.6%

41.4〜52.8%

932〜1,187万円

20.7〜26.4%

阿蘇郡 西原村

7

23.7%

44.9%

27.5%

38.5〜52.0%

867〜1,170万円

19.3〜26.0%

熊本市

6強

4.7%

33.7%

45.9%

17.1〜27.2%

385〜612万円

8.6〜13.6%

熊本県 全体

4.1%

26.5%

42.5%

14.2〜22.1%

319〜498万円

7.1〜11.1%

大分県 全体

0.0%

0.7%

9.4%

0.7〜0.9%

15〜20万円

0.3〜0.4%

ここから読み取れることは明確です。震度7の直撃を受けた自治体であっても、期待受取額は建物再調達価額の約2割から2割6分にとどまります。付保割合の上限が50%である以上、地震保険で建物を建て直すことは制度上できません。地震保険は再建費用を賄う保険ではありません。

表4:10年分の保険料を期待値で回収するために必要な「震度7直撃確率」

逆算してみます。益城町の損害分布(期待支払率41.4〜52.8%)が起きたと仮定して、10年間の累計保険料を期待受取額で回収するには、その10年間で直撃を受ける確率がどれだけ必要かを求めました。

所在地区分

10年累計保険料
(付保50%)

回収に必要な直撃確率
(10年間)

最高区分(東京・千葉ほか)

83.2万円

7.01〜8.93%

中間区分(大阪・愛知ほか)

39.5万円

3.33〜4.24%

最低区分(北海道・福岡ほか)

22.7万円

1.91〜2.43%

この数字をどう読むかは重要です。損害保険料率算出機構は、地震保険が政府と保険会社の共同運営であることから、付加保険料率に利潤を織り込んでいないと明記しています。つまり基準料率は、機構が被害予測シミュレーションによって算出した期待損害に、利潤を含まない経費を足した水準です。

言い換えると、地震保険は統計的にはおおむね公正な価格で売られており、「期待値で儲かるかどうか」で入るか決める商品ではないということです。判断軸は別の場所にあります。それが次の分析です。

分析3:保険がないまま建物を失うと、何が起きるのか

収益物件で地震保険が本当に問われるのは、期待値ではなく債務の側です。建物が全損しても、ローンは1円も減りません。住宅ローンの団体信用生命保険は死亡・高度障害が支払事由であり、建物の滅失では作動しません。

全損した場合に投資家に残るのは、次の状態です。

  • 建物は消滅し、家賃収入はゼロになる
  • ローン残債はそのまま残り、返済も続く
  • 土地は残るが、更地にするには解体費がかかる
  • 地震保険に入っていれば、保険金が入る(ただし建物時価が上限)

そこで、「全損して更地を売却したとき、残債を完済できる土地値はいくら必要か」を保有年数ごとに逆算しました。解体・撤去費は木造58.1坪で260万円、更地売却の仲介手数料等は3.5%と仮定しています。

表5:全損時に残債を完済するために必要な土地値(逆算)

保有年

ローン残債

地震保険なし
必要土地値

対物件価格

付保50%
必要土地値

対物件価格

1年目

5,046万円

5,499万円

84.6%

3,167万円

48.7%

3年目

4,728万円

5,169万円

79.5%

2,837万円

43.6%

5年目

4,393万円

4,822万円

74.2%

2,491万円

38.3%

7年目

4,043万円

4,459万円

68.6%

2,127万円

32.7%

10年目

3,484万円

3,880万円

59.7%

1,548万円

23.8%

15年目

2,459万円

2,817万円

43.3%

486万円

7.5%

20年目

1,303万円

1,620万円

24.9%

0円

0%

付保50%にすると、必要土地値は2,332万円分低くなります(保険金2,250万円 ÷ 仲介手数料控除後の0.965)。20年目は保険金だけで残債と解体費を上回るため、必要土地値は0円になります。

今回の基準ケースの実際の土地値は2,675万円(対物件価格41.2%)です。この水準を表5に当てはめると、境界は次のようになります。

  • 地震保険なし:16年目(残債2,239万円 ≦ 更地売却手取り2,321万円)
  • 付保50%:4年目(同 + 保険金2,250万円)

差は12年です。購入から15年目までに全損する事態が起きた場合、地震保険がなければ土地を売っても残債が残ります。地震保険の本質的な効果は、この「債務超過に沈んでいる期間」を12年短縮することでした。

表6:保有5年目に全損した場合の手残り(土地値比率別・万円)

保有5年目(残債4,393万円)で全損した場合、更地を売って残債を返した後にいくら残るかを、土地値比率別に計算しました。マイナスは自己資金で穴埋めする必要がある金額です。

土地値比率

土地値

地震保険なし

付保30%

付保50%

30%

1,950万円

−2,772万円

−1,422万円

−522万円

40%

2,600万円

−2,144万円

−794万円

+106万円

50%

3,250万円

−1,517万円

−167万円

+733万円

60%

3,900万円

−890万円

+460万円

+1,360万円

70%

4,550万円

−263万円

+1,087万円

+1,987万円

投下自己資金は1,852万円です。土地値比率40%・保険なしのケースでは、自己資金1,852万円を失ったうえに、さらに2,144万円の債務が残ります。損失は自己資金の範囲では収まりません。

分析4:土地値比率とLTVで、必要性はどこまで変わるか

ここまでの計算は基準ケース1本のものです。読者ご自身の物件に当てはめられるよう、条件を振って「全損しても債務超過にならない最短保有年」を求めました。早い年ほど、地震保険がなくても投資が壊れにくいことを意味します。

表7:土地値比率別・全損しても債務超過にならない最短保有年

(LTV80%・金利2.4%・25年・物件価格6,500万円で固定し、土地値比率のみ変更)

土地値比率

土地値

地震保険なし

付保30%

付保50%

30%

1,950万円

19年目

13年目

8年目

40%

2,600万円

16年目

10年目

5年目

50%

3,250万円

14年目

6年目

1年目

60%

3,900万円

10年目

3年目

取得時から

70%

4,550万円

7年目

取得時から

取得時から

表8:LTV別・全損しても債務超過にならない最短保有年

(土地値比率41.2%で固定し、借入額のみ変更)

LTV

借入額

DSCR

地震保険なし

付保30%

付保50%

60%

3,900万円

2.00

12年目

2年目

取得時から

70%

4,550万円

1.71

15年目

7年目

取得時から

80%

5,200万円

1.50

16年目

10年目

4年目

90%

5,850万円

1.33

17年目

12年目

7年目

100%

6,500万円

1.20

18年目

13年目

10年目

2つの表から、地震保険の必要性を決めているのは所在地の地震リスクだけではないことが分かります。土地値比率が低いほど、そしてLTVが高いほど、地震保険の役割は大きくなります。フルローンで土地値の乏しい物件を買った投資家が、最も保険を必要としている構図です。

結果から分かること

1. 保険料はIRRをほとんど動かさない

10年IRRへの影響は最大0.445ポイント、最低区分なら0.121ポイントでした。DSCRの低下も0.030以内です。融資審査に影響する水準ではありません。

2. 地震保険は「建て直すための保険」ではない

付保割合の上限が50%である以上、全損しても再調達価額の半分しか出ません。さらに熊本地震の実データでは、震度7の直撃地域でも期待受取額は再調達価額の20.7〜26.4%にとどまりました。再建原資としては足りません。

3. 地震保険が効くのは「債務超過の期間」

基準ケースでは、全損しても土地売却で残債を返せるようになる年が、保険なしで16年目、付保50%で4年目でした。12年分の時間を買っているのが地震保険の実態です。この12年間に何も起きなければ支払った保険料は返ってきませんが、起きた場合の差は自己資金の規模を超えます。

4. 判断軸は「所在地の料率」だけではない

料率が最も高い8都県では年8.3万円かかりますが、これらの地域は一般に地価が高く、土地値比率が高くなりやすい傾向があります。表7が示すとおり、土地値比率が高い物件ほど保険がなくても債務超過を回避しやすくなります。保険料が高い地域ほど保険の必要性が高い、とは限りません。

ただしこれは傾向の指摘であり、断定はできません。地価が高いエリアでも土地値比率が低い物件(築浅・高積算の建物が価格の大半を占めるケース)は存在しますし、地価と地震リスクの関係も一様ではありません。判断は物件単位で行う必要があります。

投資判断への使い方

今回の分析を自分の物件に当てはめるなら、次の順番で確認するのが実務的です。

  1. 建物の再調達価額を確認する。地震保険金額の上限(その30〜50%)はここで決まります。物件価格ではありません。
  2. 各年のローン残債を確認する。全損した場合に返さなければならない金額です。
  3. 土地の実勢価格を確認する。更地にして売ったときの手取り(解体費と仲介手数料を控除)を出します。
  4. 2と3を突き合わせる。3が2を下回っている期間が、地震保険を外した場合に債務超過となる期間です。
  5. その期間の長さと、年間保険料を比べる。表2のとおり保険料の年額はDSCRを0.03程度しか動かしません。

手順2と4で必要になる「各年の残債」と「売却手残り」は、RE-AIの売却・出口戦略シミュレーターで年ごとの残債と手残りを試算できます。今回は借入5,200万円・金利2.4%・25年で固定していますが、借入額・金利・返済期間が変われば残債の減り方も変わり、地震保険が必要な期間も変わります。ご自身の融資条件で残債推移を出したうえで、更地想定の土地値と比べてみてください。

なお、今回のように保険料・空室・修繕・出口価格・残債を同時に動かして判断する場面では、確認項目が増えて表計算では管理しづらくなります。RE-AIはこうした複数条件をまとめて確認できるよう設計していますが、地震保険の要否そのものを判定する機能ではありません。最終的な保険設計は、保険代理店や金融機関にご確認ください。

この分析で分からないこと

今回の結果は、設定した条件の範囲内でのみ成立します。次の点は分析に含まれていません。

  • 実際の損害認定。表3は熊本地震の実績分布を今回のケースに当てはめたものです。個別の建物がどの損害区分になるかは、地盤・構造・施工品質・揺れの周期特性によって変わります。旧「半損」を大半損/小半損のどちらとみなすかで期待受取額は最大1.3倍変わります。
  • 建物時価による支払上限。全損時の保険金は「地震保険金額」と「建物時価」の小さい方が限度です。本ケースでは建物時価3,825万円が保険金額2,250万円を上回るため満額としましたが、築年数が進んで建物時価が保険金額を下回ると、保険料は保険金額に対して払っているのに受取は時価までとなります。築古物件では付保割合の見直しが必要です。
  • 復旧期間中の収入停止。地震保険は休業損失を補償しません。建替えと再稼働に18か月かかった場合、その間の返済継続額だけで415万円になります(年間返済276.8万円×1.5年)。この資金は保険とは別に必要です。
  • 土地値の下落。大地震の後は被災地の地価が下落する可能性があります。表5〜表8は地震前の土地値で計算しており、被災後の実勢価格を反映していません。この点で本分析は保険なしのケースをやや楽観的に見積もっています。
  • 解体費と液状化。解体費260万円は木造の一般的な水準からの仮定です。液状化や地盤改良が必要な場合は大きく増えます。
  • 税務の影響。IRRは税引前です。保険金の課税関係、滅失損失の取扱いは反映していません。
  • 地震保険の対象。地震保険は居住用建物が対象です。店舗併用や事業用建物の割合によっては、地震保険ではなく火災保険の地震危険補償特約での対応となる場合があります。

まとめ

地震保険を「保険料が高いか安いか」で判断すると、判断を誤りやすいことが数字で確認できました。

  • 木造一棟アパートの地震保険料は年2.3万〜8.3万円(付保50%)。10年IRRへの影響は0.121〜0.445ポイント、DSCRの低下は0.030以内
  • 熊本地震の実データでは、震度7の直撃地域でも期待受取額は建物再調達価額の20.7〜26.4%。再建原資にはならない
  • 基準ケースでは、全損しても債務超過にならない年が保険なし16年目・付保50%4年目。差は12年
  • 土地値比率が低いほど、LTVが高いほど、地震保険の役割は大きくなる

地震保険は、収益性を高める商品ではありません。今回の条件では収益性への影響は限定的である一方、全損時の債務超過リスクへの感応度は高く出ました。「入るか外すか」ではなく「自分の残債と土地値のギャップが、何年目まで開いているか」を先に確認し、そのうえで付保割合を決めるという順序が、投資判断としては筋が通ります。

なお本記事は特定の保険加入を推奨するものではなく、投資助言でもありません。実際の保険設計・融資条件・税務の取扱いは、保険代理店・金融機関・税理士にご確認ください。

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参考資料・出典

情報確認日:2026年9月9日

表1〜表8の数値は、上記の公開データと本記事で設定した架空ケースの条件をもとに、記事執筆時に計算したものです。RE-AIの診断実績データではありません。

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この記事を書いた人

鈴木基公

鈴木基公

RE-AI開発者・不動産投資分析サービス運営者

不動産投資収益物件分析融資分析出口戦略

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